新型ゴルフvsカローラ、実質50万円以上高いゴルフを買う理由は“高速性能”だけじゃなかった!? 新型ゴルフとトヨタ カローラをコスパと性能で比較

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:茂呂 幸正・和田 清志・島村 栄二・フォルクスワーゲングループジャパン・TOYOTA
画像ギャラリーはこちら

2021年6月、フォルクスワーゲンの代表的モデル「ゴルフ」が8代目にフルモデルチェンジした。日本では様々なモデルがライバル車に相当するが、今回は同じくメーカーを代表するモデル「トヨタ カローラ」を取り上げたい。どちらも世界でトップを争う最量販ブランドだ。そんな2台を日本で比較したらどうなるだろうか。主にコスパと性能の面で徹底比較してみた!

>>世界中で戦うライバル「フォルクスワーゲン ゴルフ」と「トヨタ カローラ」を写真で比べる[画像100枚]

目次[開く][閉じる]
  1. 世界中で売られる代表的モデル「ゴルフ」と「カローラ」は正真正銘のライバル関係にある
  2. 装備差を考えてもゴルフより55万円は割安なカローラ! しかし燃費はゴルフのほうが優れる
  3. 確かに新型ゴルフの1リッターターボは高効率だが、カローラのノンターボ1.8リッターエンジンの魅力も捨てがたい
  4. 室内、特に後席の広さはフォルクスワーゲン ゴルフが圧倒的に有利だ
  5. カローラではなく、新型ゴルフを選ぶ理由は高速走行時の性能差だけじゃない!

世界中で売られる代表的モデル「ゴルフ」と「カローラ」は正真正銘のライバル関係にある

フォルクスワーゲン ゴルフは、海外では2019年にフルモデルチェンジを行ったが、日本ではコロナ禍の影響もあって2021年6月にようやく正式に発売が始まった。そこで今回は、新型ゴルフ(ゴルフ8)を日本のライバル車になるトヨタ カローラと、コストパフォーマンスや性能の面で色々と比べてみたい。

国内向けのトヨタ カローラは、グローバルで売られるモデルよりもサイズを抑えた日本特別仕様

両車とも世界中で販売されるが、日本で売られるトヨタ カローラのボディは日本専用にサイズを抑えている。

現行型は海外仕様のトヨタ カローラとプラットフォームを共通化する3ナンバー車になったが、海外のカローラは、全幅が約1800mmとワイドでホイールベース(前輪と後輪の間隔)も2700mmと長い。これでは日本のカローラとしてはボディが大きいから、全幅を1740mmに抑えた。ホイールベースも、セダン、ツーリング(ワゴン)ともに、5ドアハッチバックのスポーツと同じ2640mmにした。ゴルフの2620mmとほぼ同じ数値だ。

フォルクスワーゲン ゴルフのライバル車といえば、厳密には5ドアハッチバックのトヨタ カローラスポーツが挙げられるが、ここではあえてカローラセダンを取り上げる。カローラセダンは、日本仕様のカローラシリーズの中では機能や装備の割に価格を安く抑えており、買いやすいモデルだからだ。ゴルフも、輸入車の中では比較的購入しやすい価格帯に位置している。そうしたコストパフォーマンス面から比べてみよう。

装備差を考えてもゴルフより55万円は割安なカローラ! しかし燃費はゴルフのほうが優れる

新型ゴルフの4グレードで最もお買い得なのは1リッターターボ「eTSI アクティブ」

フルモデルチェンジしたフォルクスワーゲン 新型ゴルフは4つのグレードが用意される。その中でも買い得感の高いグレードは、312万円5000円の「ゴルフ eTSI アクティブ」だ。

ゴルフ eTSI アクティブに積まれるエンジンは直列3気筒 1リッターターボで、最高出力は110馬力(5500回転)、最大トルクは20.4kg-m(2000~3000回転)を発生させる。

ゴルフ eTSI アクティブの装備は、衝突被害軽減ブレーキ、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなどの先進運転支援機能、リヤビューカメラ、デジタルメータークラスターのデジタルコクピットプロ、液晶画面を備えたインフォテイメントシステム、16インチアルミホイールなど、充実した内容となる。

