どこまで似てるのか!?スズキ 新型クロスビーとハスラーの違いを徹底比較!|普通車と軽自動車どっちが買い?(1/2)

  • 筆者: 渡辺陽一郎

スズキ クロスビーとハスラーの違いを徹底比較!

今回はスズキの小型車・クロスビーと、スズキの軽自動車・ハスラーを比べる。カテゴリーが異なるクルマ同士を比べる理由は、フロントマスクのデザインが似ていて、プラットフォームなどはまったく別のクルマながらも新型クロスビーがハスラーの拡大版のように見えるからだ。

>>新型クロスビーとハスラーを画像で徹底比較!

コンパクトカーに注力するスズキの意図とは

スズキは軽自動車が中心のメーカーとされているが、最近は小型/普通車に力を入れる。2017年の統計を見ると、国内で販売されるスズキ車の約16%は小型/普通車で、1年間の登録台数は10万台を超える。今後は小型/普通車を1年間に12万台売りたいという。

その理由に軽自動車の規格が将来的に危うく、小型/普通車にも力を入れて準備をしておくことがあるだろう。また今以上に軽自動車の販売比率が増えると(新車市場における軽自動車比率が40%を超えたりすると)、軽自動車関連の税金が増やされて規格が形骸化してしまう。

つまり税金の安い軽自動車の規格を守るためには、小型/普通車の開発と販売にも力を入れて、軽自動車の比率がむやみに増えないようにする必要があるわけだ。スズキはこのあたりのバランス感覚が優れ、無理をしないで小型/普通車を少しずつ増やしている。

スズキ 新型クロスビーとは

その小型車に属する新型車が、2017年12月25日に発売されたスズキ 新型クロスビーだ。コンパクトなSUVに分類され、プラットフォームはイグニスと共通。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も2435mmで等しく、トレッド(左右のホイールの間隔)も同じ数値になる。駆動方式は前輪駆動の2WDと4WDを用意した。

注目されるのはエンジンで、スイフトなどが搭載する直列3気筒1リッターターボに、マイルドハイブリッドシステムを組み込んだ。マイルドハイブリッドは、ISG(モーター機能付き発電機)が減速時を中心とした発電、アイドリングストップ後の再始動、エンジン駆動の支援(最長30秒間のハイブリッド機能)を行う。

ISGを備えたマイルドハイブリッドは、スズキ車に幅広く搭載されるが、1リッターターボに組み合わせたのはクロスビーが初めてだ。JC08モード燃費は2WDが22.0km/Lだから、スイフトが搭載するマイルドハイブリッドを採用しないターボの20.0km/Lに比べて10%ほど向上した。

なおクロスビー(XBEE)という車名の由来は、X=X(CROSS)OVERと、BEE=TO BE EXCITINGを組み合わせた造語だという。

スズキ ハスラーとは

スズキ ハスラーは2014年1月に発売されたスズキの背の高い軽自動車で、新型クロスビーと同様に内外装をSUV風に仕上げている。前後席の居住性や荷室の広さなどは基本的に先代ワゴンRと同じだから、車内が広くシートアレンジも多彩だ。荷室には汚れを落としやすい加工が施され、遊びに出かけた時も使いやすい。

駆動方式は前輪駆動の2WDと4WDがあり、エンジンはノーマルタイプ、S-エネチャージ、S-エネチャージのターボモデルの3種類から選べる。

新型クロスビー vs ハスラー|外装デザイン・ボディサイズ比較

フロントマスクのデザインはハスラーを踏襲

スズキ 新型クロスビーとスズキ ハスラーの外観を比べると、フロントマスクの形状が似ている。2灯式の丸型ヘッドランプを装着して、その両側にターンシグナルを配置して柔和な印象に仕上げた。下側に装着されたシルバーのバンパーも似た形状だ。テールランプは縦長で、これもハスラーに似ている。

なぜ新型クロスビーがハスラーに似ているのかを開発者に尋ねると「以前からハスラーのワイド版(小型車版)が欲しいというお客様の意見が多く、その期待に応えた」という。

新型クロスビーとハスラーのボディサイズ

新型クロスビーの全幅は1670mmだから、ハスラーよりも195mm広い。タイヤが収まる部分にはフェンダーアーチモールが装着され、これもハスラーに似た形状だが、クロスビーはフェンダー全体の張り出しを含めてワイド感が伴う。

新型クロスビーはハスラー以外にもいろいろなSUVに似ており、横から眺めると、フェンダーアーチモール付近の形状がジープ レネゲード風だ。前後のドアの下側に装着されたドアスプラッシュガードはシトロエン C3を想わせる。後ろ姿は角度によってミニ クロスオーバー風に見える。小さなボディで存在感を強める手法を取りそろえたデザインだ。

