【SUVライバル比較】ホンダ 新型ZR-V vs 日産 新型エクストレイル vs トヨタ RAV4 vs マツダ CX-5! サイズ、内外装、走行性能などの実用性から価格&買い得度まで徹底比較【2022年】

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:本田技研工業/小林 岳夫/堤 晋一/茂呂 幸正
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2022年9月8日(木)、ホンダのミドルサイズSUVとして新型ZR-Vが発表されました。すでに大注目を集める新型ZR-Vですが、スペックや性能面でライバルとなるモデルは多数存在します。

今回は登場したばかりの日産 新型エクストレイル、トヨタ RAV4、マツダ CX-5と比較しながら新型ZR-Vの出来栄えをカーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんに解説してもらいました。

目次[開く][閉じる]
  1. 新型ZR-Vが属するミドルサイズSUVはライバルも多数
  2. 新型ZR-Vとそのライバル車の買い得グレードと価格
  3. 新型ZR-Vとライバル車のボディスタイル/サイズ/視界/運転のしやすさ比較
  4. 新型ZR-Vとライバル車の内装デザイン/質感/視認性/操作性比較
  5. 新型ZR-Vとライバル車の前後席の居住性比較
  6. 新型ZR-Vとライバル車の荷室/シートアレンジ/収納設備比較
  7. 新型ZR-Vとライバル車の動力性能&エンジンフィーリング比較
  8. 新型ZR-Vとライバル車の走行安定性と操舵フィーリング比較
  9. 新型ZR-Vとライバル車の乗り心地比較
  10. 新型ZR-Vとライバル車の買い得グレードと割安度比較
  11. 総合評価

新型ZR-Vが属するミドルサイズSUVはライバルも多数

ホンダ ZR-Vは、ホンダのミドルサイズSUV、CR-Vの代わりに発売された新型SUVです。2022年9月8日(木)に価格を含めた詳細ガイドを行ったので、今回は走行性能を含めてライバル車と比べましょう。

新型ZR-Vの全長は約4600mmですから、ライバル車はミドルサイズのSUVです。中心的な大きさとあって車種も多く、人気のライバル車は、新型になった日産 エクストレイル、悪路向けSUVのような野性味を備えるトヨタ RAV4、運転の楽しさを重視するマツダ CX-5の3車です。駆動方式は各車とも4WDに力を入れており、買い得グレードと価格は以下の通りです。

新型ZR-Vとそのライバル車の買い得グレードと価格

新型ZR-V・e:HEV(ハイブリッド)・Z・4WD:411万9500円

日産 新型エクストレイル・G・e-4ORCE(ハイブリッド&4WD):449万9000円

トヨタ RAV4・ハイブリッド・アドベンチャー・E-Four:410万6000円

マツダ CX-5・XD(クリーンディーゼルターボ)・Lパッケージ・4WD:375万1000円

新型ZR-Vとライバル車のボディスタイル/サイズ/視界/運転のしやすさ比較

ボディサイズは4車とも同程度です。外観は新型ZR-Vが個性的で、新型エクストレイルはSUVの王道を行く印象です。

RAV4は野性的で、CX-5は都会的なスポーティ感覚を重視しました。それぞれ性格が異なり、優劣は付きにくいです。

比較の順位:引き分け

新型ZR-Vとライバル車の内装デザイン/質感/視認性/操作性比較

新型ZR-Vは、インパネの周辺などをミドルサイズSUVとしては上質に仕上げました。注意したいのはハイブリッドのe:HEVに装着されたATの操作性で、Dレンジはスイッチを押すタイプなので慣れを要します。

新型エクストレイルもソフトな手触りのパッドを装着して、合成皮革にはステッチも入ります。RAV4もていねいに仕上げましたが、比較的オーソドックスな印象を受けます。視認性や操作性は良いです。CX-5もデザインは大人しいですが、エアコンの吹き出し口など、細部まで上質に造り込みました。

比較の順位:1位:新型エクストレイル 2位:新型ZR-V 3位:CX-5 4位:RAV4

新型ZR-Vとライバル車の前後席の居住性比較

前席は、各車とも快適です。背中から腰、大腿部を支える部分が体を確実にサポートするため、長距離を移動する時も疲れにくいです。

後席は、車種によって広さや座り心地が異なります。身長170cmの大人4名が乗車して、新型ZR-Vの後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半の余裕があります。床と座面の間隔もちょうど良いですが、座り心地には注意したいです。通常はファブリックのシート生地が柔軟で、本革は少し硬くなりますが、新型ZR-VではZの本革シートがベストです。Xのファブリックは、座り心地が柔らかすぎて腰の収まりが良くありません。今回は前述の通り本革のZで比べます。

