トヨタ センチュリー|「普通の人は購入できない」は本当なのか?

トヨタ センチュリーにまつわる都市伝説2つを徹底検証!

2018年6月にトヨタ センチュリーがフルモデルチェンジを行い、3代目となる新型に刷新された。

このセンチュリーには以前から都市伝説があり「普通の人は買えない」とか「買いたいと申し出た場合は、審査を行って販売するか否かを決める」などといわれた。この話題は2018年8月3日に掲載した「センチュリーの後席試乗」でも触れたが、改めて取り上げたい。

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基本的には誰でも購入できるが、“ある”購入条件が判明

「普通の人は買えない」という話の真偽を開発者に尋ねると、「どなたにも購入していただけます」と返答され、都市伝説はキッパリ否定された。販売店でも同様の返答だったが、今回は複数のトヨタ店で同じ質問をしてみた。すると意外に返答の内容が異なる。

「センチュリーの場合、価格が高いので(先代型は1253万8286円/新型は1960万円)、申し込む時の手付け金も高額です。100万円を納めていただきます。それが購入の条件ともいえるでしょう」という。センチュリーは前述のように価格が高く、新型の生産台数は1か月当たり50台と少ないから、約5%に相当する100万円を先に納めるのも不自然とはいえないだろう。

問題はその後で、販売店によっては「審査をするかも知れない、というか、場合によってですが…」などと歯切れが悪ことをいう。どういう意味かを尋ねると「反社会的な人達だったり、あるいは転売目的の業者だったり、センチュリーは特殊なクルマなので、売る時にも注意が必要なのです」と説明した。

反社会的な人達に販売できないのは、センチュリーに限った話ではない。転売目的の業者というのも、可能性はあるだろう。

新型ジムニーや新型NSXが転売目的で・・・!?

例えばスズキの新型ジムニーは、1年間の販売目標がジムニー:1万5000台、ジムニーシエラ:1200台とされ、すでにこの台数を超える受注を受けたという。正確な納期は不明瞭だが、1年間の販売目標をすでに達成したことになるから、多くの販売店では「納期は1年以上」と説明している。

そして届け出済み、あるいは未届けの車両も含めて、いくつかの中古車販売店が新型ジムニーを売り出しており、定価145万8000円~184万1400円にも関わらず、中古販売価格が200万円を超える車両もある。ホンダ NSXも新車価格は2370万円だが、2400万円~2800万円の中古車が売られている。

いわゆるプレミアム価格だ。このように趣味性が強く、生産規模の少ない新型車は、いろいろな扱われ方をするから販売店が慎重になることもあるだろう。

 

注意深く販売されていた初代センチュリー

そして1992年に入社したベテランのセールスマンからは「初代センチュリーは注意深く販売していた」という話を聞けた。「私が入社した時は、初代センチュリー(1967~1997年)を扱っていました。この時には慎重に売っていた記憶があります。というのも1992年の時点で初代センチュリーは発売から25年を経過しており、メカニズムが古く、しかも複雑だったからです」という。

確かに初代センチュリーは約30年間にわたって販売された。しかも60年代から90年代という激動の時代をフルモデルチェンジせずに生き抜いたから、多岐にわたる改良を受けている。

1967年の発売時点で搭載されたエンジンはV型8気筒だが、排気量は3リッターと小さい。最高出力は150馬力(5200回転)、最大トルクは24kg-m(3600回転/いずれもグロス表示)で、滑らかに静かに回ることを重視した。アルミ製のブロックを使うことも特徴だった。

フロントサスペンションはトレーリングアーム式で、日本初とされたエアサスペンションを採用している。かなり凝った構造であった。この後、1970年代の中盤には昭和50年排出ガス規制も実施され、フルモデルチェンジをせずに、エンジンから足まわりまでさまざまなメカニズムが変更を受けた。V型8気筒エンジンは、最終的に4リッターまで拡大された。

つまり1990年代の初代センチュリーは、複雑な変遷をたどったクラシックカーを近代技術で造り続けるようなものだった。そこで「どういった使われ方をするのか」「誰が運転するのか」「定期的なメンテナンスを確実に受けられるのか」など、やかましい話になったのだろう。これが都市伝説の正体だと思われる。

3代目の現行型は格下げ!?

初代センチュリーに比べると、3代目の現行型は格下げされた印象が強い。初代モデルの独創的なエンジンやサスペンション、2代目が搭載したV型12気筒5リッターエンジンのような、センチュリーだけの特別な高等技術はない。V型8気筒5リッターのハイブリッドとプラットフォームは、先代レクサスLSと共通だ。

内装の素材は吟味されて後席はリムジン風に造り込んだが、先代型に比べて700万円も値上げした価値の違いは見当たらない。商品の価値というより、販売規模が小さいために1台当たりの単価が高まった。

「普通の人は買えない」とか「審査を行って売るか決める」といったことは、絶対にあってはならない話だが、新型センチュリーからは、もはやそのような都市伝説が生まれることもないだろう。何だかつまらない気もするが、それで良いのだ。

「センチュリーのカタログは購入意思がないともらえない」は本当か?

「センチュリーのカタログは高価だから、購入する意思を示さないともらえない」という話も聞くが、これも都市伝説だ。どこの販売店でも「差し上げますよ」といわれた。「簡易カタログなのか?」と疑うと「そんなものはありません。カタログは1種類だけです」といわれた。

ただしハードカバーでコストの高いカタログだから「部数が少なくて時々品切れになる」という。今はフルモデルチェンジの直後だから、求める人も多いらしい。

ちなみにセンチュリーの納期を尋ねると、2018年8月中旬の契約で、2019年の3月頃だ。つまり約7ヶ月。新型ジムニーよりも短い。

[レポート;渡辺陽一郎/Photo:小林 岳夫]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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