トヨタ センチュリー実燃費レポート|最高級VIPカー、意外にもエコで経済的!?(6/6)
- 筆者: 永田 恵一
- カメラマン:永田 恵一、茂呂幸正
センチュリーってどんな車?
1967年に登場した真正のVIPカー
トヨタ センチュリーはかつての日産 プレジデントに続くVIPカーとして、トヨタの創業者である豊田佐吉氏の生誕100年の年となった1967年に初代モデルが登場した。VIPカーという性格上、センチュリーは一般的ではない特殊な車の部類に入るのは事実だが、総理大臣や企業のトップの移動に使われるメディアへの露出の多い車でもあり、そういった意味では日本を代表する車、日本のシンボルカーともいえる。
ちなみに日産 プレジデントはすでに絶版で、その役割は日産 シーマが引き継いでいる。
センチュリーの歴史
センチュリーは51年という歴史を持つ。初代モデルは先に触れたとおり1967年に登場、V8エンジンやエアサスペンションを搭載していた。その後、30年振りとなる1997年にフルモデルチェンジが行われ、当時の直6エンジンを2つ組み合わせた、おそらく日本車では最初で最後になるであろう5リッターV12エンジンを搭載した2代目が登場。ちなみにこの2代目センチュリーのV12エンジンは、いざという時には、片バンクとなる6気筒でも走れるというものだった。
余談だが筆者が聞いた話だと、2代目センチュリー初期モデルの燃費は、高速道路を大人しく走るのを中心にした使い方でも7km/L台後半、総合すると6km/L程度というものだったらしい。現代の基準ではかなりのガス食いであったと感じるのと同時に、先のテスト結果を見ていただければ、いかにそれが改善したかがお分かりいただけるだろう。
そして2017年、東京モーターショーへの出展を経て、21年振りとなるフルモデルチェンジを受けた現行型が3代目として登場した。
車の成り立ちとしては、新型センチュリーのベースは先代レクサス LSとなるLS600hである。最新のクルマなのに10年以上前に出た車がベースなの? という声も出そうだが、センチュリーは性格上、絶対に故障してはならない車である。そのためフルモデルチェンジにあたり、実績のあるLS600hがそのベースに選ばれた。
が、新型センチュリーのパワートレーンはLS600hに使われていた5リッターV8ハイブリッド。エンジンは最高出力381馬力、最大トルク52.0kgm、モーターも加えたフルパワーとなるシステム出力は431馬力。バッテリーは、現在では旧世代となるニッケル水素を採用する。もともとこのパワートレインは4WDだったが、これをFR化したものを搭載。カタログに載るJC08モードは13.6km/Lというもので、これは2代目センチュリーの最終型の7.6km/Lから倍近くに向上していた。
そのため2000万円近くするクルマに対して少々下世話な話であるが、新型センチュリーはエコカー減税では取得税60%、重量税75%、翌年の自動車税50%軽減が適用となる。
特筆すべきはそのリアシート&内装
センチュリーの特等席となるリアシートには、豊富な調整機能を持つシート、マッサージ機能、多くのメディアに対応するAV機能などが装備され、リアシートに乗るVIPは移動時間を有効かつ快適に使うことができる。なおシート地はモケットが標準で、54万円のオプションで本革も設定される。
また新型センチュリーは、インテリアにはふんだんに使われる本杢、紗綾形崩しの柄織物を使った天井張り、提灯をイメージしたテールランプなど、随所に日本、和を思わせる演出が施されているのも大きな特徴だ。
そしてセンチュリーはトヨタ車では異例と言える手作りで生産されることも覚えておきたい。センチュリーが手作り生産されるのは少量生産車のためもあるが、塗装をはじめ「高度な生産技術を次世代に伝承する」という理由もあり、その意味でもセンチュリーは日本に必要な車である。
新型センチュリーの運転支援機能
運転支援システムは現在トヨタ車ではアルファード&ヴェルファイアに搭載されている最新版ではないものの、ミリ波レーダーと単眼カメラからの前方の情報を基盤にした、日中の歩行者にも対応する緊急ブレーキ機能、停止まで対応する先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール、車線逸脱を抑制するレーンディパーチャーアラート、夜間遠くまで照らすハイビームを積極的に使うアダプティブハイビームシステムから構成されるトヨタセーフティセンスが装備される。
最新版でないのは少し残念であるが、センチュリーは基本的にプロの運転手さんが運転する車であることを考えれば、十二分なものといえるだろう。
[筆者:永田 恵一 / 撮影:永田 恵一、茂呂幸正]
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