新型エクストレイルの後席は、前述の測り方で、膝先空間が握りコブシ2つ半です。腰から大腿部をしっかり支えて直進時は快適ですが、カーブを曲がる時はサポート性が不足します。体をもう少し座面に沈ませたり、座面の前側を持ち上げるなど、腰を安定させて欲しいです。

CX-5の後席は、膝先空間が前述の測り方で握りコブシ2つ分です。新型ZR-Vや新型エクストレイルに比べて少し狭いです。その代わり床と座面の間隔が適度で、座り心地にもボリューム感があって快適です。

RAV4の後席は、膝先空間が握りコブシ2つ少々です。腰の支え方が特に優れているわけではありませんが、不満を感じることもないです。

比較の順位:1位:CX-5 2位:RAV4 3位:新型ZR-V 4位:新型エクストレイル

新型ZR-Vとライバル車の荷室/シートアレンジ/収納設備比較

新型ZR-Vのボディは実用指向で、リヤゲートの角度をあまり寝かせていません。背の高い荷物も積みやすいです。残念なのは後席に前後スライド機能が備わらないこと。

新型ZR-Vは後席の足元空間が広く、しかも前席の下に十分な空間があるため、後席に座る乗員の足が前席の下側に収まりやすいです。後席を前寄りにスライドさせても快適性を妨げないため、スライド機能を採用すると、4名乗車時でも荷室を広げて荷物をタップリ積めます。

新型エクストレイルは全グレードの後席にスライド機能が備わります。リヤゲートをさほど寝かせておらず、荷室の使い勝手は良好です。先代型の荷室に用意されていた、汚れを落としやすい素材を復活させて欲しいです。

RAV4は荷室の奥行寸法をタップリ確保しました。後席を使った状態で1015mmの余裕があります。後席のスライド機能はありませんが、荷物を積みやすいです。CX-5の荷室は平均的な使い勝手です。

比較の順位:1位:RAV4 2位:新型エクストレイル 3位:新型ZR-V 4位:CX-5

新型ZR-Vとライバル車の動力性能&エンジンフィーリング比較

新型ZR-Vのe:HEVは、実用域の駆動力に余裕があります。エンジン音はハイブリッドの中でも特に静かで快適です。e:HEVでは、2Lエンジンが発電を受け持ち、駆動はモーターが行います。ドライバーの違和感を抑えるため、発電用エンジンは、一般的なノーマルエンジン車のような回り方をします。エンジン回転が、上下動を繰り返しながら速度を高める制御は過剰な演出ですが、運転感覚は自然です。

新型エクストレイルのe-POWERは、発電のために直列3気筒1.5Lエンジンを使います。このエンジンは、圧縮比を変化させる機能とターボを併用しています。発電量を抑えられる巡航時には、圧縮比を14まで高めて燃料消費量を節約します。

モーターへの電力供給が増える加速時などは、圧縮比を8まで下げてターボを積極的に活用します。この時のモーターの動力性能は、3Lから3.5Lのガソリンエンジンに匹敵します。先進的なVCターボエンジンを発電に使うことで、発電能力、モーターの動力性能、燃費性能、静粛性などをバランス良く向上させました。

e-POWERはモーターのみの駆動とあって、アクセル操作に対する反応は機敏です。実用域の駆動力も高く、アクセルペダルを軽く踏む巡航時は、ノイズも小さくて快適です。アクセルペダルを深く踏むと3気筒エンジンの粗いノイズが聞こえたり、低回転域でエンジンが始動した時の音も少し気になりますが、その頻度は少ないです。

RAV4のハイブリッドは、THS II(トヨタ・ハイブリッド・システム II)と呼ばれる一般的な方式で、直列4気筒2.5Lエンジンがベースです。エンジン排気量が2.5Lで余裕があるため、運転感覚は自然な印象です。注目すべき特徴はありませんが、扱いやすいです。

CX-5は、この4車の中では唯一、ハイブリッドではなくクリーンディーゼルターボを搭載します。直列4気筒2.2Lで、4.5Lのガソリンエンジンに匹敵する駆動力を2000回転の実用域で発揮します。ディーゼルなのでノイズは相応に大きく、ハイブリッドとは直接比較できませんが、SUVに相応しいパワーユニットです。

