トヨタ、新型コンパクトカー「YARIS(ヤリス)」を世界初公開|アクアも超える超・低燃費! ヴィッツが世界共通名に変身

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:茂呂 幸正・トヨタ自動車
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トヨタは2019年10月16日、コンパクトカーのヴィッツをフルモデルチェンジし、名前も新たに「YARIS(ヤリス)」として世界同時に発表した。日本での発売は2020年2月中旬を予定する。

新型ヤリスはプラットフォームを新開発し、新型1.5リッター3気筒エンジンや、世界トップクラスの低燃費を誇る新世代ハイブリッドシステムを搭載。小型ながらダイナミックで存在感あるデザインや、上級車に見劣りしない先進予防安全機能など、全方位に渡り新しくなったトヨタの意欲作だ。そんな世界戦略車ヤリスの詳細について、自動車評論家の渡辺 陽一郎氏が徹底的に解説する。

目次[開く][閉じる]
  1. 約10年ぶりのフルモデルチェンジ、4代目にして車名を変更した理由
  2. トヨタ新型ヤリスの内外装デザインを検証
  3. エンジンラインナップは3種類|選ぶべきパワートレインはどれ!?
  4. 最新バージョン! 標準装備されるToyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)に注目
  5. まとめ|新型ヤリスはズバリ“買い”か!?

約10年ぶりのフルモデルチェンジ、4代目にして車名を変更した理由

日本では軽自動車と並んでコンパクトカーの人気が高い。新車として売られるクルマの25%を占めるから、軽自動車の37%に次いで多い。

そうなるとトヨタ ヴィッツは重要な車種だが、現行型(3代目)の発売は2010年だから既に9年を経過しており、さすがに基本設計も古くなった。そこでいよいよ、新型が登場することになった。フルモデルチェンジに合わせ、車名は海外と同じ「YARIS(ヤリス)」に変更する。

新型ヤリスの開発者に、ヴィッツから車名を変更する理由を尋ねると「新しいヤリスは、エンジンからプラットフォームまで、すべてを刷新して世界に通用するまったく新しいクルマ造りに挑んだ。そこで車名も海外と統一する」という主旨の返答であった。

>>トヨタ ヴィッツ後継車は名前も変えてイメージ一新! 詳細画像を見る[フォトギャラリー]

新型ヤリスの外観デザインは、現行型の路線を受け継ぎながらも、ボディパネルに張りを持たせて塊感を演出する。内装の質やシートの座り心地も向上させた。プラットフォームは、TNGAの考え方に基づくコンパクトカー向けのGA-Bと呼ばれる新しいタイプを採用し、捩り剛性を30%以上高めた。パワートレインは、新開発された直列3気筒1.5リッターダイナミックフォースエンジンを搭載して、同じエンジンを使うハイブリッドも選べる。併せてベーシックグレードには現行型が搭載する直列3気筒1リッターも改良して使う。従ってパワートレーンは3種類だ。緊急自動ブレーキを作動できるトヨタセーフティセンスは、コンパクトカーでも最新型が採用され、右折時における直進車や歩行者との衝突を防ぐ機能も採用した。

トヨタ/ヴィッツ
トヨタ ヴィッツ
新車価格:
120.3万円236.2万円
中古価格:
7.8万円249万円

トヨタ新型ヤリスの内外装デザインを検証

外観デザインのイメージは“KUROMAME(黒豆)”!?

まずは新型ヤリスの外観のデザインから見ていきたい。デザイナーによると、外観は“KUROMAME(黒豆)”のイメージだという。デザイナーには芸術家肌の人が多く、私のような凡人には理解しにくい話が出ることは珍しくない。黒豆の意味を尋ねると「黒豆は丸くてツヤがあり、ワンモーションフォルム(ボディをひとつの塊として見せる外観のデザイン手法)にピッタリだ」とコメントした。

確かにヤリスはワンモーションフォルムだが、現行型に比べると、その度合いは弱まる。斜め前方の視界を向上させるため、フロントピラー(柱)を手前に100mm以上引き寄せて、ピラーの角度も少し立てた。それによりボンネットを長く見せる形状になる。

サイドウィンドウの下端は現行型と同等かそれ以上だが、後ろに向けて持ち上がる形状として躍動感を与えた。デザイン性を高めてはいるが、斜め後方の視界を損なっている。

ボディサイズは全長3940mm、全幅1695mm、全高1500mm(ただしアンテナなどを除くと1475mm)とされ、現行型ヴィッツとほぼ同じ寸法だ。全高は実質的に25mmほど低くなった。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2550mmだから、現行型に比べて40mm長い。

そのために4輪がボディの四隅に配置される形状になった。リヤゲートも寝かされて塊感が強い。ボディサイドには複数のキャラクターラインが入る。

昨今はキャラクターラインを減らしてシンプルに見せるモデルも多いから、デザイン手法は少し古典的にも感じられるが、デザイナーは「陰影が美しく映える」と説明した。ディテールのデザイン処理はさておきボディ全体のフォルムで見比べると、既存の車種でいえばスズキ スイフトに似ている塊感だ。

