トヨタ新型クラウン2.5ハイブリッド実燃費レポート|見た目だけじゃない!?15回目の進化を検証してみた(5/6)

  • 筆者: 永田 恵一
  • カメラマン:小林岳夫・永田恵一
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トヨタ新型クラウン2.5ハイブリッド実燃費レポート|総合評価

新型クラウン2.5ハイブリッド 総合実燃費 20.0km/L

トヨタ新型クラウン実燃費レポート|総合評価
車種名市街地実燃費カタログ燃費(WLTCモード)

新型クラウン2.5ハイブリッド

20.0km/L

24.0km/L(20.9km/L)

先代初期型クラウンハイブリッド

17.7km/L

23.2km/L

現行カムリハイブリッド

23.7km/L

28.4km/L

新型クラウンの2.5リッターハイブリッドは前述したカーナビの操作性と乗り心地が期待値に届かなかった面はある。しかし、燃費や安全装備はもちろん、新しいTNGA Lプラットホームナロー版の採用による基本性能など、先代モデルを基準にすれば2ランク近い進化を果たした高級車に仕上がっていた。

また、「安楽で日本の交通環境に合った高級車だけど、目立たないながらシッカリとした芯もある」というクラウンの良きDNAはそのまま受け継がれており、全体的によくまとまった車と言えるだろう。

各世代にストーリーを持つ歴代クラウンの中で、現行15代目モデルも「大改革を行ったクラウン」として歴史に名を残すに違いない。

15代目トヨタ新型クラウンの概要

クラウンは、誕生から63年間という長い歴史と伝統を持ち、誕生から61年という日産スカイラインと並び日本車を代表するラージセダンである。

クラウンは「保守的なクルマ」というイメージが強いモデルだが、アヴァンギャルドなスタイルを採用しクラウンとしては珍しい失敗作に終わった4代目、トラクションコントロールやVSC(横滑り防止装置)の初採用、メインとなるエンジンを6気筒から4気筒ハイブリッドとし、ピンクのボディカラーを限定発売した2012年登場の先代14代目モデルなど、各世代で記憶に残る挑戦を度々行ってきたモデルである。

2017年の東京モーターショーでの出展を経て、2018年6月、ほぼ6年振りにフルモデルチェンジされ登場した現行15代目クラウンの大きなテーマは「ユーザーの若返り」である。

この問題は、ここ10年以上クラウンの開発における大きなテーマとなっており、2003年登場のゼロクラウンのニックネームを持つ12代目モデルや、先代14代目モデルでもユーザーの若返りに注力してはいたものの、ユーザーの高齢化は進み、現行クラウン登場前のユーザーの平均年齢は70歳に近いという。

一方で、クラウンの想定購入層はと言うと、以前に比べれば買いやすくなったメルセデス・ベンツCクラス&Eクラス、BMW3シリーズ&5シリーズといった輸入車へ流れつつあったのは否めない。

もともとクラウンは、現クラウンユーザーが次もクラウンへ代替する率が非常に高いモデルである。新規ユーザーが増えないまま、世代を重ねるごとにクラウンユーザーの平均年齢の高齢化が進み、結果として”おじさん(おじいさん!?)の乗るクルマ”というイメージが強くなりつつあったのだ。

そんな状況を踏まえ、トヨタの強い危機感から産まれたのが現行クラウンである。

新型クラウンの特徴

新型クラウンの特徴的な点としては、

1.車両後方の太いCピラーに王冠のマークが着く伝統的なクラウンのスタイルを、Cピラーに窓を設けたシックスライトを採用するなど、4ドアクーペ的な要素も持つ若々しいものに一新。

2.クルマの土台となるプラットホームは、12代目モデルのゼロクラウンから先代14代目モデルまで三世代に渡って長年使われたものから、トヨタが2015年登場の現行プリウス以来「いいクルマを造るには体幹から鍛えなければならない」というコンセプトで開発された、TNGAプラットホームに変更。

TNGAプラットホームは現在プリウスやC-HRに使われるCプラットホーム、カムリに使われるKプラットホーム、後輪駆動用でレクサスLS、LCに使われるLプラットホームがある中、現行クラウンは日本での使用を考慮し全幅を1800mmに収めなければならないという事情もあり、Lプラットホームの全幅を狭めたものを使う。

