マツダ CX-3燃費レポート|ガソリンモデルはWLTCモード燃費を上回る低燃費を記録!(1/3)

  • 筆者: 永田 恵一
  • カメラマン:小林 岳夫/永田 恵一

マツダ CX-3(ガソリンモデル)実燃費レポート|結果まとめ

起用グレード

今回の燃費テストでは、日本でも人気ジャンルとなっているコンパクトSUVのマツダCX-3に2017年6月に追加された2リッターガソリンエンジン搭載車をテスト。中間グレードの20Sプロアクティブ FF車(車両本体価格228万4200円、JC08モード燃費17.0km/L)を起用した。

>>マツダ CX-3ガソリンモデル試乗&解説|CX-3にガソリンモデルを追加する本当の理由とは?

燃費テスト概要

テストは2017年11月13日(月)の午前6時半頃開始し、午後12時半頃帰京するというスケジュールで実施。テスト中の天候は晴れ、最高気温16度という気候で、交通状況は比較的スムースであった。

マツダ CX-3 2リッターガソリンエンジンの実燃費は16.6km/L

マツダ CX-3 2リッターガソリンエンジン搭載車の燃費は以下の通り。

マツダ CX-3 ガソリンモデルの実燃費|結果まとめ
マツダ CX-3実燃費WLTCモード燃費

平均

16.6km/L

16.0km/L

市街地

14.8km/L

12.2km/L

郊外路

16.3km/L

16.8km/L

高速道路

19.0km/L

18.0km/L

パワートレイン

ガソリン

駆動方式

2WD

CX-3において基準となる1.5リッターディーゼルターボと比較すると、CX-3の2リッターガソリンエンジン搭載車の燃費はどの走行パターンでもおおよそ20%落ちといった数値を記録した。

またCX-3の2リッターガソリンエンジン搭載車は、走行パターンごとの燃費も含めより現実に近いとされる国際的な燃費計測法で、日本でも今後カタログ燃費となる“WLTCモード”での燃費を日本で初めて発表したモデルとしても話題を集めたが、各走行パターンでWLTCモードの燃費を上回る燃費を記録したことも高く評価できる。

さらに今回は各章にCX-3の購入を考える際に名前が挙がりそうなガソリンエンジンを搭載するライバル車の燃費の過去データを記載するが、CX-3の2リッターガソリンエンジン搭載車の燃費は1.5リッターエンジンを搭載するホンダヴェゼルのガソリン車に近く、動力性能と燃費のバランスは非常に高いといえる。

ここからは高速道路編、市街地編、郊外路編、それぞれの章で燃費や走りの質について詳細な評価を行っているので、CX-3の2リッターガソリンエンジン搭載車の購入を考えている方にはぜひ参考にしてほしい。

>>【燃費】マツダ CX-3 (ディーゼルモデル)実燃費レポート

マツダ CX-3(ガソリンモデル)実燃費レポート|市街地・街乗り編

CX-3 2リッターガソリンエンジン搭載車(FF)の市街地での実燃費:14.8km/L

マツダ CX-3 ガソリンモデルの実燃費|市街地・街乗り
車種名パワートレイン実燃費

マツダ CX-3

ガソリン/2WD

2017年モデル

14.8km/L

マツダ CX-3

ディーゼル/2WD

2015年モデル

17.6km/L

ホンダ ヴェゼル

ガソリン/2WD

2014年モデル

13.8km/L

CX-3 2リッターガソリンエンジン搭載車は市街地では、ホンダ ヴェゼルの1.5リッターガソリンエンジン搭載車をも上回る14.8km/Lという素晴らしい燃費を記録した。

アイドリングストップのセルモーターの音が静かになった

乗っていて良好な燃費を記録しそうな印象はなかったというのが率直なところだが、いずれにせよ市街地でもWLTCの市街地モードも大きく上回る燃費を記録した点は高く評価できる。

CX-3の1.5リッターディーゼルターボ搭載車が特別に音や振動が大きいという訳ではないが、市街地で比べるとディーゼルエンジンに対し静かで振動の少ない2リッターガソリンエンジン搭載車の方が快適に楽に乗れ、街乗りでの使用にはやはりガソリン車の方が向いていることが確認できた。

1つ印象的だったのは、アイドリングストップのセルモーターの音が静かになったことだ。

マツダのAT車に付くアイドリングストップは、停止後ブレーキを強く踏むとアイドリングストップが始まり、渋滞中や一時停止などで不必要なアイドリングストップが起きにくいという面では好ましいタイプだ。しかし、マツダの他のガソリン車は、全般的にエンジン再始動の際のセルモーターのどの車も音が大きい上に、耳障りな音質だったのが難点だった。