内装の質感は向上、パッケージングは前席優先の思想

内装ではインパネの質感を高めた。前席を囲むようにラウンドした形状で、上側には柔らかいパッドも使われる。エアコンなどのスイッチは高い位置に備わり操作性が良い。

前席は設計の新しい車種とあって、背もたれの下側、座面の後方から中央付近を入念に造り込んだ。腰から大腿部を確実に支える。

注意したいのは後席だ。足元空間が狭く、なおかつ腰が落ち込んで膝の持ち上がる窮屈な姿勢になりやすい。身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る乗員の膝先空間は、現行型ヴィッツが握りコブシ2つ分を確保するのに対して、新型ヤリスは握りコブシ1つ少々に減る。前席の下側に足が収まるから大人4名の乗車は可能で、座面の造りは現行型よりも柔軟だが、ファミリーカーとしての適性は下がった。

開発者によると「床と座面の間隔を現行型と比べた場合、ヤリスは前席で21mm、後席で32mm減り、前後席に座る乗員同士の間隔も37mm縮まった」という。後席は乗降時の頭部の通過性も悪化したから、現行型から乗り替える時には注意したい。

逆にドライバーの運転姿勢は向上した。前輪を前側へ押し出してホイールベースを40mm伸ばしたから、後席が狭まった代わりに前輪からペダルまでの寸法は伸びている。そのためにペダルの位置を現行型よりも右側へ寄せることが可能になり、ペダル配置と運転姿勢が最適化された。

つまりヤリスは現行ヴィッツに比べると、インパネの質感なども含めてドライバー優先のクルマになった。現行型ヴィッツは後席や荷室空間を重視するホンダ フィットと、ドライバーを優先するマツダ2(旧・マツダ デミオ)との中間に位置するが、ヤリスはマツダ2に近づいた。

エンジンラインナップは3種類|選ぶべきパワートレインはどれ!?

高効率な新開発1.5リッター3気筒エンジン、ハイブリッドは世界TOPクラスの低燃費を誇る

搭載するエンジンは前述のように3種類だ。新開発された直列3気筒1.5リッターのノーマルタイプは、現行型の1.3リッターに比べると低回転域を含めて幅広い回転域で駆動力を高める。Direct Shift-CVTのほか、6速MTも選ぶことが出来る。

同じ1.5リッターエンジンを使うハイブリッドは、モーターの駆動力を高めて伝達時のロスは抑えたことで、動力性能と実用燃費を両方ともに向上させた。トヨタでは「世界最高レベルの低燃費」だと豪語しており、アクアやプリウスなどを上回る燃費数値が期待される。

さらに現行型に搭載される直列3気筒1リッターエンジンも効率を高める。

ガソリン車にはアイドリングストップが備わらないのが不可解

新開発の1.5リッターは、現行型の1.3リッターに比べて動力性能だけでなく燃費も向上させるが、不可解なのは1リッターエンジンまで含めてアイドリングストップ機構を省くことだ。ハイブリッドは走行中でもエンジンを停止させるが、ノーマルタイプはオプションでもアイドリングストップを付けられない。

開発者に理由を尋ねると「エンジンの停止と再始動が煩わしいと感じるお客様もいるからだ」との返答だが、それならばモーター機能付き発電機を採用してベルト駆動で再始動させるなど、ノイズの低減を図るべきだ。

開発者によると「アイドリングストップの非装着によって12Vの鉛バッテリーも小さくできる」とのことで、確かに鉛バッテリーの交換コストは安くなるが、今はそういう話をする状況ではない。アイドリングストップにより、燃料消費量と二酸化炭素を含む排出ガスを抑えるのが常識になった。損得勘定とか煩わしさ以前に、アイドリングをすること自体に罪悪感を抱くユーザーも多い。開発者によると「アイドリングストップは容易に装着できる」というから、早々に対応すべきだ。

動力性能や燃費は現時点では未発表|従来型比で約50kg軽量化し基本性能は向上

動力性能や燃費数値は、現時点では明らかにされていないが、軽量化も図って装備が同等の車種同士で比べると約50kg軽い。これは走行安定性まで含めて、幅広い性能を押し上げる。

プラットフォームを刷新して、なおかつ各部を効果的に補強したこともヤリスの特徴だ。サスペンションの取り付け剛性を高めて走行安定性が底上げされ、一部のセッティングは乗り心地に振り分けることができた。2WDのサスペンションの形式は、従来と同じく前輪が独立式のストラット、後輪は車軸式のトーションビームだが、ボディと併せて刷新されている。

