トヨタ 新型カローラハッチの正式名称は”カローラスポーツ”|3ナンバー化したカローラモデルチェンジ第一弾を徹底解説

カローラハッチバックの正式名称は”カローラスポーツ”

クルマに興味のない人でも、トヨタ カローラの車名はご存じだろう。かつてはベストセラーカーで、トヨタ プリウスやホンダ N-BOXが販売首位になる今でも、比較的堅調に売れている。

今のカローラは5ナンバー車のみで、セダンのアクシオとワゴンのフィールダーが用意される。そこに2018年6月26日、新たに加わったのが5ドアハッチバック「カローラスポーツ」だ。

新型カローラスポーツは、欧州など海外で売られるカローラの5ドアハッチバックだ。言い換えればトヨタ オーリスのフルモデルチェンジ版で、日本国内では、カローラスポーツの導入と引き替えにオーリスの販売は終了する。

オーリスの後継車種だからボディは3ナンバーサイズで、エンジンは直列4気筒1.2リッターのターボと、1.8リッターをベースにしたハイブリッドを搭載する。プラットフォームはTNGAを採用し、エンジンの組み合わせも含めるとC-HRと共通点が多い。

なお新型カローラスポーツの発表は6月26日だが、販売店での予約受注は5月中旬に開始されているようだ。試乗車の配車は7月上旬から中旬の予定となっている。

今はメーカーの生産効率が優先され、受注を早々に開始する。ユーザーは実車を見ないで注文するか、それとも試乗した上で注文を入れる代わりに納期の遅れを我慢するか、という辛い選択を迫られている。

>>見慣れない独特なデザインが特徴?新型カローラスポーツを画像でじっくり見る

トヨタ 新型カローラスポーツの価格は213万円から

●1.2リッターターボ

G・X [FF/CVT]213万8400円/[4WD/CVT]233万2800円

G [FF/CVT]225万7200円/[4WD/CVT]245万1600円

G・Z [FF/CVT]241万9200円/[4WD/CVT]261万3600円

*1.2リッターターボの6速MT(iMT)車は2018年8月追加予定。

●ハイブリッド

G・X [FF]241万9200円

G [FF]252万7200円

G・Z [FF]268万9200円

新型カローラスポーツのグレードは、1.2ターボとハイブリッドのそれぞれに3種類ずつ用意し、そのうち1.2ターボのみ2WD(FF)と4WDを設定する。追って8月には1.2ターボに6速MT[インテリジェント マニュアル トランスミッション(iMT)]モデルも追加される予定だ。

これらの内、価格が最も安いG・Xは、法人やレンタカーの需要をねらうベーシック仕様だ。一般ユーザーに向けて推奨されるのはGとG・Zになる。G・Zはスポーティな最上級グレードで、バイビームLEDヘッドランプなどが備わる。

従来モデルのオーリスは全般的に価格が割高で、特に1.2リッターターボは、1.5リッターに比べると装備の違いを補正しても約35万円上まわる設定だった。これでは売れなくて当然だ。そこでカローラスポーツは、安全装備を進化させて割安感も強めている。

価格の水準だが、カローラスポーツハイブリッドはプリウスと同等と考えれば良い。C-HRのハイブリッドに比べると、ターボ、ハイブリッドともに割安になる。

新型カローラスポーツは、オーリスに比べて質感アップ

外観はキーンルックに最近のトヨタ共通デザインを採用

新型カローラスポーツの外観は、今のトヨタ車のトレンドに沿ってフロントグリルが大きく口を開けたようなデザインが特徴だ。

サイドウインドウの下端は、前席側は適度な高さで側方視界に不満はないが、斜め後ろは持ち上げられているので見にくい。ボディ後端のピラー(柱)も太く、真後ろの視界も良くない。購入時には試乗車で縦列駐車などを試したい。

内装はオーリスに比べて質感アップ

新型カローラスポーツの内装はC-HRに近い見栄えとなった。オーリスやプリウスは市場から不満が多かったので、それに比べると質感が高い。立体的な形状でステッチ(縫い目)が入り、ソフトパッドも多用される。

前席の座り心地は快適だ。サイズに余裕を持たせ、肩と腰のサポート性も良い。座った時に体が座面に沈む印象は少なめだが、ボリューム感が伴う。着座姿勢も乱れにくい。

後席はボディサイズの割に足元空間が狭い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ少々にとどまる。同じ測り方をして、オーリスを若干下まわった。トヨタ ヴィッツはボディはコンパクトでも、空間効率を重視して握りコブシ2つ弱(ホンダ フィットはさらに広く2つ半)だから、カローラスポーツは相当に狭い。天井が低いために床と座面の間隔も不足して、腰が落ち込み膝が持ち上がる。

