ホンダ 新型N-BOX vs スズキ 新型スペーシアどっちが買い!?|スライドドア付き軽自動車の金字塔2車種をガチ比較!(1/2)

  • 筆者: 渡辺陽一郎

ホンダ 新型N-BOX vs スズキ 新型スペーシア

今は軽自動車に人気が集まり、特に好調に売れているのが背の高い車種だ。以前はスズキ ワゴンRやダイハツ ムーヴなど、全高が1600~1700mmの車種が人気だったが、今は1700~1800mmのスライドドアを備えた車種にニーズが変化している。そのため、軽自動車ジャンルにおいては、背の高さや車内の広さ競争がエスカレートしてきた。

このタイプの代表がホンダ N-BOXで、2代目のとなる新型は2017年9月1日に発売された。先代型の高人気も受け継いで、2017年9月~11月の販売台数は国内でトップに立つ。2万台以上が届け出されて圧倒的な売れ行きになった。

そして2017年12月14日には、ライバル車のスズキ スペーシアも2代目にフルモデルチェンジされた。両車ともに全高を1700~1800mmに設定しており、後席側のドアはスライド式だ。軽自動車だから乗車定員は4名でシートも2列だが、機能や特性はミニバンに近い。

両車ともグレード構成が似ており、標準ボディと上級のカスタムを用意する。エンジンは自然吸気のノーマルタイプとターボを選べる。

新型N-BOX vs 新型スペーシア|外観・内装デザイン比較

外観デザインの評価

スズキ スペーシアは、外観のデザインが新型になって大幅に変更された。ボンネットやサイドウインドウを水平基調に改めて、直線的に見せている。フロント/リアウインドウの角度を立てることで、車内の広さを強調する。また、フロントマスクの厚みも増し、前述のように天井が50mm高くなったから見た目の存在感が強い。

その上でスペーシアは、内外装をスーツケースをモチーフにデザインして、ボディサイドには大胆なラインを入れた。

この発想と造形創造力は凄い。通常はクルマのデザインモチーフに小さなスーツケースなどを使うことはないが、スペーシアはそこに挑むことで、同じように見られがちな背の高い軽自動車の外観を個性的に仕上げた。標準ボディはフロントマスクの造形も優秀だ。

一方、カスタムは、同じスペーシアでも標準ボディに比べてガッカリするほど個性が乏しい。しかも先に発売されたホンダ N-BOXカスタムにかなり似ているが、エアロ仕様はこのようなデザインにしないと売りにくい難しさがある。

内装デザインの評価

内装のデザインと質感は見る人の捉え方によって異なるが、新鮮味が伴うのはスズキ スペーシアだ。インパネは外観と同じくスーツケースをモチーフにデザインされ、助手席前側の収納設備に特徴がある。造形的にもインパネの圧迫感を抑えて開放的に仕上げた。

これに比べてホンダ N-BOXは平凡だ。メーターはインパネ最上部の奥まった位置に装着されて視認性は良いが、運転席に座ると少し圧迫感が生じる。

新型N-BOX vs 新型スペーシア|ボディサイズ・運転しやすさ比較

先代スペーシアは、ホンダ N-BOX、ダイハツ タント、日産 デイズルークスなどのライバル車に比べると背が少し低く、ボンネットの周辺にも丸みを付けることで柔和な雰囲気を演出していた。しかし室内高や外観のインパクトが不足したこともあって売れ行きが伸び悩んだ。

そのため、新型スペーシアは全高を50mm増やし1785mmにした。N-BOXは1790mmだからほぼ同じ数値だ。軽自動車とあって全長は3395mm、全幅も1475mmで共通している。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はスペーシアが2460mm、N-BOXは前輪駆動の軽自動車で最長の2520mmだから60mm上まわり、4輪がボディの四隅に踏ん張る感覚を強めている。

車体周辺の視界の良さは両車ともに互角だ。以前はスペーシアのサイドウインドウが低めだったので視界が若干狭かったが、新型スペーシアは天井に合わせて持ち上げたので視界が改善されている。

最小回転半径はスペーシアの14インチタイヤ装着車が4.4mで、15インチは4.6m。N-BOXは14インチが4.5mで15インチは4.7mとなり、小回りの利きはスペーシアが少し勝る。

*勝者:スズキ スペーシア

新型N-BOX vs 新型スペーシア|室内収納の使いやすさ比較

収納設備は新型スペーシアの方が豊富だ。助手席の前には、上からフタの付いたアッパーボックス、ボックスティッシュが収まる引き出し式のインパネボックスが搭載されている。また、この左側には引き出し式のドリンクホルダーが収納されており、最下段にはグローブボックスがある。

新型N-BOXもトレイを豊富に備えるが、スペーシアの方がフタの付いた収納設備が多く形状も凝っているため、デザイン面と機能面、両方兼ね備えたのはスペーシアと言える。

*勝者:スズキ スペーシア

新型N-BOX vs 新型スペーシア|1列目・2列目の乗り心地比較

スズキ 新型スペーシアとホンダ 新型N-BOXは、両車ともに多彩なシートアレンジと快適な座り心地を両立させたが、総合的に見るとN-BOXのほうが快適だ。

前席は座面にボリューム感があり、スペーシアよりもN-BOXのほうがゆったりと座れる。

後席も同様だ。スペーシアは今回、後席をワンタッチで畳めるようにした。そのために座面と背もたれを薄くする必要が生じたが、底付き感のない座り心地に仕上げた。しかし、それでも快適性を競えばN-BOXが勝る。

そして足元空間を左右する前後席のヒップポイント間隔は、N-BOXがやはり広く、1175mmに達する。スペーシアは先代型よりも10mm広がったが、ワゴンRと同じ1035mmだ。従って膝先空間の余裕は、数値上はN-BOXが140mm上まわる。

スペーシアに身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ3つ少々だが、N-BOXは4つを軽く超える。

ただし、Lサイズセダンで同じはかり方をしても2つ半程度だから、スペーシアでも足元空間は十分に広い。頭上の余裕も同様だ。そのために居住空間の広さでは実質的に優劣は付かず、差が生じるのは主に座り心地になる。

*勝者:ホンダ N-BOX

新型N-BOX vs 新型スペーシア|乗り降りしやすさ比較

両車ともに床を低めに抑えて乗り降りがしやすいが、後席側に備わるスライドドアのサイズは異なる。新型スペーシアは、フルモデルチェンジによりスライドドアの開口幅が20mm拡大し、600mmとなった。開口部の高さ(上下寸法)は20mm拡大して1250mmだ。

N-BOXは先代型、新型ともに開口幅は640mmに達する。高さは1245mmだからスペーシアと同等だ。つまり乗降性は、開口幅が40mmワイドなN-BOXが勝る。

電動開閉機能の違いはどうだろうか。新型スペーシアの場合、売れ筋になる標準ボディのハイブリッドX、スペーシアカスタムのハイブリッドXSと同ターボには、両側に標準装着した。先代型は左側に標準装着、右側はオプションという組み合わせだったから、新型は充実させている。それなのに価格は据え置きに近いので、実質的に割安になった。

対するN-BOXの電動開閉機能は、ターボは標準装着だが、自然吸気のノーマルエンジンは5万4000円でメーカーオプションとしている。古い設定方法ともいえるだろう。

なおスライドドアの下側で足を出し入れすると、自動的に開閉するハンズフリー機能は、N-BOXが2万9160円のディーラーオプションとして設定している。スペーシアには設定がない。スライドドアと乗降性を機能的、実用的に考えるとN-BOXの方が優れている。

*勝者:ホンダ N-BOX

新型N-BOX vs 新型スペーシア|荷室の広さ比較

荷室の評価は主に積載容量、シートアレンジの機能、荷物の収納性で決まる。

積載容量と収納性はホンダ N-BOXが勝る。リアゲートを開いた時の荷室の床面地上高は、新型スペーシアは510mmだが、N-BOXは470mmとさらに低い。荷室開口部の上下寸法もスペーシアは1150mmだがN-BOXは1200mmに達する。

ただし後席の格納方法はスペーシアの方が簡単だ。N-BOXは背もたれを前方に倒して、座面と合わせて前側に移動させる。スペーシアも先代型はこの方式だったが、新型はワゴンRと同様に背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がり、ワンタッチで畳めるようにした。

しかし、それでも荷室の容量はN-BOXの方が大きい。

*勝者:ホンダ N-BOX

新型N-BOX vs 新型スペーシア|安全装備比較

新型スペーシアは、赤外線レーザーと単眼カメラを使ったデュアルセンサーブレーキサポートを採用する。新型N-BOXはミリ波レーダーと単眼カメラを併用するホンダセンシングだ。両車とも歩行者と車両を検知して、衝突の危険が生じると警報を発する。衝突不可避の状態に近づくと緊急自動ブレーキも作動させる。

新型N-BOXは歩行者との衝突を検知した時に、電動パワーステアリングによる回避操作を支援する歩行者事故低減ステアリングなども採用した。後退時の緊急自動ブレーキなどに制御の違いが見られるが、全般的にN-BOXの方が充実している。

また、スペーシアは緊急自動ブレーキと併せてサイドエアバッグを装着するが、頭部を保護するカーテンエアバッグは、カスタムのハイブリッドXSターボのみに標準装着とした。その点でN-BOXは、幅広いグレードにサイドエアバッグとカーテンエアバッグを両方ともに標準装着しており、それ以外のグレードでもオプション装着が可能だ。

そしてN-BOXは軽自動車では唯一、車間距離を自動制御しながら追従走行できるアダプティブクルーズコントロール、パワーステアリングを制御する車線維持支援システムも採用している。これは安全装備というより運転支援機能だが、高速道路などでペダルやステアリングの操作をサポートすることで、ドライバーの疲労を抑えて安全性を高められる。

*勝者:ホンダ N-BOX

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筆者渡辺陽一郎
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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