トヨタ 新型ハイラックス “辛口”試乗レポート|四駆トラックの懐かしい運転感覚が新しい需要を開拓する!?(1/2)

日本を離れたハイラックスが復活

クルマ好きの間では、ホンダがシビックの国内販売を復活させて話題になっているが、トヨタは2017年9月、13年振りにピックアップトラックのハイラックスを蘇らせた。この2車種に共通するのは、日本を離れて海外向けの車種に発展して、再び日本に戻ってきたことだ。日本で販売されていた頃に比べると、ボディがかなり大柄になった。

日本での使い勝手などを検証すべく、新型ハイラックスを試乗した。ボディスタイルは前後席と4枚のドアを備えたダブルキャブで、全長は5335mm、全幅は1855mm、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は3085mmに達する。全幅はランドクルーザープラドよりも30mmほど狭いが、全長は約500mm長い。普通貨物自動車に分類され、1ナンバーで登録される。

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4リッターガソリンエンジン並みの最大トルク

新型ハイラックスのエンジンは直列4気筒2.4リッターのディーゼルターボで、最高出力は150馬力(3400回転)、最大トルクは40.8kg-m(1600~2000回転)。後者の数値はノーマルタイプのガソリンエンジンに当てはめると4リッター並みだ。

トランスミッションは6速ATで、駆動方式はパートタイム4WD。カーブを曲がる時などに前後輪の回転数を調節するセンターデフや多板クラッチを装着しないので、舗装路は後輪駆動の2WDで走る。4WDに切り替えるのは、2WDでは駆動力の伝達効率が不足する悪路や雪道だ。滑りやすい路面であれば、不可避的にスリップが生じるため、前後輪の回転数を調節できなくても不都合は生じない。

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本格的な4WDとディーゼルエンジンが生み出すハイラックス特有の懐かしい感覚

最新装備と往年のディーゼルの組み合わせ

新型ハイラックスに用意されるグレードはベーシックなX(326万7000円)と上級のZ(374万2200円)があり、Zには単眼カメラとミリ波レーダーを使って緊急自動ブレーキを作動させるプリクラッシュセーフティシステムが装着される。歩行者の検知も可能だ。LEDヘッドランプなども備わり、装備の充実度は高い。そこでZを試乗した。

動力性能はディーゼルエンジンの典型で、低回転域で余裕のある駆動力を発生させる。1500回転前後でも十分な粘りが感じられ、このエンジン特性は悪路をゆっくりと進む時にも扱いやすい。

その代わり最高出力の発生が3400回転だから、高回転域は伸びない。ATをDレンジに入れてフルに加速すると、シフトアップは3800~4000回転で行われた。

加速性能に不満はないが、ガソリンエンジンとは性格が異なる。マツダ車が搭載するスカイアクティブDは、4000回転を超える領域まで軽く吹け上がるから、ハイラックスのディーゼルは古典的な部類に入る。

旧世代ディーゼルの運転感覚だが、クリーン性能は現代の乗用車同等

新型ハイラックスのエンジン特性はユーザーによって好みが分かれるところだ。ディーゼルエンジン車を運転した経験がない場合は違和感を覚えるだろう。

逆に1980年代~1990年代に数多く販売された旧世代のディーゼルを運転した経験がある場合は、むしろ馴染みやすい。往年の運転感覚に近いからだ。エンジンの回転数を2000回転以下に保ちつつ、強い駆動力を体感しながら6速ATをシフトアップしていく感覚は、ディーゼルエンジンならではだろう。

ランドクルーザープラドの2.8リッターディーゼルと同じ系統に属するエンジンだから、開発者は「商用車に搭載されてはいるが、クリーン性能は乗用車用と同等に優れている」という。

環境仕様書を見ても、窒素酸化物、一酸化炭素、粒子状物質などの排出量は2.8リッターディーゼルと同程度に収まる。ノイズや振動も抑えられ、快適性も旧世代のディーゼルに比べると進化している。

ちょっとコツがいる運転スタイル

ハイラックスの操舵感はいかにもピックアップトラックの4WDらしい印象だ。

ステアリングシステムは現代の主流であるラック&ピニオン式。操舵に対する反応を鈍く抑えている。舗装路では操舵に対する車両の動きが少し不正確に感じるが、デコボコが激しくハンドルを取られるような悪路では扱いやすい。

カーブを曲がる時は、ボディが大きめに傾く。ハイラックスのホイールベースが長いこともあってピックアップトラックとしては走行安定性に不満はないが、峠道などを走ると旋回軌跡を拡大させやすい。このあたりの運転感覚も古典的だ。

タイヤサイズは17インチ(265/65R17)で、装着されていた銘柄はブリヂストン・デューラーA/T。悪路を視野に入れたSUV用のタイヤで、その特性も操舵感に影響を与えている。

リーフスプリング独特の乗り心地が愉しいが小回りは効かない

新型ハイラックスのサスペンションは、前輪がコイルスプリングを使ったダブルウイッシュボーン、後輪はリーフスプリングによる車軸式だ。荷物の積載や悪路走行に適した耐久性の高い足まわりで、乗り心地は上下に揺すられる印象になる。これも慣れないと違和感が生じるが、往年のSUVを知っている人にとっては、リーフスプリング独特の乗り心地が懐かしい。

注意したいのは小回り性能だ。

全長が5mを大幅に上まわり、最小回転半径も6.4mと大回りになる。全幅もワイドだから車庫入れなどでは気を使う。それでもボンネットは相応に見えて、車幅やボディの先端位置は比較的分かりやすい。

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筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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