カローラスポーツのホイールベースはオーリスよりも40mm長いにもかかわらず、なぜここまで後席が狭いのか。これを開発者に尋ねると「プラットフォームは、従来に比べると(前輪を起点として測った時の)前席の取り付け位置が30mm後退した。そのためにホイールベースを40mm伸ばしたが、後席の足元空間をほとんど広げられなかった」と言う。しかも全高はオーリスに比べて45mm低い1435mmだから、結果として後席がボディサイズの割に窮屈になってしまったのだ。

後席の着座位置が下がって足元空間が狭まったから、後席の乗降性も悪影響を受けている。ファミリーユーザーが買う時は注意したい。

ボディサイズは、3ナンバーでも扱いやすいサイズ

カローラスポーツのボディサイズは、全長が4375mm、全幅が1790mm、全高が1435mmになる。全長と全幅はC-HRと同等だ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2640mmで、この数値もC-HRと等しい。全高の1435mmは、昨今の乗用車では低い部類に入る。

新型カローラスポーツのエンジンは、1.2Lターボと1.8Lハイブリッドを採用

新型カローラスポーツのエンジンは、前述のように、1.2リッターのターボと、1.8リッターのハイブリッドを用意している。いずれも性能はC-HRと共通だ。

ただしターボに追って追加される予定のiMT制御を採用した新型6速MTが搭載された。シフトチェンジする時でも自動的にエンジン回転が調整されるものだ。従来はクラッチを繋ぐ時に、アクセルペダルを踏みエンジン回転を合わせる操作を要したが、このトランスミッションならその作業が必要ない。

JC08モード燃費は、1.2リッターターボが18.0~19.6km/L(4WD車は17.2km/L/6速MT車は13.8~15.8km/L)。ハイブリッドが30.0~34.2km/Lだ。

また新型カローラスポーツではWLTCモードも発表されており、そちらでは1.2リッターターボが16.4km/L(4WD車は15.2km/L/6速MT車は未発表)。ハイブリッドが25.6~30.0km/Lだ。

1.2リッターターボの動力性能は、1.8リッターの自然吸気エンジン並みのパワーを発生させる。そこを考えると燃費は特別に優れた数値ではないが、納得できる範囲に収まる。

ハイブリッドは、プリウスSやAの様な37.2km/Lまでは達しないが、最近は実用燃費との格差を抑えるようになったから、これも納得の範囲内だ。

タイヤサイズは、グレードやオプションに応じて15/16/18インチを用意する。この内、18インチはスポーツ指向なので燃費数値は下がるものの、新たに開発されている。

サスペンションは前輪がストラット式、後輪がダブルウイッシュボーン式の4輪独立式だ。C-HRではザックス製のショックアブソーバーを装着したが、カローラスポーツは日本のカヤバ製となる。その代わりオイルまで含めて新開発され、同等以上の効果を得ている。1.2リッターのターボには、ショックアブソーバーの減衰力を可変させる機能も採用した。

乗らなくてもわかる!?カローラスポーツの運転感覚が想定内な理由

正式発表に先駆け、富士スピードウェイのショートコースで行われたカローラスポーツのプロトタイプ(試作車)試乗会では、ささやかな「実験」を行った。以下はその時の開発者と私の会話だ。

---

私:現時点では、まだカローラスポーツに試乗していません。これから乗るのですが、運転感覚は試乗しなくても大体想像できます。

開発者:ほう、どんな感じだと思いますか?

私:まず発進して、ハンドルを切り始めた時は、操舵角に対してクルマが忠実に向きを変えるでしょう。以前(オーリス)よりもクルマの動きが正確に感じるハズです。カーブに入った時も同様で、機敏ではないけれど、クルマが操舵角に応じて正確に内側を向く。スポーティに走っても、旋回軌跡が外側へ膨らみにくい。ここでわざとアクセルペダルを戻すと、不安を感じさせない範囲で、ほんの少しだけクルマをさらに内側へ向けられます。そして路面の状態がハンドルを通じて伝わりやすい。総じて安定性が高いので、1.8Lのハイブリッドと1.2Lのターボでは、動力性能が物足りなく感じるハズです。

開発者:まさにそこがこのクルマのねらいで、指摘されたような走りになっています。

---

この「実験」をした理由は、昨今の乗用車の運転感覚が、基本的にすべて同じ方向をめざして開発され、同じような仕上がりになっているからだ。

昔のスポーツカーの開発者は、「今度のは物凄く良く曲がりますよ。我々がサーキットで遊ぶことを考えて造りましたからね!」などとコメントしたこともあったが、今は皆無だ。

