マツダ 商品本部 CX-5開発主査 田中英明 インタビュー(4/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
- カメラマン:佐藤靖彦
自分発のプロ集団
田中英明の言う、いい組み合わせとは、いったいどういう状況なのか?
田中英明】ミアータのときと、アテンザやCX-5のときとは様子が違いますが、アテンザとCX-5を開発するときは、マツダの経営が危機的状況だったということです。このクルマが成功しなかったら、マツダがダメになるという状況。そこでは、各領域のエースが出てきます。
エースとは、必ずしも優等生ということではありません。強い信念を持ち、理想を追求でき、規律は守るけれども、与えられたルールを鵜呑みにはしない。要は、自分で考えて、自分で動ける人。これをマツダでは、「自分発」と呼んでいます。
そういう組み合わせがたまたま揃った。じゃぁ私は何をするかというと、何を創るかというゴールと、それを達成するため最善の解答は本当にこれで十分かということを確認していくことです。すると、あとはみんなが自発的にやってくれる。
各領域のプロたちは、互いに尊敬し、相互作用が働き、1+1が3にも、10にも、100にもなっていく。
しかもそこに、SKYACTIVという、いい材料もあった。
【田中英明】いい材料と言っても、見事に研ぎあがった米があるのか、籾のままなのか?ジャガイモも、皮がついたままなのか、洗って、適当な大きさに切った状態であるのか?
ジャガイモの皮をむくという一つのことをとってみても、薄くむけているか、面倒だと言って厚くむいて、肝心のところが小さくなってしまっていないか?…
つまり、理想とは、やり甲斐があり、しかし同時に困難が伴ったり、面倒なものだったりします。そこを最初にちゃんとしておけば、間違いのないものができます。その意義を知って動けるのがプロ集団です。
これが開発陣の一部で回りだすと、残りのみんながそれを目指すようになり、辛いけど、できたらすごいね!という意識をみんなで共有できるようになります。
まず、お客様はどのような料理を期待されているのかが分かった上で、お客様を感動させる料理のレシピがあって、完全無欠に最高の調理する料理人が居てというところまで、今回はすべてよかった。だから、多くの人に喜んでもらえる商品になったのではないでしょうか?
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