それがCX-3の2リッターガソリンエンジン搭載車ではセルモーターの音がかなり静かになっており、耳障りに感じることもなくなった。

アイドリングストップ自体はエンジン再始動が素早く、及第点といった完成度。アイドリングストップの頻度はテストした日の気候であればほとんど止まるたびに作動する。アイドリングストップする時間についても、止まっている間エンジン再始動することはほとんどなかった。

なお、6速ATのDレンジでのシフトアップのタイミングは普通に走っていると2000回転を少し過ぎたあたりだった。

マツダ CX-3(ガソリンモデル)実燃費レポート|郊外路編

CX-3 2リッターガソリンエンジン搭載車(FF)の郊外路での実燃費:16.3km/L

マツダ CX-3 ガソリンモデルの実燃費|郊外路
車種名パワートレイン実燃費

マツダ CX-3

ガソリン/2WD

2017年モデル

16.3km/L

マツダ CX-3

ディーゼル/2WD

2015年モデル

20.1km/L

ホンダ ヴェゼル

ガソリン/2WD

2014年モデル

17.7km/L

郊外路での燃費は高い動力性能を考えれば申し分のない16.3km/Lを記録した。

やはりCX-3の1.5リッターディーゼルターボ搭載車に比べると、3.8km/Lと開きはあるものの、直接のライバルとなるホンダ ヴェゼル/2WD 2014年モデルとは肉薄した差となった。

ガソリンの方が軽快に動くが、直進安定性はディーゼル

CX-3の2リッターガソリンエンジン搭載車は、ハンドリングや乗り心地も1.5リッターディーゼルターボ搭載車とは若干の違うキャラクターを持っていた。

まずハンドリングは、2リッターガソリンも1.5リッターディーゼルターボも「ハンドル操作に対する車の動きが特にシャープであるなど刺激的な部分こそないものの、コーナーに対するハンドルを切る量が一発で決まるライントレース性が素晴らしく、ロールの起き方も大変自然と、まとめるとレベルの高い中庸」という性格は基本的に変わらない。

しかし2リッターガソリンはエンジン重量が軽いせいか、ワインディングロードでは1.5リッターディーゼルターボよりさらに軽快に車が動き、運転して感じる楽しさは上である。だが、エンジン重量が軽い分高速道路などで直進している際の落ち着きは1.5リッターディーゼルターボに少し劣るのも事実で、総合すれば一長一短といったところだ。

乗り心地は1.5リッターディーゼルターボも2リッターガソリンも若干の硬さを感じることはあるが、どちらも「まずまず」のレベルなのは変わらない。その中でも2リッターガソリンの方が硬めの方向で、時おり「ブルッ」という微振動を感じることもあり、乗り心地は1.5リッターディーゼルターボの方が上である。

ハンドリングと乗り心地に関してどちらがいいか、好きかはユーザー次第だろう。ちなみに筆者個人としては総合すると1.5リッターディーゼルターボの方が好みではある。

また6速ATは普通に乗っていると「スムースで普通によくできたAT」という印象だが、ワインディングロードでパドルシフトを使って積極的にシフトアップ、ダウンをすると、変速は素早い上に歯切れもよく、シフトダウンも早めに受け付けてくれる点にマツダの6速ATのスポーツ性の高さを改めて感じた。

なおCX-3の2リッターガソリン車はスポーツモードも備えているので試してみたところ、スポーツモードではノーマルモードに対しアクセル操作に対するレスポンスがシャープで、シフトアップが上の回転域まで引っ張る方向になり、元気に走りたい時にはスポーツモードを選ぶのもいいだろう。

マツダ CX-3(ガソリンモデル)実燃費レポート|高速道路編

CX-3 2リッターガソリンエンジン搭載車(FF)の高速道路での実燃費:19.0km/L

マツダ CX-3 ガソリンモデルの実燃費|高速道路
車種名パワートレイン実燃費

マツダ CX-3

ガソリン/2WD

2017年モデル

19.0km/L

マツダ CX-3

ディーゼル/2WD

2015年モデル

23.5km/L

ホンダ ヴェゼル

ガソリン/2WD

2014年モデル

19.6km/L

CX-3 2リッターガソリンエンジン搭載車は高速道路で19.0km/Lという燃費を記録した。

この燃費は冒頭にも書いたように直接的なライバルとなるホンダヴェゼルの1.5リッターガソリンエンジン搭載車に肉薄するもので、2リッターエンジンを搭載したコンパクトSUVでリッター20km近く走れば文句の付けようはないだろう。

速さはガソリンエンジンを搭載するコンパクトSUVとしては速い部類

CX-3の2リッターガソリンエンジン搭載車は、全体的に1.5リッターディーゼルターボを搭載するCX-3とは違ったキャラクターを持つことが確認できた。

まず動力性能は1.5リッターディーゼルターボを大きく上回る。1.5リッターディーゼルターボを搭載するCX-3は、2リッターガソリンエンジン搭載車に対し最大トルクが27.5kgmと40%近く太いだけに発進加速などの際の力強さはかなりのものであった。その反面、おおよそ1300kgの車重に対し最高出力は105馬力しかないため、追い越し加速の際の瞬発力や高速道路で上り坂が続くといった場面では、パワー不足を感じることも多かった。