なぜなら、「物凄く良く曲がるサーキットで遊べるクルマ」は危険回避時の走行安定性が低く、危ないクルマになりやすい。直進安定性も下がるから疲労も増える。

今はクルマ造りが進化して、ひとつの方向に収斂(しゅうれん)されてきたから走りに差が付きにくい。蛇足だが、「試乗記」が読者諸兄から退屈に感じられて低迷する理由の一端もそこにある。どれも内容が似ていて想像通りだ。

もちろんカローラスポーツの走りにも個性はあり(大筋は予想通りだったが)、適度に軽快な曲がりやすさと重厚な安定性をバランスさせていた。試乗コースはサーキットだったが、乗り心地も良さそうだ。

TNGAの考え方に基づくプラットフォームの場合、プリウスは後輪の接地性が甘く未消化な部分が目立つが(これは今の流れに逆らっているので試乗した時は驚いた)、C-HRではかなり良くなり、カローラスポーツでは一層熟成された。この成果を今後行われるプリウスのマイナーチェンジでも反映させる。

カローラスポーツをライバル車と徹底比較

ライバル車との比較でいえば、インプレッサスポーツよりも落ち着いた印象があり、アクセラスポーツに比べると軽快に曲がる感覚だ。そしてインプレッサスポーツとカローラスポーツは設計の新しいプラットフォームを採用するから、現行アクセラスポーツは少々古く感じる。

それでもこの違いが、決定的な選択理由にはなり得ない。カローラスポーツの結論をいえば決め手に欠ける。

例えば、インプレッサスポーツのアイサイトは、ほかの車種の安全装備が向上して以前ほど注目されないが、それでも信頼性が高い。後席の居住性、荷室の使い勝手も優れ、視界も良いから運転がしやすい。

アクセラスポーツには2種類のクリーンディーゼルターボがあり、設計の古さは感じるが、運転の楽しさを徹底追求している。

ライバルを超える魅力や特徴に乏しいが・・・決め手は”コネクテッド”!?

カローラスポーツにも、このようなスグに思い浮かぶ特徴、ほかの車種とは違う明確な個性が欲しい。「そういう特徴が何かないのか」と開発者に尋ねたら「コネクティッドでしょう」という。トヨタは2017年7月にトヨタコネクティッド株式会社を立ち上げ、通信機能に力を入れる。この第1弾がカローラスポーツと、同日に発表されるクラウンだ。

例えば車両に不具合が生じた場合、車両のモニター画面に表示するだけでなく、通信機能を通じてディーラーなども同じ情報を送れたりする。

通信機能は自動運転の時代に重要になるが、それは遠い先の話だ。直近の安全性、利便性、快適性をコネクティッドでどれだけ高められるかが重要になる。それがかつてのアイサイトで感じたのと同等の魅力に達したなら、カローラスポーツの選択理由にもなり得るだろう。果たしてコネクティッドはどれだけ使えるのか!?

<参考>

トヨタ「コネクティッドカー」が顧客と販社、そしてベンチャー企業をも強固に”つなぐ”|新型クラウンとカローラスポーツから全車搭載へ

[Text:渡辺陽一郎 Photo:和田清志]

トヨタ カローラスポーツの主要スペック

トヨタ カローラスポーツの主要スペック
グレードHYBRID GGG

駆動方式

2WD

2WD

4WD

トランスミッション

電気式無段変速機

(リダクション機能付きのTHS2)

CVT

CVT

価格(消費税込)

252万7200円

225万7200円

245万1600円

WLTCモード燃費

30.0km/L

16.4km/L

15.2km/L

市街地モード燃費

29.4km/L

12.9km/L

12.3km/L

郊外モード燃費

32.9km/L

16.9km/L

15.6km/L

高速モード燃費

28.8km/L

18.2km/L

16.6km/L

全長

4375mm

4375mm

4375mm

全幅(車幅)

1790mm

1790mm

1790mm

全高(車高)

1460mm

1490mm

1490mm

ホイールベース

2640mm

2640mm

2640mm

乗車定員

5人

5人

5人

車両重量(車重)

1370kg

1310kg

1370kg

エンジン

直列4気筒+ハイブリッド

直列4気筒+ターボ

直列4気筒+ターボ

排気量

1797cc

1196cc

1196cc

エンジン最高出力

72kW(98PS)/5200rpm

85kW(116PS)/5200~5600rpm

85kW(116PS)/5200~5600rpm

エンジン最大トルク

142N・m(14.5kgf・m)/3600rpm

185N・m(18.9kgf・m)/1500~4000rpm

185N・m(18.9kgf・m)/1500~4000rpm

モーター最高出力

53kW(72PS)

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モーター最大トルク

163N・m(16.6kgf・m)

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燃料

無鉛レギュラーガソリン

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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