トヨタ 新型ハイラックス燃費レポート|ミニバン並みの燃料代!?実燃費は見た目以上に好成績!(1/2)

トヨタ ハイラックス実燃費レポート|結果まとめ

起用グレード

今回は、2017年9月に日本で13年ぶりに復活を果たしたトヨタ ハイラックスをテスト。国内ではピックアップトラックのみだが、年間販売目標台数2000台に対して、発売から約2カ月で1.5倍となる約3000台の受注を集め、納期がほぼ半年待ちという人気ぶりを見せている。

起用グレードは上級となるZ(車両本体価格372万2000円、JC08モード燃費11.8km/L)。

燃費テスト概要

テストは11月2日(木)の午前5時半頃開始し、13時頃帰京するというスケジュールで実施。テスト中の天候は晴れ、最高気温21度という秋らしい過ごしやすい気候で、交通状況は平均的な流れであった。

トヨタ ハイラックスの実燃費は12.6km/L

全長約5.3m、車重約2.1tの巨体ながら強心臓なディーゼルエンジンを搭載することもあり、期待以上に良好な燃費を記録した。

比較対象となる車種が少ないので想像しづらいとは思うが、“燃料代”という基準で比べると、この実燃費であればガソリンエンジンを搭載するトヨタ ヴォクシーや日産 セレナに匹敵する燃料代となる。なぜならハイラックスは、レギュラーガソリンよりも20円/L安い軽油を使用するからだ。

ここからは高速道路編、市街地編、郊外路編、それぞれの章で燃費や走りの質などについて詳細な評価を行っているので、ハイラックスの購入を考えている方にはぜひ参考にしてほしい。

※とはいえ、なにか比較対象があった方が解りやすいので、トヨタ ハイエースバン スーパーGLの3リッターディーゼルの実燃費を共に記載する。後日、似たような車種の燃費を測定した際にはそちらも併記する予定だ。

>>【カタログ】トヨタ ハイラックスの新車・中古車情報を見る

トヨタ ハイラックスの実燃費|結果まとめ
車種名トヨタ ハイラックストヨタ ハイエースバン

パワートレイン

ディーゼルターボ

ディーゼルターボ

排気量

2,393cc

2,982cc

駆動方式

4WD

2WD

JC08モード燃費

11.8km/L

11.2km/L

実燃費:平均

12.7km/L

10.7km/L

実燃費:市街地

12.6km/L

8.7km/L

実燃費:郊外路

10.4km/L

10.4km/L

実燃費:高速道路

15.1km/L

13.8km/L

>>【燃費】トヨタ ハイエース バン スーパーGL(ディーゼルターボ)実燃費レポート

トヨタ ハイラックス実燃費レポート|街乗り・市街地編

ハイラックスの街乗り・市街地での実燃費:12.6km/L

市街地での燃費は、大柄なボディから抱くイメージを大きく上回る12.6km/Lを記録した。市街地ではギアが4速程度までしか上げられないことを考えれば、大健闘といえるだろう。

ハイラックスは、アクセルを踏むとタイムラグなく出る太い低速トルクやスムースな変速を2000回転手前で行う6速ATのマッチングの良さにより、普通に走っている分に乗用車と同じような感覚で運転できる。

しかし、商用車用のディーゼルエンジンを搭載するため停止中のエンジン音は耳に付き、アイドリング中の振動も大きいため、燃費向上も含めアイドリングストップは搭載して欲しいところだ(ちなみにエンジンが冷えている朝一発目のエンジン始動音は強烈だ)。

またこれらは慣れる範囲だが、駐車場での取り回しや交差点といった極低速域ではハンドルがやたらに重く、ブレーキは柔らかめでストロークも大きい(これはこれで操作しやすいと感じた)。

その他市街地の使い勝手で気づいた点をいくつか挙げておく。

◆ステップがあるものの、ステップまでが階段を一段飛ばしで上るような高さがあり、乗降性が悪い

◆運転席の位置が高いので遠くまで見渡せ、渋滞でもイライラしにくいのはピックアップトラックや本格的なSUVならでは。20年ほど前までランドクルーザープラドやハイラックスサーフ、パジェロなどが人気だったのもよく分かる。

◆気になる取り回しは、全長がハイエースのスーパーロング、メルセデス・ベンツ Sクラスやレクサス LSのロングボディに匹敵するということを考えれば、都市部の狭い路地などでも「乗れることは乗れる」というレベルではある。しかし、5m超のボディサイズで最小回転半径が6.4メートルと大きい点も考慮すると、やはりある程度の覚悟は必要で、国内では道路事情に恵まれた地域向けというのは否めない。

