水素時代はすぐそこ!? 燃料電池バスで最新の水素事情を追った(1/4)

水素利用の現状と可能性を知るための見学ツアーに参加!

次世代のエネルギー源として注目されているのが水素。そんな水素の可能性や現時点でできることを知るためのツアーが、経済産業省資源エネルギー庁により開催されたので、今回はその様子をレポートする。

そもそもなぜ水素が注目されているのかといえば、主に以下の4つの理由がある。

1.炭素を含まないのでCO2を排出しない

2.とても軽量

3.燃料電池で電気を生じさせることができる

4.再生可能エネルギーでの水分解が可能(現時点ではまだ「理論的には」という注釈付きだが)

上記4つの理由により、水素は今までの化石燃料中心の暮らしの常識を大きく可能性を秘めている。

自動車に関しても、水素を充填して走る燃料電池車としてトヨタ MIRAIやホンダ FCXクラリティが販売され、水素利用が少しずつ広がりを見せている。とはいえその規模はまだとても小さく、世の中への浸透はまだまだ遅れていると言わねばならないだろう。

しかしながら、水素利用を推進する動きは着々と進んでいる。そんな現状を今回のツアーで実感した。

>>水素時代もいよいよ間近! ツアーの様子を画像でチェック

電気か水素かという覇権争いではない

まずツアーの冒頭、水素利用に関する現状や今後のロードマップ(どのように本格実用化させるかという道筋)に関する説明を受ける。

未来のエネルギーを考えると、電気か内燃機関か、電力に関しても原子力か火力か水力かというように、ついエネルギーに関する分類の中での存在感や覇権争いを想像してしまう。しかし実際には、それぞれのエネルギー源のメリットを活かし、最適な方法で、最適なエネルギーを利用するという発想が大切なのだ。どれか一つに正解を求めるのではなく、多くの選択肢をもつという発想が印象的だった。

もちろん、利用促進のためには十分に安価に、安定的に、安全に利用できるという土台作りは不可欠だ。それがなければ、他の多くのエネルギーに対して利用するメリットがなくなってしまう。

水素は今まで、エネルギー源として利用するにはデメリットが多かった。高圧利用が不可欠なため扱いが難しく、生産体制の規模が小さくコスト面で不利、さらに充填できる場所が少ないなど、エネルギーとして利用するための条件が不十分だったのだ。

しかしそうした状況は加速度的に是正されており、供給体制も急速に拡大していることが示された。

また今までは、水素タンクが破損して中身が漏れた際の危険性が誤解されていた。専門家にはおなじみだが、実は水素は最軽量の物質であるがゆえに空気中にすばやく拡散してしまう。石油燃料が事故等で爆発炎上するのと比べて被害は小さく、扱いやすいという点が紹介されていた。

セミナーで登壇した、経済産業省新エネルギーシステム課長 水素・燃料電池戦略室長 江澤 正名氏はこのように述べる。

「太陽光や風力などの再生可能エネルギー、電力利用ではCO2排出量の低減が可能ですが、水素固有の特徴は、運輸流通時のCO2低減です。エネルギーとしての環境価値はLNG(液化天然ガス)以上。2017年200トン程度だった水素利用の規模を、2030年には30万トン規模にまで拡大、コストも飛躍的に落としていくことで、普通に利用できるエネルギーとして浸透させていきます。」

>>次ページ:電気バスよりも親しみが沸く? 燃料電池バスで汐留から有明へ

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中込 健太郎
筆者中込 健太郎

自動車ライター。1977年生まれ。神奈川県出身。武蔵工業大学(現東京都市大学)工学部電気電子工学科・水素エネルギー研究センターを卒業。自動車産業向け産業機械メーカーを経て、大手自動車買取販売会社で店舗業務からWEB広告、集客、マーケティングなどに携わる。現場経験に基づくクルマ選びや中古車業界の事情に明るいことから、ユーザーはもとより、自動車販売の現場からの信頼も厚い。幼少期からクルマをはじめとした乗り物好きが高じ、車種を紹介するコンテンツなども手掛ける一方、「そのクルマで何をするか」をモットーに全国をクルマで旅行し、食べ歩き、温泉巡り、車中泊といったカーライフに関する執筆も多数手がける。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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