新型クラウンは中国で生産、販売される可能性はあるにせよ、基本的に日本専売で平均スピードの遅い地域向けの車であるが、世界一厳しいテストコースとも言われる、ニュルブルクリンク北コースで異例とも言えるタフでハイスピードなテストを行ったことも大きな話題となっている。

新型クラウンのエンジン、トランスミッションといったパワートレーンは3つ。

1.主力となる発電用、駆動用のモーターを持つ2.5リッター直4ハイブリッドのJC08モード燃費は、2WDが23.4~24.0km/L、4WDが20.8~21.0km/L(最高出力184馬力&最大トルク22.5kgm、駆動用モーター143馬力、エンジンとモーターを合計した実質的な最高出力となるシステム出力は226馬力)

2.ハイパワーハイブリッドとなる高性能な発電用、駆動用のモーターを持つ3.5リッターV6ハイブリッドは、2WDのみの設定でJC08モード燃費16.0km/L(最高出力299馬力&最大トルク36.5kgm、駆動用モーター180馬力、システム出力は359馬力:レクサスLC500h、LS500hにも搭載される)

3.現行クラウンで最もスポーティな性格となる、8速ATと組み合わされる2リッター直4ターボのJC08モード燃費は12.8km/L(最高出力245馬力&最大トルク35.7kgm)

エコカー減税は、2.5リッターハイブリッドが4WDを含め全グレードが取得税と重量税の免税、3.5リッターハイブリッドも全グレードが取得税80%ないし60%軽減、重量税75%軽減が適応となる。

進化した自立自動ブレーキ

先代クラウンではライバル車に対し劣勢だった自立自動ブレーキや運転支援システムは、2017年末にマイナーチェンジされたアルファード&ヴェルファイアから採用が始まった、新世代のトヨタセーフティセンスが新型クラウンの全グレードに標準装備される。

新型クラウンに装備されるトヨタセーフティセンスは、走行中車線の中央を維持して走行するLTA(レーントレーシングアシスト)、停止まで対応する先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール、イザという時の自立自動ブレーキ機能、夜間遠くまで見通せるハイビームを積極的に使うオートマチックハイビーム、制限速度、はみ出し通行禁止、進入禁止、一時停止の標識をメーター内に表示するRSA(ロードサインアシスト)、先行車発進告知機能という豊富な機能から構成される。

特に自立自動ブレーキに関しては、車両のような物体はもちろん、日中や夜間の歩行者にも対応していることが公表されており、日本で販売される車のなかでトップクラスの性能を持つことが期待できる。

刷新された車種構成

そして、車種構成もガラッと整理された。先代モデルまでのフォーマルなロイヤル系、スポーティなアスリート、ボディサイズも大きくロイヤル系以上にフォーマルなマジェスタ、というほど細分化されていないのも特徴だ。

新型クラウンでは大きく分けて2つのラインナップに整理された。ひとつは標準系、もうひとつはスポーティなRS系(RSはランナバウトスポーツの略、軽快に走りスポーツセダンくらいの意味合いだろうか)である。3.5リッターハイブリッドについては、旧型のクラウンマジェスタの受け皿的な役割も担う。

トヨタ新型クラウンの主要スペック
車種名クラウン

グレード

2.5G(2.5L+モーター)

駆動方式

2WD

トランスミッション

CVT

価格(消費税込)

5,621,000万円

WLTCモード総合燃費

20.0km/L

WLTC市街地モード

17.2km/L

WLTC郊外モード

20.8km/L

WLTC高速道路モード燃費

20.9km/L

JC08モード燃費

24.0km/L

全長

4,910mm

全幅(車幅)

1,800mm

全高(車高)

1,455mm

ホイールベース

2,920mm

乗車定員

5人

車両重量(車重)

1,750kg

エンジン

直列4気筒直噴エンジン

排気量

2.487cc

エンジン最高出力

135kW(184PS)/6,000rpm

エンジン最大トルク

221Nm(22.5kgm)/3,800~5,400rpm

モーター最高出力

105kW(143PS)

モーター最大トルク

300N・m(30.6kgf・m)

燃料

無鉛レギュラーガソリン

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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