個性拡がるラインナップがいよいよ完成! 新世代ボルボ SUVを徹底評価|XC40・XC60・XC90 3台比較(2/4)
- 筆者: 嶋田 智之
- カメラマン:佐藤 正勝・和田 清志・茂呂幸正 協力:ボルボ・カー・ジャパン
活発だけどエレガンスさも備えるオールマイティな次女「XC60」
次女のボルボ XC60は、清楚系でややフォーマルな装いの姉と較べると、ルックスはちょっと活発そうな印象だ。XC90より全長で260mm、全幅で15~30mm、全高で100~115mm、ホイールベースで120mmほどコンパクトな体躯から、やや立体感を増したボディ各部のパネルやキックアップを効かせたリア ウィンドウの後端や傾斜を強めたリア ゲートから、そうした行動的な雰囲気が漂ってくる。それがXC90と同じ種類の品の良さと、綺麗にバランスしてるのだ。
インテリアも、基本、同じ方向を向いてまとめ上げられている。ダッシュボードの上半分は穏やかな水平基調で、ここはXC90とほぼ共通なのだが、下半分はSENSUSのスクリーンやエアコンの送風口などを巧みに取り囲むようなラインをあしらうことで変化をつけていて、ちょっと動きのあるデザインなのだ。またウッドパネルもウォルナットやバーチのような高級感の演出に一役買うものというより、ドリフトウッド(流木をイメージした独特の枯れた風合い)やリニアライム・ウッドなど、自然を連想させる種類のものとなり、グレードによってはウッドの代わりにメッシュのアルミパネルがあしらわれるなど、感覚や好みで選べるしつらえとなっている。
シートは“Rデザイン”というスポーティ・グレードのみ専用のスポーツシートとなるが、それ以外は上級のXC90シリーズと共通のもので、それを包むレザーあるいはテキスタイルのコンビという素材も質感は高く、いずれも居心地はとてもいい。特にInscriptionグレードでは革も最高級のファインナッパレザーとなり、さらにベンチレーション機能やマッサージ機能まで備わる至れり尽くせりぶり。599~899万円という価格帯からもそのボディサイズからも、XC60の立ち位置はSUVの激戦区であるミドル・クラス。インテリアだけ見ても、それに恥じないどころか相当に魅力的な水準にあると思う。
2リッターディーゼルターボの絶え間ない力強さ
見た目のちょっと活発そうな印象は走らせてみると即座に確信に変わるのだけど、その前にエンジンのラインナップについて触れておくと、XC90と同じT5、T6、T8ツインエンジン(PHEV)の他、D4という2リッターのディーゼル・ターボまで用意される豊富なバリエーションが特徴。中でもディーゼルの190ps/400Nmという数値はパワーこそT5に譲るものの、トルクでは優っていて、ゆるやかな発進の領域から高速巡航まで、あらゆる場面であっさり満足させられるほどの力強さを発揮してくれる。T5の俊敏さを選ぶか、それともD4の絶え間ない力強さか、悩む人も多いんじゃないだろうか?
いずれにしてもXC60は、姉と同じSPAプラットフォームにAWDという基本構成で、しかも同じパワーユニット搭載車で較べれば車重がざっと200kg前後ほど軽い計算。その軽さ、ホイールベースの短さ、重心高の低さ、それらに最適化されたサスペンションのセッティングなどによって、XC90との違いをはっきりと感じられるほどの加速力やハンドリングを手に入れている。ちょっとばかりダイナミックなテイストなのだ。それでいて、XC90ほどのゆったり感やしっとり感こそないものの、文句なしに快適といえるほどの乗り心地も提供してくれる。色々な意味で死角らしい死角がない。
XC60はボルボSUV3姉妹の中で、活発に走ることも苦手とせず穏やかに走っても心地好い、そのバランスが最も均衡といえるスーパー・オールマイティなモデルだと思う。
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