水素時代はすぐそこ!? 燃料電池バスで最新の水素事情を追った(3/4)

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イワタニ有明水素ステーションで水素充填を体験

さて、燃料電池で発電をするには水素の充填が必要だ。そこでやってきたのがイワタニ有明水素ステーション

バッテリーに充電するよりも短い時間で水素充填ができるのも燃料電池の良いところだろう。EV(電気自動車)の場合、本来は長い充電時間を短縮するために、バッテリーを交換する方法や、充電時間を短縮する技術なども模索されている。しかし、そもそも電気は充電するのに使った電気をその分まるまる利用できるわけではなく、発電した電気は貯められないので、余剰となる電力が生じる。

その点余剰エネルギーで水素を作っておけば、それを充填した量に応じて、燃料電池を稼働させて電力を確保することが可能だ。

こうした実用上の便利さもさることながら、ガソリンスタンドで給油したらおおよその走行可能化距離の目途が立つように、水素も私たちが慣れ親しんだ「感覚」で利用できるところが、単なるEVでなく燃料電池自動車とするメリットではないだろうか。

車両を水素ステーションに着けると、スタッフの人が出てきて、ノズルを車体に差し込み、水素の充填がスタートした。

水素は高圧ガスで充填するので、重さベースで、キログラム単位での計量が表示される。リッター単位で表示されるガソリンとは違うのだ。

ちなみにガソリンは給油するそばから気化もするので、厳密にはタンクに流し込んだ量そのままを貯めているわけではないという知識を得ることもできた。

水素を貯めるタンクがルーフについているのは何故?

水素はルーフに設置されたボンベに充填される。

なぜルーフに設置されているかといえば、水素は軽いので、高圧でめいっぱい入れても車両重量に対する比率が小さく、屋根の上に設置しても安定性に支障がない。また万が一何かの拍子でタンクが破損した場合でも、水素は空気よりも軽いので、水素ガスが下に降りてくることがない。すなわちルーフ上に設置することは、走行安定性と安全性においてメリットがあるのだ。

充填の最初だけやや大きな音がするが、騒音等の影響もガソリンスタンドなどに比べても十分に静かなレベルだ。

ちなみに現在は、専門資格を持ったスタッフか、専門の講習を受講した人によるセルフでの充填作業が認められている。しかしこの状況もいずれは変わり、セルフ給油のガソリンスタンドが当たり前に普及したように、誰もが自力で水素を充填できるようになるだろう。

燃料電池車の普及の障壁とは

水素利用社会の実現には、まず先行してスタートしている、燃料電池など水素を利用して走る自動車の普及が必要条件だ。しかし、鶏が先か卵が先かではないが、まだまだ水素ステーションの整備が進んでいない実情がある。

現在水素ステーションは大都市が中心に整備されている。しかし、今後は水素ステーションを整備し、全国的に利用してもらえるような土壌づくりに注力していくとのことだ。

都内であれば15分ほど走れば水素ステーションがある環境を目指すほか、燃料電池車の価格も、乗用車であれば同等クラスの内燃機関の車両+70万円程度の価格にまで抑えていくことが目標だという。これは黎明期のハイブリッドカーや、現在の電気自動車のレベル感に近いのだとか。このレベルになってれば、水素利用はかなり進むことが期待できる。

>>次ページ:この日の最終目的地「国際水素燃料電池展(FC EXPO 2019)」へ

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中込 健太郎
筆者中込 健太郎

自動車ライター。1977年生まれ。神奈川県出身。武蔵工業大学(現東京都市大学)工学部電気電子工学科・水素エネルギー研究センターを卒業。自動車産業向け産業機械メーカーを経て、大手自動車買取販売会社で店舗業務からWEB広告、集客、マーケティングなどに携わる。現場経験に基づくクルマ選びや中古車業界の事情に明るいことから、ユーザーはもとより、自動車販売の現場からの信頼も厚い。幼少期からクルマをはじめとした乗り物好きが高じ、車種を紹介するコンテンツなども手掛ける一方、「そのクルマで何をするか」をモットーに全国をクルマで旅行し、食べ歩き、温泉巡り、車中泊といったカーライフに関する執筆も多数手がける。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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