トヨタ 新型センチュリーの価格が2500万円の理由と驚くべき販売方法とは|SUVにカテゴリーしない事情も合わせて解説

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2023年9月6日(水)、トヨタ自動車はSUVタイプの「新型センチュリー」を発表しました。2018年から販売されている3代目センチュリー(セダンタイプ)との併売となります。

今回は新型センチュリーの2500万円という値段の設定や販売店によって異なる特殊な販売方法について、カーライフジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが解説します。

目次[開く][閉じる]
  1. 新型センチュリーと従来型のセダンタイプのセンチュリーは今後も併売される
  2. 新型センチュリーの車両諸元・価格
  3. 「センチュリーSUV」という車種名にしなかった理由とは?
  4. センチュリー(セダンタイプ)の販売低迷はトヨタ アルファードの人気によるもの?
  5. 新型センチュリーの販売方法|販売店によっては審査や法人のみなど制限がかかる

新型センチュリーと従来型のセダンタイプのセンチュリーは今後も併売される

2023年9月に、トヨタが「新型センチュリー」を発表しました。センチュリーは後席の快適性を重視するトヨタの最上級車種です。センチュリーの初代モデルは1967年、2代目は1997年、今でも販売している3代目は2018年に発売されました。フルモデルチェンジの周期が20〜30年と長いです。

新型センチュリーの発売は2023年内と予定されていますが、2018年に発売されたセダンタイプのセンチュリーも売り続けるそうです。新型センチュリーは追加モデルですが、新型センチュリーと従来の3代目センチュリー(セダンタイプ)を区別するための新しい名称は付いていません。トヨタのホームページでは、新型がセンチュリー、従来型はセンチュリー(セダンタイプ)と表記されています。

新発センチュリーのボディサイズは、全長が5205mm、全幅は1990mm、全高は1805mmです。従来型のセダンタイプは全長5335mm、全幅1930mm、全高1505mmなので、新型は全高が300mm高いです。

新型センチュリーの車両諸元・価格

車両諸元

車両諸元センチュリーセンチュリー(セダン)

全長

5,205mm

5,335mm

全幅

1,990mm

1,930mm

全高

1,805mm

1,505mm

ホイールベース

2,950mm

3,090mm

前後席間距離

1,220mm

1,135mm

車両重量

2,570kg

2,370kg

定員

4名

5名

パワートレイン・トランスミッション・駆動方式

パワートレイントランスミッション駆動価格(税込)

シリーズパラレルプラグインハイブリッドシステム
(2GR-FXS 3.5L V型6気筒エンジン)

電気式無段変速機

E-Four
Advanced

2500万円

新型センチュリーのこのボディサイズとデザインから考えると、「SUVタイプ」と思われますが、トヨタでは「SUVではない」と説明しています。

トヨタのホームページでも新型センチュリーはSUVには分類されず、セダンタイプも含めて「センチュリー」という別枠に収められています。

ところが大阪トヨタのホームページに掲載されるカーラインナップを見ると、新型センチュリーはSUVに分類され、従来型のセンチュリーはセダンに入れられています。

メーカーと一部の販売会社では、センチュリーの捉え方が異なるようです。ユーザー目線で見ると、新型はSUVの形状なので、大阪トヨタの分類が分かりやすいです。

「センチュリーSUV」という車種名にしなかった理由とは?

新型センチュリーの価格は2500万円です。ユーザーから見ると、この価格帯の車種は、上級のレクサスブランドに含めるのが妥当でしょう。

セダンタイプのセンチュリーは、初代モデルをレクサスブランドが生まれる前の1967年に発売しており、その後もフルモデルチェンジを重ねてきました。

従って新型センチュリーも従来のセンチュリーと同じくトヨタブランドに属します。ただし、2500万円という価格で見るとレクサスブランドの方が、価格帯の近いモデルが多く、分かりやすいです。

そこで改めて考えるとセンチュリーは「今後しばらくしたら、セダンタイプを廃止して、SUVタイプに統合するのか?」という邪推も生じます。セダンタイプの売れ行きが芳しくないからです。

セダンタイプの現行センチュリーを2018年に発売した時、1か月の販売目標は50台でした。しかし2019年の登録台数は、フルモデルチェンジ直後でも1か月平均が32台でした。

2020年はコロナ禍の影響も受けて1か月平均が12台、2021年は5台、2022年は13台です。月販目標の50台を大幅に下まわるため、何らかの対策が行われるのが自然でしょう。

その対策としてセダンタイプの廃止とSUVタイプの採用だと仮定すれば、新型センチュリーにセダンタイプと区別するサブネームを付けず、なおかつ「SUVではない」と位置付けるのも納得できます。新型センチュリーはカテゴリーにこだわる以前に「新型センチュリー」になるからです。

ただし仮にセンチュリーをセダンタイプからSUVタイプへ切り替えるとしても、単純にはできません。売れ行きが月販目標台数を大きく下まわると、開発や生産設備などの投資を回収しにくいからです。

経営的に見れば、損失が生じない一定の台数をつくる必要があり、今後もしばらくはセダンタイプとSUVタイプを併売すると思われます。

センチュリー(セダンタイプ)の販売低迷はトヨタ アルファードの人気によるもの?

