軽自動車は万が一の事故の時不安!?そんな声にホンダが応える│ ホンダのNシリーズ安全取材会に行ってきた

  • 筆者: 小鮒 康一
  • カメラマン:本田技研工業株式会社

日本一売れている車種だからこそ安全に!

軽自動車の中で圧倒的な人気を誇るホンダ N-BOX。4年連続で軽自動車販売台数ナンバーワンに輝いただけではなく、2017年度、2018年度と2年連続で日本で一番売れた車種となっているのだ。2018年度の登録車ナンバーワンの日産 ノートが131,760台だったのに対し、N-BOXは239,706台と2倍近い台数となっているところからもその人気ぶりが分かるだろう。

それほど多くの人に選ばれるN-BOXに代表されるNシリーズだけに、安全性が気になるユーザーも少なくないだろう。どうしても決められたボディサイズに収めなければならない軽自動車は、普通車に比べると万が一の事故のときに不利になってしまうイメージがあるかもしれない。

そこで今回は、栃木県にある本田技術研究所で開催されたNシリーズ安全取材会に参加し、Nシリーズの衝突安全性能と予防安全性能はどれほどのものなのかをこの目で確かめることにしたのである。

目の前で見る衝突実験に衝撃が走る

まず我々が向かったのは、栃木県芳賀郡にある本田技術研究所オートモービルセンター内の屋内型全方位衝突実験施設。2000年4月に完成したこの施設は、屋内全天候型としては世界初の「車対車」全方位衝突実験施設であり、合計8本のコースが放射状に設けられ、正面衝突や側面衝突、追突まで、15°刻みで全方位からの衝突形態を再現することが可能となっている。

今回は特別に衝突実験を実際に行うところを見ることができた。JNCAPなどの試験動画などでは目にすることがある衝突実験だが、目の前でその瞬間を見るというのは非常に貴重な体験である。よくよく考えてみれば、日常生活においても目の前でクルマ同士が正面衝突する場面を目撃することは稀だろう。

実験はN-BOXとインサイトを用いたラップ率50%のオフセット衝突実験で、運転席側同士がぶつかるパターン。速度はどちらも50km/hで相対速度は100km/hとなる計算だ。

テスト開始を知らせるブザーが鳴り響いたあと、両車がスルスルと走ってくる。実際にエンジンをかけて自走するわけにはいかないのでワイヤーで引っ張られているワケだが、音がしないのは若干の違和感があるな……と思った瞬間、施設に轟音が鳴り響いた。

この轟音の正体はクルマ同士が衝突した音ではなく、エアバッグが展開した音だ。衝突音もそれなりに大きかったが、火薬を用いて展開するエアバッグの音の方が明らかに大きく、ビクッとなってしまったのはここだけの話である。

衝突したクルマの方はと言うと、同じ速度(50km/h)で衝突したにもかかわらずN-BOXの方が大きく弾き飛ばされた形で停車していた。これはN-BOXの車重が約900kgなのに対してインサイトが約1400kgであり、重量比で言うと1:1.5ということになる。その結果、N-BOXの方により大きな衝撃が加わったという証拠なのだ。

しかし、大きく破損した見た目とは裏腹に、N-BOXの運転席側ドアはなんの工具も必要なくあっさり開き、乗せられたダミーの足元などにも十分な空間が確保されていた。これだけ空間が確保されていれば、重篤な障害を負う可能性は低いだろう。さすがはJNCAPの衝突安全性能評価で星5つを獲得したN-BOXである。

なお、N-BOXをはじめとするホンダ車は「コンパティビリティ対応ボディ」を採用している。これは左右に存在するサイドメンバーの前端をクロスメンバー状に接合することで、点で衝撃を受けるのではなく、面で衝撃を受けることで衝突エネルギーを分散するというもの。これによって受ける衝突エネルギーの吸収は当然ながら、相手側への攻撃性も低減するスグレモノのボディ構造なのである。

ないなら作ろう! ホンダが開発する歩行者ダミーPOLAR

衝突試験では歩行者保護性能(歩行者頭部保護性能と歩行者脚部保護性能)も需要なファクターとなる。通常の試験では、頭部を模した球体と脚部を模したダミーをそれぞれ個別に車両にぶつけてその数値を図っているが、それでは実際に歩行者と接触したときにどういう挙動が起きるのかまでは判断ができない。

もちろんマネキンのようなものでは人間の関節を再現しておらず参考にならないため、ホンダ自らが歩行者ダミーの「POLAR」を開発したのである。現在は3世代目となるPOLAR IIIが誕生しており、これにより歩行者用エアバッグなどの研究が大きく進んだということだ。

日々進化を続ける先進安全運転支援システム「Honda SENSING」

「当たらなければどうということはない」とどこかの少佐が口走ったように、究極の安全は事故を起こさないことだ。とはいえ、人間のやることにカンペキは存在しないしミスを犯すこともあるだろう。そんな時に被害を回避、もしくは軽減してくれるのが先進安全運転支援システムの「Honda SENSING」である。

2代目となるN-BOXにはホンダの軽自動車として初めてHonda SENSINGが搭載され、衝突軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能、アダプティブクルーズコントロール、LKAS(車線維持支援システム)、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能の従来の機能に加え、ホンダ初となる後方誤発進抑制機能、ホンダの軽初となるオートハイビームを追加されている。

さらにN-BOXから派生した商用車のN-VANでは衝突軽減ブレーキの夜間歩行者認識性能が向上し、7月18日に登場した新型N-WGNでは、衝突軽減ブレーキの夜間歩行者認識性能がさらに向上。横断自転車も認識するようになり、アダプティブクルーズコントロールも渋滞追従機能が新たに追加されるなど、日進月歩の勢いで進化を見せているのだ。

今回は実際にN-WGNの横断自転車認識を見ることができた。自車の速度はおよそ時速30km/h、そこに時速15km/hで自転車(を模したダミー)が横断してくるというもので、住宅街などでは大いにあり得るシチュエーションだ。

当日は生憎の天候でダミー側がなかなかうまく作動しないというハプニングはあったものの、衝突軽減ブレーキは何の問題もなく作動。自転車に接触することもなく事故を華麗に回避してくれ、ダミーがうまく作動しなかったという前フリも功を奏したのか、会場全体が感動に包まれたのだった。

このように、万が一事故が起きてしまったときの被害を最小限に留めることはもちろん、事故を未然に防ぐ技術も日夜研究を続けているホンダ。その姿勢は実際にN-BOXの購入を検討しているユーザーにも届いているようで、購入理由の上位に予防安全性能(51.8% 2015年度比+34.8%)と衝突安全性能(48.2% 2015年度比+30.5%)がランクインしているそうだ。ダウンサイジングをしたいけど軽自動車は何となく不安……と思っている人も、今回の写真や映像を見ていただければその不安が解消できるのではないだろうか。

[筆者:小鮒 康一/撮影:本田技研工業株式会社]

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小鮒 康一
筆者小鮒 康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後に急転直下でフリーランスライターへ。国産旧車に造詣が深いが、実は現行車に関してもアンテナを張り続けている。また、過去に中古車販売店に勤務していた経験を活かし、中古車系の媒体でも活動中。最近では「モテない自動車マニア」の称号も獲得。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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