最新バージョン! 標準装備されるToyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)に注目

自転車や夜間の歩行者に対応、さらに右折時の対向車や歩行者も検知する

装備で注目されるのは安全面だ。プリクラッシュセーフティ(緊急自動ブレーキ)は、昼間の自転車、夜間の歩行者検知も可能にした。さらに右折時に対向する直進車や横断歩道を渡る歩行者を検知して、緊急自動ブレーキを作動させることも可能になった(トヨタ車初機能)。後方の並走車両を検知したり、車庫から後退しながら出る時の衝突防止機能(リアクロストラフィックオートブレーキ)も備わる。

そして衝突を検知した後、自動的にブレーキを作動させる機能(セカンダリーコリジョンブレーキ)も加えた。交通事故の映像を見ると、衝突した後に車両が止まらずフラフラと動き、二次的な事故を発生させることがある。そこでエアバッグが展開するような交通事故が生じると、自動的にブレーキを作動させる。

ACCは30km/h以上で作動するタイプ|高度駐車支援機能も進化

運転支援機能も備わり、車間距離を自動制御できるレーダークルーズコントロールやパワーステアリングの操舵支援(レーントレーシングアシスト)も行う。ただし全車速追従型ではなく、時速30キロ以下ではキャンセルされる。パーキングブレーキがレバー式で、追従停止した後に、電動式のように自動的な作動できないためだ。

駐車位置を設定すると自動的に車庫入れを行う機能(高度駐車支援システム「Advanced Park」)は、従来のステアリング制御にブレーキとアクセルも加わり、使い勝手が向上した。車庫入れの最中に歩行者が近づくと、警報を発してブレーキを作動させる制御も備わる。このブレーキ制御は安全性を高めるので、駐車支援機能を使っていない通常の後退時にも作動するようにして欲しい。このほか自宅の車庫に白線がない場合など、駐車位置を映像で記憶して車庫入れできる機能も加えた。

このほかハイブリッドには100V/1500Wの電源コンセントも設定し、レジャーや緊急・災害時に家電などを作動させることも出来る。

まとめ|新型ヤリスはズバリ“買い”か!?

注意すべき点は幾つかあるがコンパクトカーの中でも注目度の高いモデルになった

アイドリングストップの非装着は今後の課題で、現行型から乗り替える時には後席の居住性や乗降性に注意する必要がある。欠点も散見されるが、1.5リッターエンジンの動力性能、走行安定性、乗り心地、内装の質感、安全装備などは幅広く向上する。1~2名で乗車するユーザーには、注目度の高いコンパクトカーとなった。

ヤリスの販売価格は2019年12月に発表、正式発売は2020年2月中旬までおあずけ

新型ヤリスの価格を含めた正式な発表は2019年12月で、生産と納車を伴う発売は2020年2月中旬だという。なお今モデルよりこれまでのトヨタネッツ店専売から、トヨタ全販売チャンネルでの取り扱いへと切り替わる点も注目したい。とある販売店に尋ねると「予約受注は11月頃から開始するのではないかと思うが、詳細はメーカーから聞いていない」とのこと。

今はヤリスに限らず発表・発売のタイミングがわかりづらく、クルマの売り方が煩雑になってきた。新型ヤリスの購入を検討する場合は、お近くのトヨタディーラーに問い合わせていただきたい。

[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:茂呂 幸正・トヨタ自動車]

【トヨタ ヤリス 設定グレード】

■1リッターFF(Super CVT-i):X/X“M Package”/G

■1.5リッターFF(Direct Shift-CVT/6速MT):X/G/Z

■1.5リッター4WD(Direct Shift-CVT):X/G/Z

■ハイブリッドFF:HYBRID X/HYBRID G/HYBRID Z

■ハイブリッドE-Four(4WD):HYBRID X/HYBRID G/HYBRID Z

トヨタ ヤリス HYBRID G[FF](プロトタイプ) 主要スペック
車種名 ヤリス(プロトタイプ)
グレード名 ヤリス HYBRID G[FF]
全長×全幅×全高3,940mm×1,695mm×1,500mm
ホイールベース2,550mm
トレッド(前)1,480mm(後)1,475mm
駆動方式前輪駆動(FF)
車両重量1,090kg
エンジン種類直列3気筒 1.5L ダイナミックフォースエンジン+ハイブリッドシステム
総排気量1,490cc
トランスミッション電気式無段変速機
燃料消費率(WLTCモード燃費)ーーkm/L
燃料消費率(WLTC:市街地/郊外/高速道路モード)ーーkm/L
タイヤサイズ185/60R15
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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

監修トクダ トオル (MOTA編集長)

新車の見積もりや値引き、中古車の問い合わせなど、自動車の購入に関するサポートを行っているMOTA(モータ)では、新型車や注目の自動車の解説記事、試乗レポートなど、最新の自動車記事を展開しており、それらの記事はMOTA編集部編集長の監修により、記事の企画・取材・編集など行っております。MOTA編集方針

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