ミシュラン 新型プライマシー4試乗|ウェット性能や静粛性・快適性などがアップしたプレミアムコンフォートタイヤ

  • 筆者: 岡本 幸一郎
  • カメラマン:日本ミシュランタイヤ株式会社

自動ブレーキやハイブリッド車の普及でタイヤに求める性能も変化

ミシュランのコンフォートタイヤの最新版「プライマシー4(PRIMACY 4)」が2018年7月2日より発売される。発売に先立ち、新商品を栃木県のGKNプルービンググラウンドで試乗することができた。

前身となるプライマシー3を2013年に送り出してから5年。自動車業界のトレンドもいろいろ変わった。

たとえば衝突被害軽減ブレーキの装着率は、2017年の新車販売に占める割合では実に約6割に達しており、ユーザーの安全に対する意識はますます高まっていることがうかがえる。さらには、ハイブリッド車や電気自動車など電動化が進み、5年前には新車販売の約13%だったところ、今や約50%に達している。

これらを踏まえ、ユーザーがタイヤに求める性能もここ5年で大きく変わっていると考えられる。

一方、ミシュランが行なった消費者調査によると、新品時に重視する性能の1位は「雨天時のブレーキング性能」で、履き替え時まで続いて欲しい性能の1位も「雨天時の性能(ブレーキング、ハンドリング)」という結果が出たという。

実際、雨天時に事故が発生する割合は、晴天時に比べて約4倍にも増え、近年はゲリラ豪雨の発生回数も増えている。こうしたトレンドやユーザ動向を踏まえ、ミシュランでは新商品のプライマシー4を開発するにあたり、より静かで燃費が良く、寿命の末期まで高いウェット性能を維持し、安心感が長く続くことを重視した。

そのために、残り2mmになったときの溝体積が約22%も増える新しい溝の形状を採用したり、低燃費性能とウェット性能を向上させて高次元で両立させた新配合のコンパウンドを採用するなど、いくつかの新技術を用いている。

>>ウェット性能などタイヤの基本性能が向上したミシュラン プライマシー4の画像を見る

プライマシー4の新品と摩耗した状態で乗り比べ

さっそくプライマシー4を履いたトヨタ クラウンでテストドライブ開始。

まず、プライマシー4の新品のウェットブレーキ性能を試すと、かなり滑りやすい路面にもかかわらず、ブレーキを踏んだ瞬間にしっかり減速Gが立ち上がり、ABSがきめ細かく作動してしっかり止まることを確認できた。

前身のプライマシー3と乗り比べ、制動距離の違いは?

さらに、プライマシー4と前身であるプライマシー3のそれぞれ新品と残り溝を2mmまで減らした摩耗タイヤを装着したVW ゴルフで乗り比べると、新品同士では差が小さいところ、残り溝の少ない摩耗タイヤでは制動距離の差が大きく広がった。

ご参考まで、ミシュランのテストでは新品時には約4.5%の差で、摩耗した履き替え時には約13.3%の差になるとのことだったが、筆者は試してもほぼそのとおりになった。実際、両者の摩耗時の印象は、プライマシー4のほうが減速Gは若干強く、短い時間で止まるように感じられた。そこはまさしくプライマシー3から4での進化点にほかならない。

ただし、ここで強調しておきたいのは、プライマシー4のほうが性能が上回ったものの、プライマシー3でも十分で全く不満はないということだ。よく他社製品で新旧比較をすると、愕然とするほど旧製品が劣るケースが多いのだが、ミシュランのプライマシーシリーズではそんなことはない。プライマシー3も問題なく止まることをあらためて確認できた上で、プライマシー4はもっとすごくて驚いた、というニュアンスである。

高速走行ではしなやかな乗り心地と優れた静粛性を発揮

続いてプライマシー4を装着した車両で高速周回路とハンドリング路を走行して、その性能のほどを確認したところ、けっして大げさではなく、感心させられっぱなしだった。

まず印象的なのが乗り心地の良さだ。少し路面の荒れたところや継ぎ目を越えたときでもタイヤがしなやかに受け止め、路面からの入力がやさしく緩和されていて、上質な乗り味に仕上がっている。これにはケースのサイド部分をあえて薄くしてクッション性を上げていることが効いているようだ。運転してもらって後席に乗ってもその印象は変わらず、快適性は極めて高い。

さらに、静粛性にも優れる。クルマの電動化に合わせて、タイヤにもより静かであることが求められる中で、プライマシー4はその点でも遜色ない。開発関係者によると、プライマシー3に比べてパターンの目のつまりをきめ細かくすることで、静粛性も向上しているそうだ。また、他のタイヤでは、コーナリング時にサイド部分が路面と接して別の音が出てきたりすることもよくあるのだが、プライマシー4の印象は変わらず静かなままだ。

加えて、転舵時のGの立ち上がり方が優しい感覚がある。これにも前述のサイドのしなやかさが効いているようだ。それでいてスラロームを試すと、操舵に対して遅れることなくクルマがキレイについてくることが、これまた印象深い。応答性や追従性は十分で、とくにミシュランではリアの追従性を重視しているそうだが、横のグリップが強すぎると揺り返しが大きく出るところ、そこも最適にバランスさせている印象だ。

濡れた路面でのコーナリングも不安なく走れる

高速周回路からハンドリング路に移ると、コンフォート性能だけでないことがさらによくわかる。横方向のグリップも十分に高く、スポーツタイヤほど機敏ではないとはいえ、動きが素直で応答遅れもなく、イメージどおりに動いてくれる。流れ出しもなだらかで、その印象のままなだらかに収束するので、コントロール性にも優れる。散水すると路面のミューがさらにだいぶ下がるのだが、グリップが高いので走りやすさは同じ。横方向の排水性も高いので、濡れた路面のコーナリングで不安なく走れて、違いがわからないほどだ。

なお、タイヤラベリング制度では、16サイズが転がり抵抗等級「AA」、19サイズがウェットグリップ「a」、5サイズ「AA-a」の高いグレーディングを取得していることもお伝えしておこう。

ミシュラン プライマシー4は、まさしくコンセプトどおりの「濡れた路面にも強いプレミアムコンフォートタイヤ」。長く維持される優れたウェット性能と、上質さを極めた快適性能に十分な運動性能を兼ね備えるなど、いろいろな要素をバランスよく持ち合わせ、本当に“イイモノ”感に満ちたスグレモノであった。

[TEXT:岡本幸一郎/PHOTO:日本ミシュランタイヤ株式会社]

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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