スズキの新型コンパクトSUV「フロンクス」の予想価格は190万円台から!?
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田 清志/マルチ・スズキ/森山 良雄/茂呂 幸正
2024年7月25日、スズキの新型コンパクトSUV「フロンクス」の新たな情報が公開されました。先行して発売されている生産国のインドでは、さまざまな賞を獲得した期待の1台が日本に導入される予定です。
当記事では、そんな新型フロンクスのボディサイズ、外観、内装、パワーユニット、価格予想などを詳しくご紹介。事前に撮影した新型フロンクス(プロトタイプ)の外観、内装の写真も多数掲載しています。
※予想価格については、日本仕様の発表前のものです。また掲載されている写真はプロトタイプです。発売される車両とは一部仕様が異なる可能性があります。
スズキからコンパクトなSUV「新型フロンクス」が登場
今はSUVの人気が高く、特に日本の道路事情に合ったコンパクトな車種は、新型車の投入も活発です。
最近の新型コンパクトSUVには、ホンダ WR-Vやレクサス LBXなどがあり、ほかにもスバル XVがクロストレックとして生まれ変わりました。
SUVが盛り上がる一方で、販売を終えるコンパクトSUVもあります。その1つがスズキ エスクードです。
スズキの販売店では、「2024年に入って日本向けのエスクードは生産を終了しました。その代わり海外で販売される新型フロンクスを日本へ導入するようです。具体的な時期や車両の詳細は今のところ不明です」とのこと。それでも新型フロンクスの国内導入は、おそらく2024年9月から11月頃に行われるでしょう。
激戦となっているコンパクトSUV戦線に投入予定の新型フロンクス。続いて、スズキの新型コンパクトSUVであるフロンクスとはどんなクルマなのか解説していきます。
スズキ 新型フロンクスとは?|インド製を導入する理由
新型フロンクスは2023年に海外で発売されたスズキのコンパクトSUVです。
新型フロンクスの生産はインドにあるスズキの子会社、マルチ・スズキが受け持ち、インドを始めとする新興国を中心に同車は販売されています。
スズキはこれをエスクードの代わりに日本へ輸入販売します。
ちなみにホンダが輸入販売を開始したコンパクトSUVのWR-Vもインド製です。
ホンダでは「近年、海外工場の生産精度が向上しており、海外製の日本車を輸入販売することが十分に可能になりました」と述べています。
スズキも同様の考えに基づき、新型フロンクスの日本導入を決定したのでしょう。
スズキ 新型フロンクスのボディサイズ
新型フロンクスのボディサイズは、全長3995mm×全幅1765mm×全高1550mm、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2520mmです。
既存のコンパクトSUVに当てはめると、全長はトヨタ ライズ&ダイハツ ロッキー(全長3995mmx全幅1695mm×全高1620mm)とほぼ等しく、全幅は少しワイドですが、それでもトヨタ ヤリスクロスと同じ数値です。
全高は1550mmですから、全高の高いものが多いSUVの中では低く、都心に多い「高さ制限1550mmの機械式駐車場(立体駐車場)」での利用も可能です。
全長 | 全幅 | 全高 | |
---|---|---|---|
新型フロンクス | 3995mm | 1765mm | 1550mm |
ライズ/ロッキー | 3995mm | 1695mm | 1620mm |
ヤリスクロス | 4180-4200mm | 1765mm | 1580-1590mm |
スズキ 新型フロンクスの外観
外観は、全高1550mmに収まる低さに加え、リヤゲートを寝かせたデザインにより、5ドアクーペ風に見えます。SUVと5ドアハッチバックの中間的なデザインと言えるでしょう。
一方、フロントマスクには厚みを持たせています。三菱車のダイナミックシールドのようにボディサイドから繋がったバンパー部分にもライトを収めることで、コンパクトなSUVながら迫力を感じさせます。
ボディ側面を見ると、フェンダーにはブラックの樹脂パーツが装着され、ボディ下側にもアンダーガード風の樹脂パーツが備わることで、SUVらしい力強い雰囲気を演出しています。
スズキ 新型フロンクスの内装
内装は、立体的な形状のインパネが特徴です。インドでは75万1500ルピー(日本円で約136万円)からなので、内装は繁雑かと思われそうですが、質感は良好です。
インパネ中央に9インチのディスプレイオーディオが備わり、タッチパネルで操作が可能で、さまざまな情報が表示できます。
新型フロンクスの内装の詳細記事はこちら!
