トヨタ 新型クラウンエステートは価格635万円のハイブリッドが買い得? 受注状況なども解説

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:トヨタ自動車/MOTA編集部
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トヨタ 新型クラウンエステートは、クラウンシリーズの最新モデルとして2025年3月に発売。SUVの力強さとワゴンの実用性を兼ね備え、多様なニーズに応える注目の1台です。

本記事では、カーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが、新型クラウンエステートの主な特徴や、グレード構成、グレード別の価格や装備の違い、PHEV・ハイブリッド比較、ライバル車との比較、受注状況、購入時の注意点などを解説します。

目次[開く][閉じる]
  1. 新型クラウンエステートとは?
  2. ボディサイズと取り回し、運転感覚
  3. 内装(インパネ周り)と後席、荷室
  4. グレード構成とグレード別価格、装備の違い
  5. PHEVモデルとハイブリッドモデル、どちらが買い得?
  6. 新型クラウンエステート「Z」のライバル車と比較
  7. 販売店での受注状況と注意点
  8. 新型クラウンエステートの評価

新型クラウンエステートとは?

現在のトヨタ クラウンは、顧客の幅広いニーズに応えるため、SUVを中心にシリーズ展開されています。

その4番目の車種が、2025年3月に発売されたSUVとワゴンの魅力を融合させた新型クラウンエステートです。

新型クラウンエステートのコンセプトやデザインは2022年7月に披露されましたが、その後、トヨタの型式指定申請に関する不正問題などの影響を受け、発売が延期されました。

ボディサイズと取り回し、運転感覚

新型クラウンエステートのボディサイズは全長は4930mm、全幅は1880mm、全高は1625mmです。クラウンシリーズのSUVでは最も大きいです。

ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も2850mmと長く、後輪操舵システム(※)の採用で最小回転半径は5.5mに抑えましたが、街中で運転しにくく感じる場合があります。

項目数値

全長

4930mm

全幅

1880mm

全高

1625mm

ホイールベース

2850mm

最小回転半径

5.5m

ボディ後端のピラー(柱)が太く、後方視界が限られているため、購入を検討される際には、販売店の試乗車で車庫入れや縦列駐車のしやすさなどを十分に確認されることをおすすめします。

※車速に応じて車両の後輪を操舵するシステムのこと。例えば低速走行時には前輪とは逆方向に後輪を操舵することで、回転半径を小さくし、狭い場所での取り回しを容易にします。

内装(インパネ周り)と後席、荷室

新型クラウンエステートのインパネ周りのデザインは、クラウンのクロスオーバーやスポーツと共通する部分が多いですが、上級Lサイズモデルらしく、内装の質感は高く、装飾も凝っています。

エアコンのスイッチは手の届きやすい高い位置に配置され、操作性に優れています。前後に動かすATレバーも使いやすいデザインです。

後席と荷室

新型クラウンエステートは、後席と荷室が広く、居住性に優れています。

身長170cmの大人4名乗車時、後席の膝先空間は握りこぶし3つ分と、ゆったりとした広さを確保しています。これは、クラウンスポーツの握りこぶし2つ分、クラウンクロスオーバーの2つ半と比較しても広いです。

クラウンクロスオーバーは、全高を1540mmに抑えたスタイリングのため、頭上空間はやや狭く感じられます。一方、新型クラウンエステートは、頭上空間と足元空間の両方が広く、後席乗員は快適に過ごせるでしょう。

車種後席膝先空間

新型クラウンエステート

握りこぶし3つ分

クラウンスポーツ

握りこぶし2つ分

クラウンクロスオーバー

握りこぶし2つ半

新型クラウンエステートの荷室も広く、注目すべき点です。荷室長は、後席使用時で1070mm、後席の背もたれを前方に倒すと約2000mmに達します。広い床面積を備えているため、車中泊にも十分活用できるでしょう。荷室容量は後席使用時で570Lです。

参考までに、クラウンスポーツの荷室長は後席使用時で959mm、荷室容量は397Lです。

クラウンクロスオーバーは、荷室が後席から独立したセダンタイプのボディのため、荷室形状は異なりますが、荷室容量は450L(スペアタイヤ非装着車)と、クラウンスポーツよりは余裕があります。しかし、新型クラウンエステートの荷室容量には及びません。

車種荷室容量(後席使用時)

新型クラウンエステート

570L

クラウンスポーツ

397L

クラウンクロスオーバー

432~450L

販売店では「お客様からの情報では、クラウンスポーツとクラウンクロスオーバーはゴルフバッグを積みにくいという声があり、ハリアーを選ぶ方もいるようです。しかし、新型クラウンエステートならゴルフバッグも十分に積めます」とのことです。