比較の順位:1位:新型エクストレイル 2位:新型ZR-V 3位:CX-5 4位:RAV4

新型ZR-Vとライバル車の走行安定性と操舵フィーリング比較

新型ZR-Vの操舵感は、機敏ではないですが正確性が高いです。荒れた路面のカーブを通過する時も、4輪がしっかりと接地して、全高が1600mmを超えるSUVとは思えません。下り坂のカーブや危険を避ける時も、後輪の安定性が優れ、不安定な挙動に陥りにくいです。

新型エクストレイルも操舵感が正確です。走行安定性も良いですが、新型ZR-Vに比べると、タイヤの接地性が若干下がります。

その点で同じ新型エクストレイルでもオーテックは、20インチタイヤを装着して、タイヤ銘柄の違いもあってグリップ力が高いです。ステアリングホイールを通じて、路面状況やグリップの具合が掌へ正確に伝わり、安心して運転できます。走りの質はG・e-4ORCEよりもオーテックが勝っています。

RAV4は操舵感が穏やかで、馴染みやすい運転感覚です。走行安定性は特に高くないです。

CX-5の走りは個性的で、車両が積極的に内側へ回り込むスポーティな感覚です。その分だけ後輪の接地性は下がり気味ですが、走行安定性に不安が生じるほどではありません。

比較の順位:1位:新型ZR-V 2位:新型エクストレイル 3位:CX-5 4位:RAV4

新型ZR-Vとライバル車の乗り心地比較

新型ZR-Vは時速50km以下では乗り心地が硬めですが、路面の上をタイヤが細かく跳ねるような粗さを抑えました。重厚感としなやかさが伴って快適です。

新型エクストレイルも路面の接地性は良いですが、新型ZR-Vよりも少し硬く感じます。RAV4は少しメリハリに欠けますが、硬さを抑えて低速域でも馴染みやすいです。CX-5は機敏に曲がる代わりに硬めです。

比較の順位:1位:新型ZR-V 2位:新型エクストレイル 3位:RAV4 4位:CX-5

新型ZR-Vとライバル車の買い得グレードと割安度比較

新型ZR-V・e:HEV・Z・4WDの価格は411万9500円です。LEDアクティブコーナリングライト、カーナビ、本革シート、BOSEプレミアムサウンドシステムなどをすべて標準装着しています。

新型エクストレイル・G・e-4ORCEは449万9000円と高いですが、前述の通りVCターボエンジンを発電機として使うe-POWERを搭載しました。装備は充実しており、プロパイロット緊急停止支援システム、SOSコール、カーナビ、テーラーフィットのシート生地などが採用されます。

RAV4・ハイブリッド・アドベンチャーE-Fourは410万6000円、CX-5・XD・Lパッケージ・4WDは、クリーンディーゼルターボとあって375万1000円に抑えました。

機能や装備と価格のバランスを考えると1位はCX-5です。2位は新型ZR-Vと新型エクストレイルが争います。先進的なVCターボに興味のあるユーザーには新型エクストレイルが割安ですが、一般的には約38万円安い新型ZR-Vが買い得です。

比較の順位:1位:CX-5 2位:新型ZR-V 3位:新型エクストレイル 4位:RAV4

総合評価

新型ZR-Vは、実用性と走りの質を両立させたいユーザーに適します。ただし外観のデザインがオーソドックスなこともあり、ボディがコンパクトに感じられるのが欠点でしょう。価格帯や質感が一回り下がるトヨタ カローラクロスのライバル車のように受け取られると割高に感じられ、損な面があります。

その点で新型エクストレイルは、フロントマスクなども含めて、見栄えが立派に感じられます。VCターボの動力性能も高く、後席の座り心地は不満ですが、車両の機能とイメージは合っています。価格は高めですが、幅広いユーザーに適します。

RAV4はハイブリッドが少し割高です。直列4気筒2Lノーマルガソリンエンジンを搭載する4WDアドベンチャー(348万7000円)がベストです。

新型ZR-Vはハイブリッドが買い得で、新型エクストレイルはハイブリッド専用車ですが、RAV4はノーマルエンジンが主力です。ノーマルエンジンの4WDアドベンチャーには、駆動力の伝達効率を積極的に高めるダイナミックトルクベクタリングAWDも備わります。

CX-5はクリーンディーゼルターボに特徴があり、ハイブリッドの運転感覚が好みに会わないユーザーに適しています。ほかの3車種とは指向性が異なり、良い意味で古典的なSUVの持ち味を残しています。指向性の異なるSUVがそろいました。

【筆者:渡辺 陽一郎/カメラマン:本田技研工業/小林 岳夫/堤 晋一/茂呂 幸正】

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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