価格が割高? フィットが国産ライバル車と比べて見劣りしてしまう理由

  • 筆者: 岡本 幸一郎
  • カメラマン:茂呂 幸正/小林 岳夫/トヨタ自動車
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ホンダ 現行フィットの売れ行きが芳しくないことがたびたび報じられている。実際、ライバルとなるトヨタ ヤリスや日産 ノート、トヨタ アクアなどと比べると販売台数が少々見劣りする。

まずはフィットがライバルと比べて不利になってしまう点を紹介したい。

目次[開く][閉じる]
  1. 2021年度のフィットの販売台数は5万台程度で、ライバルと比べると見劣りする
  2. 心地よさを非常に良い形で実現したデザインが魅力
  3. ホンダ フィットは割高感や燃費などの面でやや物足りなく感じる

2021年度のフィットの販売台数は5万台程度で、ライバルと比べると見劣りする

実際どうなのか調べてみると、2021年度(4月~3月)は13位となる5万5947台で前年比59.3%にとどまり、トヨタ ヤリスが1位の19万1414台で94.5%、日産 ノートが4位の9万5521台で132.9%、モデルチェンジしたトヨタ アクアが5位の8万4734台で176.1%となったのに比べるとたしかにさみしい状況なのは否めない。

2022年になってからの月販台数は、1月が4250台、2月が5359台、3月が8460台。対するヤリスは同1万8169台、1万417台、1万7442台、ノートは同8374台、9788台、1万5312台、アクアは同9857台、6317台、8175台となった。たしかにヤリスとノートにはだいぶ差をつけられている。

コロナ禍やら部品供給不足やらいろいろ事情があるのは、程度の差こそあれどのメーカーにとっても同じなので、そこは差し引いて少し考察すると、上記の販売台数について、ヤリスは実は約半分はヤリスクロスで、フィットの場合はクロスターの販売比率は1~2割にとどまることを考えると、ハッチバック同士ならそこまでかけはなれていないことになる。

一方のノートはオーラが半分ほど売れているらしく、それもまた違う意味でたいしたもの。アクアは2021年夏に登場してまだまだ新車効果が高いはずなのだが、やや勢いがない印象も受ける。

心地よさを非常に良い形で実現したデザインが魅力

筆者は、2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考時にも、フィットに10点を投じた。時代の要望である電動化の要素を積極的に取り入れるとともに「心地よさ」というこれまた時代が求める要素に注力し、それを非常によい形で実現していたことを高く評価したからだ。いまでもコンパクトカーの中では抜群の完成度だと思っている。

その後にこういうことになったのは、筆者としては不思議でしょうがない。こうして記事にすると、売れていないという認識がますます広まってしまいそうでよろしくない気もするところだが、現実から目を背けず前向きにフィットのよさを整理してお伝えしていきたいと思う。

ホンダ フィットは割高感や燃費などの面でやや物足りなく感じる

まず売れていない要因を考えてみると、競合車に対して何かが大きく劣っているわけではなさそうだが、フィットとしては価格がやや割高に見える気がする。

その点、全車e-POWERで、オーラまでラインアップしたノートはもっと割高感があるが、それでもオーラともどもノートが売れているのは、最初から上質であることを前面に打ち出したからだろうか。フィットも割高なわけではなく、むしろ「コストパフォーマンス」としては高いわけだが、「印象」の話になると難しいところだ。

あとは、燃費がとくにヤリスにはだいぶ負けている。カタログ値だけでなく実燃費でもそうだ。アクアとは微妙な感じ。ノートに対しては、とくに高速巡行時はずっと上回っているのだが、逆に加速感は、市街地については「ひと踏み惚れ」を謳うノートのe-POWERが最強で、次いでバイポーラ型のバッテリーを搭載したアクア、THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)でもここまでできることを証明したヤリスという感じ。

普通に乗るにはフィットのe:HEVだって不満があるわけではないが、競合車と比べるとやや物足りない気はする。それでも独自の2モーターのハイブリッドシステムがもたらす「電動感」ではぜんぜん負けてない。

ただし、個人的には多少高くなってもかまわないので、フィットよりも強力なヴェゼルと同じバッテリーを積んでくれるとよいのになと思っている。だって走りが断然いいんだもん。

デザインは、ひとつ前の3代目ではゴテゴテしたデザインが嫌いという人が少なくなかったことを考えると、現行型は先代のデザインを引きずっておらず、愛嬌があるし上質な雰囲気もあって個人的には好みなのだが、むしろおとなしすぎるという声が少なくないようだ。だから買わないというほどではないように思うのだが、これまた難しいところだ。

先進運転支援装備も概ね充実している。アラウンドビューモニターなど視界をアシストする機能でやや見劣りする部分もあるのと、レーダーが廃されたことが実際の性能以上にイメージ的には不利であることは否めないものの、機能としては十分なので目くじらをたてるほどではないと思う。

ここまで、フィットがライバルと比べて不利な部分を紹介してきた。次回はフィットの良さについてしっかりと紹介していきたい。

【筆者:岡本 幸一郎】

ホンダ/フィット
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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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