このように、後席と荷室が広い新型クラウンエステートは、ファミリーカーとしても使いやすく、ゴルフやアウトドアアクティビティを楽しみたい方にもおすすめです。

グレード構成とグレード別価格、装備の違い

新型クラウンエステートのグレード構成は、2.5Lハイブリッドを搭載した「Z」と、2.5L PHEVを搭載した「RS」の2種類です。価格は「Z」が635万円、「RS」が810万円となります。

グレードパワーユニット価格

Z

2.5L ハイブリッド

635万円

RS

2.5L PHEV

810万円

いずれのグレードも4WD(E-Four)と後輪操舵システムを備えています。また、渋滞時にステアリングホイールから手を離しても運転支援が継続する機能(トヨタチームメイト[アドバンスト ドライブ])や、本革シートも標準装備されており、実質的にどちらも最上級グレードです。

PHEVモデルは、1回の充電でWLTCモード走行時、89kmの距離を走行可能です。エンジンとモーターを合わせたシステム最高出力は、ハイブリッドモデルが243馬力、PHEVモデルが306馬力へと強化されています。

HEVモデルの「RS」は、ハイブリッドモデルの「Z」と比較して175万円高額です。しかし、価格差に見合うだけの追加装備と性能向上が図られています。

具体的には、ショックアブソーバーの減衰力を走行状態に応じて変化させるサスペンションシステム「AVS」、後席シートヒーター、デッキチェア&テーブルなどが追加され、ブレーキも強化されています。

PHEVモデルとハイブリッドモデル、どちらが買い得?

新型クラウンエステートで買い得グレードは、ハイブリッドモデルの「Z」です。

その理由として、PHEVモデルを選択した場合、パワーユニットの違いによって実質的にどれくらいの価格差が生じるのかを算出してみました。

PHEVシステムの実質価格

新型クラウンエステートの「Z」に対して「RS」で追加される装備を個別に価格換算すると、合計で約20万円になります。

この20万円を「Z」と「RS」の価格差である175万円から差し引いた155万円が、PHEVシステムを選択するための実質的な追加費用となります。

さらに、国からPHEV車に対して交付される補助金55万円も考慮すると、PHEVシステムの実質的な負担額は約100万円です。

ハリアーのPHEVシステム実質価格と比較

新型クラウンエステートのPHEVモデルが本当にお買い得なのかを検証するために、ハリアーのハイブリッドモデルとPHEVモデルを比較してみましょう。

ハリアーのPHEVモデル「Z」には、ほぼ同等の内装と装備を持つハイブリッドモデル「Z“Leather Package”」に対して、「パノラミックビューモニター」や後席シートヒーターなど、約17万円相当の装備が追加されています。

ハイブリッドモデルとPHEVモデルの価格差は約105万円であるため、装備相当額の17万円を差し引き、さらに補助金の55万円を差し引くと、PHEVシステムの実際の負担額は約33万円にまで抑えられます。

項目エステートハリアー

PHEV・ハイブリッドの価格差

175万円

約105万円

PHEV追加装備の価格換算

約20万円

約17万円

国からの補助金

55万円

55万円

PHEVシステム実質価格

約100万円

約33万円

PHEVの性能は同等

ハリアーのPHEVモデルは、新型クラウンエステートと同じ306馬力のシステム最高出力を持ち、WLTCモード走行時のEV走行距離も93kmと、ほぼ同等の性能を備えています。

しかし、PHEVシステムの実際の負担額を比較すると、新型クラウンエステートは約100万円であるのに対し、ハリアーは約33万円と大きな差があります。PHEVシステムの性能が同等であることを考慮すると、新型クラウンエステートのPHEVモデルは割高と言わざるを得ません。

したがって、新型クラウンエステートで買い得のグレードは、ハイブリッドモデルの「Z」となります。

新型クラウンエステート「Z」のライバル車と比較

続いて、新型クラウンエステート「Z」の買い得度をクラウンスポーツやハリアーと比較してみましょう。

クラウンスポーツ「Z」と比較

ハイブリッドモデルでメカニズムと装備が類似しているトヨタ クラウンスポーツ「Z」は590万円です。新型クラウンエステート「Z」の価格は635万円であるため、45万円高くなります。

しかし、ボディサイズが拡大され、後席と荷室の広さが向上している点を考慮すると、この価格差は妥当と言えるでしょう。

ハリアー「Z“Leather Package” E-Four」と比較

強力なライバルとなるのは、ハリアーです。ハリアーのハイブリッドモデル「Z“Leather Package” E-Four」は514万8000円であり、同等のパワーユニットを搭載する新型クラウンエステート「Z」よりも120万2000円安くなります。

機能面を比較すると、ハリアーのハイブリッドモデル(E-Four)のシステム最高出力は222馬力であるのに対し、新型クラウンエステートのハイブリッドモデルは243馬力と上回ります。