カローラセダンの中で最もお買い得なのは1.8リッター「W×B(ダブル バイ ビー)」

このゴルフ eTSI アクティブに相当するトヨタ カローラセダンは、直列4気筒1.8リッターエンジンを搭載するW×B(ダブル バイ ビー)だ。価格は231万円5500円になる。

カローラセダン1.8 W×Bの最高出力は140馬力(6200回転)、最大トルクは17.3kg-m(3900回転)だから、ゴルフの1リッターターボに比べると、最高出力は30馬力上まわって最大トルクは3.1kg-m低い。差し引きすれば同等の性能だ。

カローラセダン 1.8 W×Bの装備は、衝突被害軽減ブレーキ、自動制御クルーズコントロールなどの運転支援機能、バイビームLEDヘッドランプ、自発光式オプティトロンメーター、7インチディスプレイオーディオ、17インチアルミホイールなどだ。専用通信機能も備わり、緊急時にSOSを発信したり、エアバッグが展開した時には、消防や警察に自動通報する機能も備わる。

意外!? カタログ燃費値は、カローラよりもゴルフのほうが優れる

これらの機能や装備の内容を考慮すると、液晶メーターのデジタルコクピットプロなどを標準装着するフォルクスワーゲン 新型ゴルフが充実するが、価格はカローラセダン 1.8 W×Bが約81万円安い。ゴルフの装備が充実することを考慮し価格差を補正したとしても、およそ55万円はカローラセダン 1.8 W×Bが割安になる。

その代わりトヨタ カローラセダン&ツーリングの1.8リッターエンジン(2ZE-FAE型)は、改良を加えたものの基本設計が古い。アイドリングストップも装着されず、コストを徹底的に安く抑えた。その結果、前述の割安感が実現されている。

カローラセダン1.8 W×Bのカタログ燃費値は14.6km/L(WLTCモード燃費)だ。ゴルフに1リッターターボを搭載したeTSI アクティブのカタログ燃費18.6km/Lに比べると、燃費数値は78%に留まる。カローラは、価格が安い代わりに燃費などに差が生じた。

新型ゴルフのeTSIは、48Vマイルドハイブリッドを搭載する。モーター機能付き発電機とリチウムイオン電池が採用され、減速時にはモーターが発電を行って充電する。アイドリングストップ後の再始動も、モーター機能付き発電機がベルトを介して行うので、スターターモーターに比べると再始動音が小さくて静かだ。エンジン駆動の支援も行う。

もちろんカローラにはハイブリッドモデルもあるが、カローラセダン W×Bで比べると、43万4500円も高い275万円だ。カタログ燃費は一気に25.6km/Lへと向上するが、さきほどの装備差を除く55万円の差異も10万円少々に縮まってしまう。

トヨタの本格的なハイブリッドシステムに比べれば、新型ゴルフのeTSIの燃費への寄与率は少ないが、その分コストを抑えた。

確かに新型ゴルフの1リッターターボは高効率だが、カローラのノンターボ1.8リッターエンジンの魅力も捨てがたい

自然な運転感覚で乗りやすいカローラの1.8リッターに対し、3気筒特有のノイズなどが気になる新型ゴルフの1リッターターボ

運転感覚としては、カローラセダンの1.8リッターエンジンが馴染みやすい。ターボを装着せず、排気量にも1.8リッターの余裕があり、実用回転域の駆動力を高めたからだ。

ゴルフの1リッターターボは、低回転域ではマイルドハイブリッドのモーターが駆動力を支援する。滑らかな発進が可能だが、その後に登坂路などでアクセルペダルを踏み増すと、3気筒特有のノイズが響きやすい。平坦路の巡航は快適で、実用回転域の駆動力にも余裕を感じるが、エンジンの負荷が増えると3気筒特有の粗さも目立つ。

動力性能と燃費を競えば、ゴルフの1リッターターボが勝るが、自然な運転感覚という意味ではカローラの1.8リッターエンジンにもメリットがある。

走行安定性は両車とも高レベルだが、運転の楽しさや高速域での直進性を得られるのはゴルフのほうだ

走行安定性は、後輪の接地性については両車とも同程度だ。下り坂のカーブを曲がっている最中に、危険を避けるためにブレーキを掛けるような時でも、挙動が不安定になりにくい。