クロスビーの全長は3760mmだからハスラーに比べて365mm長く、全高は1705mmだから40mm高い。ホイールベースは前述の2435mmだから10mm長いだけ。つまり軽自動車のハスラーは、全長の割にホイールベースが長く、ボディの四隅に4輪を踏ん張らせて視覚的な安定感、塊感、軽快感を強めた。デザインの手法はクロスビーよりも新しい。

機能的には、クロスビーは、乗員の視線に対してサイドウインドウの下端をハスラーよりも約25mm高く設定した。外観に重厚感を与えるためだが、ハスラーに比べると車両に潜り込んだ印象になって周囲の視界が少し悪い。

ボディも大きいから最小回転半径はクロスビーが4.7m、ハスラーは4.6mだ。両車ともに取りまわし性は優れるが、競えば視界を含めてハスラーが勝る。

*勝者:ハスラー

新型クロスビー vs ハスラー|内装デザイン比較

新型クロスビーとハスラーのインパネは両車ともに水平基調のデザインだが、中央部分はATレバーなどが収まって縦基調としている。クロスビーではエアコンのスイッチが横長に配置されて、インパネのアクセントになっている。ただしスイッチのサイズは少し小さく、一般的にいえば操作性はハスラーが勝るだろう。メーターは両車ともに見やすく、視認性は同程度だ。

質感はハスラーも優れているが、コンパクトカーのクロスビーの方が上まわる。シルバーのパネルなどの配置も上質だ。新型クロスビーは小型車で設計も新しいから、造り込みは当然ながらていねいに行われた。

注意したいのは内装色だ。クロスビーはインパネの上側がホワイト、下側がブラックの1種類のみになる。ハスラーではインパネの上側がオレンジやイエローも選べる。クロスビーの場合、コントラストが少し強すぎる印象も受ける。それでも上質なのはクロスビーだ。

*勝者:クロスビー

新型クロスビー vs ハスラー|1列目・2列目の居住性比較

前席の形状は、新型クロスビーが左右に分割されたセパレートタイプ、ハスラーはベンチタイプになる。座り心地にあまり差はないが、肩まわりの支え方はクロスビーが優れている。

また全幅には195mmの差があるから、左右に座る乗員同士の間隔、乗員とドアの間隔などはクロスビーに余裕がある。頭上の空間は両車とも十分に確保した。

後席はクロスビーが快適だ。シートの座り心地がかなり違う。ハスラーは前後のスライドに加えて、後席の背もたれを前方に倒すと座面も下がり、床の低いフラットな荷室に変更できる。多彩なシートアレンジのために座り心地が快適とはいえない。

ところがクロスビーの後席は、左右独立の前後スライドは可能だが、背もたれに連動して座面が下がる機能はない。シートアレンジが単純で、その分だけ座面のボリューム感を増やせた。

前後に座る乗員同士の間隔は、両車ともに1000mmで等しい。全長はクロスビーが365mm長いが、ホイールベースは前述のように10mmしか違わず、前後に座る乗員同士の間隔がは同じになった。

しかもクロスビーは床が少し高くて膝が持ち上がるから、膝先の空間はハスラーが広く感じる。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間はクロスビーが握りコブシ2つ半、ハスラーは3つ分だ。クロスビーにもLサイズセダン並みの余裕があるが、着座位置が少し下がるため、ハスラーよりは少し狭い。それでも座り心地や左右方向の余裕も考えると小型車のクロスビーが快適だ。

*勝者:クロスビー

新型クロスビー vs ハスラー|乗り心地比較

ハスラーは背の高いボディで、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)も2WDが180mm、4WDは175mmを確保した。軽自動車とあって走行安定性の確保が難しく、足まわりの設定が硬めになっている。

これに比べて新型クロスビーは、ボディがワイドでリアゲート周辺の剛性も高めやすく、走行安定性を確保する上で有利な条件が多い。そうなれば足まわりのセッティングに自由度が生まれ、乗り心地も向上させやすい。

*勝者:クロスビー

新型クロスビー vs ハスラー|荷室の広さ比較

新型クロスビーはコンパクトカーで、ハスラーは軽自動車だから、荷室やリアゲート開口部の幅は当然ながらクロスビーが広い。

しかしボディサイズの違いを除く使い勝手は、ハスラーが勝っている。クロスビーは路面からリアゲート開口下端部までの高さが800mmと高く設定され、荷物を積む時に大きく持ち上げる必要が生じる。

また、荷室の床が高いので、クロスビーでは後席の背もたれの前倒しに連動して座面が昇降する機能を省いた。さらに、荷室の床下に大容量のアンダーボックスを装着するなど副産物的な機能も生じたが、使いやすいのは床が広く天井との間隔も十分に確保したハスラーだ。

*勝者:ハスラー

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筆者渡辺陽一郎
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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