また、センチュリーのセダンタイプが売れ行きを下げた理由に、トヨタ 新型アルファードの人気が高いこともあります。

販売店は「クラウンほどではありませんが、センチュリーを使う一部のお客様も、アルファードに乗り替えました」とコメントしています。

センチュリーの価格も販売台数に影響を与えたでしょう。セダンタイプで2代目になる先代センチュリーが販売を終えた時の価格は1253万8286円でした。

それが3代目の現行型は2018年に1960万円で発売され(2023年現在の価格は2008万円)、700万円以上も値上げされました。

これまでご紹介したように、3代目の現行モデルの方が2代目よりも値上げされています。しかし、エンジンは現行の3代目よりも先代の2代目センチュリーの方が高コストでした。

セダンタイプの現行センチュリーはV型8気筒5Lエンジンを使ったハイブリッドが搭載されています。セダンタイプの現行センチュリーのパワーユニットやプラットフォームは、先代レクサス LS600hLと基本的に共通です。先代LS600hLの駆動方式は4WDでしたが、現行センチュリーは後輪駆動の2WDに変更されています。

一方、2代目の先代センチュリーは専用開発されたV型12気筒5Lエンジンが搭載され、そのメカニズムは2系統に分かれています。

2代目の先代センチュリーのV型12気筒エンジンは、極端にいえばエンジンを狙撃されても、もう片側の6気筒を使って走行を続けられる設計です。プラットフォームも専用開発なので、3代目の現行センチュリーに比べて低コストではありません。

それなのになぜ現行センチュリーは700万円も値上げしたのか。開発者に尋ねると以下のように返答されました。

「1997年に2代目が発売された時は、センチュリーはトヨタの最上級車種でした。従って堅調な販売を見込めましたが、今(2018年当時)は、上級ブランドのレクサスがあります。センチュリーは売れ行きが下がるために価格を高めました」。

1997年に先代型の2代目センチュリーが発売された時の月販目標は200台でした。しかし2018年に3代目が発売された時は、国内で既にセダンタイプのレクサス LSも販売されており、センチュリーは需要を奪われることも想定して月販目標を50台に抑えました。

つまり3代目の現行センチュリーは、コストではなく、主に量産効果を得にくいために700万円以上も値上げされました。その結果、割高感が生じて、前述のように販売が低迷した事情もあるでしょう。皮肉な話ですね。

それなら新型センチュリーはどうでしょう。新型センチュリーの価格は2500万円なので、現行センチュリーのセダンタイプとはバランスが取れています。

新型センチュリーのパワーユニットは、V型6気筒3.5Lエンジンを使ったプラグインハイブリッドで、北米専用モデルとして売られる3列シートのSUVタイプである新型レクサス TX550h+/プラグインハイブリッドに近いです。

新型センチュリーとレクサスTXはホイールベース(前輪と後輪の間隔)も、2950mm/北米仕様は116.1インチで共通なので、プラットフォームも同じものを使っているでしょう。つまり現行センチュリーのセダンタイプと同様、生産台数を前提にした価格設定です。

新型センチュリーの2500万円という価格は日本車の中では高いですが、レンジローバーのプラグインハイブリッドは、価格帯が2200〜2800万円です。

またメルセデス・ベンツのマイバッハGLS600・4マチックは3010万円なので、輸入SUVとの比較では驚くような価格ではありません。

その代わり1997年に発売された2代目センチュリーの1253万8286円に比べると、価格は約2倍です。新型センチュリーの価格は捉え方次第で評価が変わります。

新型センチュリーの販売方法|販売店によっては審査や法人のみなど制限がかかる

新型センチュリーは少量生産で、供給が需要に追い付かないことも想定されます。そこで販売店に売り方を尋ねると、販売会社によって返答が異なりました。その概要は以下の通りです(ほかの売り方もあると思われます)。

(1)新型センチュリーはリースのみです。ウェブサイトで申し込んだ後、専門のセンチュリーマイスターと面談します。ただし事前にお客様を審査させていただき、面談まで進めない場合もあります。審査の基準は申し上げられません。

(2)リースではなく販売していますが、弊社からトヨタ車を20台以上購入された取り引きのあるお客様に限られます。従って現実的には法人のお客様になります。

(3)リースではなく販売していますが、現時点でセンチュリーを所有するお客様に限定させていただきます。過去にセンチュリーの購入経験があっても、現時点で所有していなければ、新型を買うことはできません。

新型センチュリーの販売方法については、販売会社による返答の違いが興味深いです。

気になったのは(1)で、ウェブサイトで申し込んだ後、事前の審査があり、面談を断わられる場合もあることです。

新型センチュリーは2500万円の高価格車で、保管の仕方次第では盗難の心配もあります。現金購入の可能な予算を用意できる人が、車庫の建て直しなども検討した上で、申し込みをすることもあるでしょう。

そのような人に「慎重に審査をいたしましたが、お客様のご要望に沿えない結果となりました」と返答したら、ユーザーはどのような気持ちになるでしょうか。お客様を審査するよりも、まだ抽選の方が不快感は生じにくいでしょう。

また販売会社によっては「ウェブサイトでは、お客様によっては軽い気持ちで申し込むため、応募も増えやすいです。そこで面倒ですが販売店でアンケートに記入していただき、その後に面談を行います」という返答もありました。

この方式なら、販売店に出向いてアンケートに記入する段階で、現実的に購入可能なユーザーに絞り込めるでしょう。

新型センチュリーは、大量に売られる商品ではありませんが、メーカーや販売会社の顧客に向き合う姿勢が浮き彫りになりそうです。

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筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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