◆ボディサイズと大きく関連する駐車場は、都市部ではノーズが飛び出してしまうことも多々あり、停められる駐車場は限られてくる。また、リアオーバーハング(リアタイヤの中心から後ろの部分)が非常に長いため、輪止めをアテにすると後ろの壁に接触する可能性がある。そのため、ディーラーオプションのカーナビに設定されているバックモニターを見ながら下がる方が無難だ。

◆荷台の後ろ側の“アオリ(テールゲート)”はかなり重いので、両手で上げ下げすることを勧める。

トヨタ ハイラックス実燃費レポート|郊外路編

ハイラックスの郊外路での実燃費:10.4km/L

市街地同様に、郊外路でもやはりハイラックスのパワーは有り余っており、4速程度までしか上げることが出来ない。そうしたことを考えると、10.4km/Lという数値はそこまで悪くはないと思えてくる。

ハイラックス最大の弱点は乗り心地の悪さだ。単純な凹凸を通過する時などは、凹凸が大きめでも不快な硬さはなく、高速道路でのつなぎ目などでは申し分ないと感じることさえある。

しかし、路面の凹凸が程度は小さくとも連続してしまうと小刻みな不快な硬さを伴った上下動が続き、揺すられているように感じる。そのせいでハイラックスに乗っているとひどい疲れを覚えることがある。

これは荷台の最大積載量が500kgと大きいのに加え、かなりの余裕も持たせているため、リアサスペンションが硬くなっているというやむを得ない事情がある。ハイラックスを買うなら、輸入品も含め豊富に揃うことが予想されるアフターパーツの中から、乗り心地の良いサスペンションキットに交換することを強く勧めたい。

ハンドリングはピックアップトラックながらハンドル操作に対する車の動きが正確で、過大なロールもなく大変乗用車的。そこにトルクフルなエンジンも加わり、ワインディングロードも楽しく走ることができた。日本国内においては趣味性の高い車であることは確かなので、こういった点は高く評価できるだろう。

なおパワーモードとエコモードという2つの走行モードも試してみた。パワーモードはアクセル操作に対するレスポンスがシャープになる、シフトアップのタイミングが上の回転になる、という特徴がある。

一方エコモードは、アクセル操作に対するレスポンスが適度に鈍くなどなどの変化があり、エコモードのアクセル操作に対するレスポンスの適度な鈍さが一番運転しやすいので、普段はエコモードを選ぶことを勧めたい。

トヨタ ハイラックス実燃費レポート|高速道路編

ハイラックスの高速道路での実燃費:15.1km/L

高速道路では15.1km/Lという見た目から考えると望外と思える良好な燃費を記録した。やはり中速域までしか使えない市街地・郊外路とは違い、エンジンのポテンシャルをフルに発揮することができるからだろう。荷物を積めば変わると思うが、高速でこれだけ走るならほぼ文句はない。

ハイラックスの全体的な印象は、ピックアップトラックと考えれば「今のピックアップトラックは良くなった」という驚きを覚えるし、乗用車と考えると「やっぱりトラックか」と感じる面もある。つまるところ、ユーザーの期待値によって印象が大きく変わる車なのだ。

アクセルを踏むとタイムラグなくすぐに太いトルクを出すエンジン特性もありなかなか元気に走ってくれる。イメージとしては2リッターガソリンエンジンを搭載するミニバンと同等といったところで、動力性能に不満を覚えることはないだろう。

ホイールベースが3メートルを超えることもあり、トラックながら高速道路での直進安定性に問題ない点も高く評価できる。

静粛性もそれほど悪くない

エンジンのフィーリングだが、Dレンジでアクセルを全開にするとシフトアップは4000回転手前だが、パワーが付いてくるのは3500回転あたりまでとなる。

エンジン音は、「グモー」というくぐもった音と若干のガラガラ音を伴う“これぞディーゼル”といったものだが、ハイラックスのワイルドなキャラクターには似合ったものだ。かつてのピックアップトラックや本格的なSUVに搭載されていたディーゼルエンジンに比べれば比較にならないほど静かにはなっている

また、現在ハイエースのディーゼル車に搭載される一世代前のディーゼルエンジンに比べても、洗練されたと言っていいだろう。

音といえば、高速道路での静粛性は風切音が耳に付くものの、エンジン音自体はトラックとしては静かな部類に入る。乗用車としてもうるさすぎることはなく、心地良いディーゼルエンジン音を聴きながらのクルージングを楽しめるので、静粛性に関しては特に気になることはない。

なお6速での100km/h走行時のエンジン回転数は1500回転と低く抑えられており、Dレンジでのシフトアップのタイミングは5速にはおおよそ70km/h、6速には100km/hだった。

1つ注文を付けるなら、ミリ波レーダーと単眼カメラというハードが揃っているだけに、クルーズコントロールをACCに格上げして欲しいことくらいだろうか。

【2ページ目】総合評価・ハイラックスを扱うには

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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