また、新型クラウンエステートには後輪操舵システムやトヨタプレミアムサウンドシステムなどが標準装備されますが、ハリアーにはこれらの装備はありません。アルミホイールも新型クラウンエステートは21インチであるのに対し、ハリアーは19インチにとどまります。

荷室と後席を比較

荷室の広さを比較すると、ハリアーは後席使用時の荷室長が985mm、後席格納時が1805mm、後席使用時の荷室容量が409Lであるのに対し、新型クラウンエステートはそれぞれ1070mm、2000mm、570Lと、全ての項目で上回っています。

後席の居住性についても、ハリアーの後席膝先空間は、前述の計測方法で握りこぶし2つ分であるのに対し、新型クラウンエステートは3つ分と、より広い空間を確保しています。

項目エステートハリアー

荷室長(後席使用時)

1070mm

985mm

荷室長(後席格納時)

2000mm

1805mm

荷室容量(後席使用時)

570L

409L

後席膝先空間

握りこぶし3つ分

握りこぶし2つ分

価格だけで判断すれば、120万円も安価なハリアーを買い得と考えるユーザーも多いかもしれません。

しかし、トヨタの上級SUVを検討する際には、新型クラウンエステート、クラウンスポーツ、ハリアーの3車種を実際に乗り比べ、自身の使用目的に合った車種を選ぶことをおすすめします。

どの車が「買い」であるかの判断は、個人の価値観によって異なります。「新型クラウンエステートとハリアーの間に、120万円の価格差に見合うだけの価値の違いがあるかどうか」を判断基準として、実際に試乗して比較検討することをおすすめします。

販売店での受注状況と注意点

新型クラウンエステートについて販売店に取材したところ、以下の回答が得られました。

「外観が公表されてから長い期間が経過しており、発売を待ち望んでいたお客様が多数いらっしゃいます。そのため、受注も急増しています。

特にハイブリッドモデルは受注が好調ですが、各販売会社への割り当て台数は決して多くありません。したがって、購入をご希望のお客様には、早急なご契約をおすすめしています。

割り当て台数に上限が達すると、アルファードやランドクルーザーのように受注が停止する可能性があるからです。」

他のクラウンシリーズの受注状況

ちなみに、他のクラウンシリーズについても取材したところ、販売会社によって回答が異なり、「クラウンシリーズ全体の受注が停止中」「一部グレードを除き受注を継続中」「クラウンスポーツは在庫あり」など、様々な状況が見られました。

クラウンのような高価格帯の車種は、販売状況に地域差があり、販売会社によっても事情が異なります。しかし、これまでのクラウンシリーズの販売動向から考えると、販売店の指摘通り、受注が停止する可能性は十分に考えられます。

新型クラウンエステートの月販基準台数も1500台(うちPHEVモデルは500台)と多くはありません。

購入予定ならば早めに商談を

購入を希望する場合は、早めに商談を開始することをおすすめします。その際、最寄りの販売店で受注が停止していても、販売会社が異なれば購入できる可能性もあります。一度断られても諦めずに、複数の販売会社に問い合わせてみましょう。

KINTOの活用も検討

また、定額制カーリースのKINTOを利用する方法もあります。ただし、KINTOは契約期間満了後に車両を返却する必要があるため、所有権を得ることはできません。また、走行距離などの制約も多くなります。

しかし、KINTOでは最長7年の契約が可能であり、最近では販売店が受注を停止しながら、KINTOでは受付を継続するケースも増えています。受注が停止した場合は、KINTOの利用も検討してみると良いでしょう。

新型クラウンエステートの評価

新型クラウンエステートについての評価は以下のとおりです。

外観

4.0

★★★★☆

内装・居住性

5.0

★★★★★

走行性能

3.0

★★★☆☆

運転のしやすさ

2.0

★★☆☆☆

乗り心地

4.0

★★★★☆

燃費

3.0

★★★☆☆

価格の割安度

2.0

★★☆☆☆

新型クラウンエステートの良い点

・後席頭上と足元空間が広く、4名乗車でも快適

・荷室は大容量で、後席を格納すれば車中泊も可能

・最先端の安全装備と運転支援機能を搭載

・後輪操舵システムにより、走行安定性と乗り心地が良好

× 新型クラウンエステートの気になる点

・ボディが大きく、後方視界には注意が必要

・PHEVモデルは、ハリアーと比較して価格が高い

・グレードの選択肢が少なく、最上級仕様が中心

・受注が急増しており、受注停止の可能性もある

【筆者:渡辺 陽一郎】

トヨタ/クラウンエステート
トヨタ クラウンエステートカタログを見る
新車価格:
635万円810万円
中古価格:
39.9万円758万円

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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