スズキ 新型フロンクスのパワーユニット予想
海外仕様でのパワーユニットは全3種類。1.0Lターボ、1.2Lノーマルエンジン、1.5Lマイルドハイブリッドが用意されています。
同様に海外仕様のトランスミッションも全3種類。5速MT、オートギヤシフト(2ペダル式、クラッチを使う有段式AT)、6速トルクコンバーター式ATがあります。
販売地域によって採用されるパワーユニットは異なりますが、日本に導入されるのは1.5Lマイルドハイブリッドと1.2Lノーマルエンジンで、いずれもATになると予想されます。
スズキ 新型フロンクスのレビュー・評価
ここではスズキ 新型フロンクスの海外仕様をもとに日本仕様を想定し、評価しています。
外観 | 4.0 | ★★★★☆ |
---|---|---|
内装・居住性 | 3.0 | ★★★☆☆ |
走行性能 | 3.0 | ★★★☆☆ |
運転のしやすさ | 4.0 | ★★★★☆ |
乗り心地 | 3.0 | ★★★☆☆ |
燃費 | 4.0 | ★★★★☆ |
価格の割安度 | 5.0 | ★★★★★ |
〇 スズキ 新型フロンクスの良い点
・1550mmに抑えた全高により、都心の機械式駐車場が利用できる
・ベーシックなグレードは車両重量も1トン以下で走りが軽快
・190万円台のグレードも用意されて購入しやすい(価格はあくまでも予想)
× スズキ 新型フロンクスの気になる点
・ボディ後端のピラー(柱)が太めで後方視界はいま一歩
・輸入車のためグレードやメーカーオプションの選択肢が限られる
・輸入すると国内生産に比べて納期も遅延しやすい
スズキ 新型フロンクスの価格予想|190万円台~に抑えそうな理由とは?
冒頭でお伝えしたように、スズキのコンパクトSUVの販売状況を振り返ると、販売を終了したエスクードは低調でした。
同車は、2023年の1ヶ月平均登録台数が約130台に留まり、トヨタ ライズの約5410台に比べると約2%程度と苦戦しました。では、なぜ販売に伸び悩んでしまったのでしょうか。
その原因を振り返ることで、新型フロンクスの予想価格が190万円前後からのスタートとなりそうな理由が見えてきます。
※以下の予想価格については、日本仕様の発表前のものです。
エスクードの販売が伸び悩んだ理由
エスクード販売低迷の背景には、価格の割高感も影響していました。
エスクードは2015年に1.6Lエンジン搭載で登場しましたが、その後1.4Lターボが追加されて1.6Lは廃止され、最終的に1.5Lハイブリッドのみとなりました。
ハイブリッドは4WDのみの設定で、グレードも1種類です。トランスミッションは変速時に若干のショックが生じやすい6速オートギヤシフト。そして装備を充実させる代わりに価格は297万円に達していました。
これら販売には不利な条件が重なり、エスクードはコンパクトSUVが人気を高める中で、販売に伸び悩んだのです。
フロンクスでは190万円台に抑えながら他社SUVに対抗
この反省を踏まえ、フロンクスは低価格グレードが設定されるでしょう。
1.2Lノーマルエンジン搭載のベーシックグレードが導入されるとすれば、衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能を標準装備としながら、価格を190万円台に抑える見込みです。
その根拠としては、ライバル車であるトヨタ ライズ 1.2 Z(204万9000円)、ホンダ WR-V X(209万8800円)などの存在です。フロンクスはベーシックグレードを200万円以下に設定することで、ライバル車と比べて価格の割安性を訴求する戦略となるでしょう。
スズキの「アンダー200万円シリーズ」により販売も堅調になるはず
フロンクスに190万円台のグレードが設定されると、コンパクトカーのスズキ スイフトハイブリッド MX(192万2800円)、コンパクトで背の高いスズキ ソリオハイブリッド MX(192万1700円)などと並び、スズキの小型車に「アンダー200万円シリーズ」が形成されます。
スズキのスペーシアやハスラーといった軽自動車からのアップサイジングにも最適で、販売も堅調に伸びるでしょう。
また、ライズ、WR-V、ヤリスクロスなどとあわせて、コンパクトSUVの選択肢も広がり、選びやすくなります。フロンクスには、さまざまな意味で期待が持てそうです。
2024年8月1日より、実車を確認できる先行展示会が全国各地で随時開催されます。詳しくは、以下のサイト(スズキ公式)をご覧ください。
【筆者:渡辺 陽一郎/写真:和田 清志/マルチ・スズキ/森山 良雄/茂呂 幸正】