それに対し2リッターガソリンエンジン搭載車は、1.5リッターディーゼルターボに対し車重が若干軽いことも幸いしているのか、アクセルを深く踏むと上り坂などでもエンジンは力強いサウンドを伴いながらレッドゾーンまでシッカリ回り、ストレスを感じることなく軽快にスピードが乗る。

速さもガソリンエンジンを搭載するコンパクトSUVとしては速い部類で、ガソリンエンジンなら1.5リッターでも十分な動力性能を確保できそうなコンパクトSUVに2リッターエンジンを積んだ恩恵を感じられた。

なお時速100キロ走行時のエンジン回転数は2100回転程度であった。

高速道路ではACCも使ってみたところ、マツダのACCは相変わらず先行の追従の際の加減速は運転の上手い人のようにスムースで、四段階から選べる車間距離も適切だった。

長距離ドライブなどの際には疲労軽減に大きな効果を持つのは間違いないので、今回テストに使った20Sプロアクティブのようにオプションで選択できるグレードを選ぶ場合装着を強く勧めたい。価格も5万4000円と内容を考えればリーズナブルなのだ。

その反面CX-3の運転支援システムには、レーンキープシステムや車線逸脱を防ぐため車線に車を戻す抑制機能といったステアリング関係のものがないのは残念だ。最近はコンパクトSUVでも何らかのステアリング関係の運転支援システムが付くことは珍しくなくなっており、CX-3もなるべく早期にその種の運転支援システムの導入を望みたい。

マツダ CX-3(ガソリンモデル)実燃費レポート|総合評価

CX-3 2リッターガソリンエンジン搭載車(FF)の総合実燃費:16.6km/L

マツダ CX-3 ガソリンモデルの実燃費|平均
車種名パワートレイン実燃費

マツダ CX-3

ガソリン/2WD

2017年モデル

16.6km/L

マツダ CX-3

ディーゼル/2WD

2015年モデル

20.6km/L

ホンダ ヴェゼル

ガソリン/2WD

2014年モデル

17.7km/L

CX-3の2リッターガソリン搭載車は予想外の低燃費を記録し、動力性能と燃費のバランスは非常に高いコンパクトSUVといえる。

そこで気になる「CX-3を買うなら2リッターガソリンと1.5リッターディーゼルターボのどちらにすべきか」というテーマを、長い目で見た損得勘定を含めて考えてみよう。

まずCX-3の2リッターガソリンと1.5リッターディーゼルターボの車両価格の差額は、装備の違いも考慮すると27万円といったところだ。

しかし、CX-3の2リッターガソリンはエコカー減税の対象にならないのに対し、1.5リッターディーゼルターボはエコカー減税で重量税、取得税が免税、登録翌年の自動車税が75%軽減になる上、クリーンディーゼル車に対する補助金も2万5000円程度あるため、合計すると14万5000円程度の優遇があり、実質的な価格差は12万5000円程度になる。

この12万5000円の価格差を軽油の安さと燃費の良さというディーゼル車の燃料コストの低さで「いつ元が取れるか?」を、燃費は上記のテストデータ、1リッターの燃料代をレギュラーガソリン140円、軽油118円で計算すると、ガソリン代は1万kmあたり1.5リッターディーゼルターボの方が約2万7000円安く済むことになり、12万5000円の差額は5万km走れば元が取れる計算になる。

このことを踏まえると、結論としてはやはり走行距離が多い人はパワー不足には少し目をつぶり1.5リッターディーゼルターボを買うべきだろう。逆に走行距離が少ない人(走行距離が少ないというのとも関連があるが、ディーゼルエンジンは市街地のように負荷の小さい走行パターンにはいろいろな意味で向かないこともあり)街乗りが多い人は、2リッターガソリンを選んだ方がいいだろう。

ちなみに現在CX-3の2リッターガソリンと1.5リッターディーゼルターボの販売比率は半々となっているそうで、これはユーザーが自分の使い方に合ったエンジンを選んでいることと、CX-3に2リッターガソリンが追加されたことが歓迎されている象徴と言えそうだ。

しかしCX-3自体に関しては、筆者にはスタイル以外強烈な魅力は感じられず、マツダの車がスポーツカーのロードスターを除き、良くも悪くもメルセデス・ベンツのように基本的に相似形で全体的に乗り味がよく似ているのに加え、ガソリン車は強い個性がないのもあり、買いたくなるワンパンチに欠ける、飽きのようなものを感じてきたというのも率直な印象だ。

それだけにCX-3には今後、運転支援システムのさらなる充実やスペシャリティなSUVというコンセプトに似合いそうなスポーツモデルの設定といったテコ入れを強く望みたいところだ。

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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