両車で異なるのは、カーブの曲がりやすさだ。ゴルフは、カローラセダンに比べるとクルマの向きを内側に向けやすい。峠道などでは運転しやすく感じる。高速時の直進安定性も良い。

カローラセダンもW×Bについては、相応に良く曲がってスポーティだが、乗り心地が硬い。危険回避を含めた走行安定性と乗り心地のバランスは、ゴルフが優れている。この点が先に述べたゴルフが55万円ほど割高になることで得られたメリットだ。

室内、特に後席の広さはフォルクスワーゲン ゴルフが圧倒的に有利だ

意外なことに小回り性能もゴルフのほうが優秀だった

ここで改めてライバル2台のボディサイズを比べてみよう。

フォルクスワーゲン 新型ゴルフの全長が4295mm、全幅は1790mmで、全高は1475mmになる。トヨタ カローラセダンは、全長4495mm、全幅1745mm、全高1435mmだ。

カローラは車体の後ろに独立したトランクボックスを持つセダン形状のため、全長はハッチバック型のゴルフよりも200mm長いが、全幅は45mm狭い。狭い道のスレ違いなどではカローラセダンが若干有利だ。

いっぽう最小回転半径は、カローラセダンで売れ筋になるSグレードとW×Bは5.3mだが、ゴルフは5.1mだ。実は小回り性能はゴルフが優れる。

後方視界は同程度だ。新型ゴルフは水平基調で側面の視界は良いが、ボディ後端のピラー(柱)は太く、斜め後方が見にくく感じる。

後席のひざ先、頭上空間ともに、握りこぶし半分ほどゴルフのほうが広い

内装は、インパネ周辺の質感についてはゴルフが若干上質だが大差はない。前席の座り心地は、ゴルフが背中から大腿部をしっかりと支えて、快適性を向上させている。

後席の頭上と足元の空間は新型ゴルフが広い。身長170cmの大人4名が乗車して、ゴルフの後席に座る乗員の頭上空間は握りコブシ1つ分、ひざ先の余裕は握りコブシ2つ分だ。

カローラセダンは同じ測り方をして、頭上の空間は握りコブシ半分、ひざ先の余裕は握りコブシ1つ半だから、両方ともにゴルフよりも狭い。

ただしゴルフの後席は、座面の前側を大きく持ち上げた。長身の同乗者が座る時は、大腿部がしっかりと支えられて快適だが、小柄な乗員が座ると圧迫感が生じることもある。機能的には一長一短だ。後席を多用するユーザーはしっかり販売店の展示車両で確認して欲しい。

安全装備と先進運転支援機能も、それぞれに違いはあるが、大きな優劣はない。

カローラではなく、新型ゴルフを選ぶ理由は高速走行時の性能差だけじゃない!

フォルクスワーゲン 新型ゴルフを、トヨタ カローラセダンよりも約81万円(装備の違いを補正すると約55万円)を多く支払って得られるメリットはなんだろうか。

ここまで述べてきたように、主に高速時を含めた走行安定性、操舵に対する反応の正確性、乗り心地、後席の快適性、燃費性能になる。

従って高速道路を使って長距離を移動したり、後席に同乗者を座らせて移動する機会の多いユーザーでは、ゴルフのメリットが際立つ。逆に高速道路はあまり使わず、2名以内の乗車で街中を多く走る用途では、カローラセダンの割安感が注目される。ゴルフとカローラセダンは、使い方に応じて選びたい。

[筆者:渡辺 陽一郎(カーライフジャーナリスト)/撮影:茂呂 幸正・和田 清志・島村 栄二・フォルクスワーゲングループジャパン・TOYOTA]

フォルクスワーゲン/ゴルフ
フォルクスワーゲン ゴルフカタログを見る
新車価格:
341.1万円792.8万円
中古価格:
32万円825万円

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

トヨタ カローラの最新自動車ニュース/記事

トヨタのカタログ情報 トヨタ カローラのカタログ情報 トヨタの中古車検索 トヨタ カローラの中古車検索 トヨタの記事一覧 トヨタ カローラの記事一覧 トヨタのニュース一覧 トヨタ カローラのニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる