GT-R NISMO “Nアタックパッケージ“は公道OKなレーシングカーだ!2800万円のモンスターマシンを試す!

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  1. レーシングマシンのような存在感と、走行性能を実現させる専用パーツ
  2. 車両本体+パッケージで総額2800万円は高いのか?安いのか?
  3. 総合力で他車を引き離す!次元の違う速さと安心感が共存する驚き
  4. 関連記事

1000psほどまでチューンナップされたエンジンを積み、スーパーGTシリーズを何度も制したレーシング・ファクトリーが車体をレーシングカーさながらに強化するなど、徹底的に手が入ったR32GT-Rをテストドライブしたことがある。

速かった。恐ろしく速かった。それはもう何というか、表現に困るほどの凄まじい速さだった。きっと誰かが外から見ていたなら、ドライバーである僕は目をひんむいたような表情を浮かべてたことだろう。いや、見えないか、速すぎて。

後にも先にも、あれほど強烈な加速というものを体験したことはない。もちろんベースとなったクルマが3世代も新しくなっているし、単に世代の数でカウントできないぐらいの進化を遂げているということもあるけれど、トータルで考えるなら間違いなくこっちの方が速いな、と思わされた。日産 GT-R NISMOの“ニスモNアタックパッケージAキット”装着車である。

これは簡単にいってしまえば、2013年9月にニュルブルクリンクで、7分08秒679という当時の量産車世界最速タイムをマークしたマシンとほとんど同一といえる仕様。タイムアタック専用に開発されたパワートレーン系、シャシー系、空力系などのパーツ類をパッケージ化し、GT-Rニスモ専用のオプションとして設定。それを装着したものだ。

フォトギャラリー>>GT-R NISMO “ニスモNアタック・パッケージ“の内外装デザインを画像で見る

レーシングマシンのような存在感と、走行性能を実現させる専用パーツ

その内容はかなり多岐にわたる。エクステリアでは、後端にフリックの付いたカーボン製のフロントフェンダー、フロントのアドオンスポイラー、高さと角度の調整できるカーボン製リアウイングなどを装着し、まるで純レーシングマシンがそこにあるかのような出で立ちだ。

室内は2シーターへと構造変更され、レカロ製のカーボンシェルタイプのフルバケットシートや、同じくカーボン製のリアバルクヘッドが目に飛び込んできて、ロールケージがないのが不思議なくらい。

パワートレーン系では、まずエンジンがカーボン製インタークーラーパイピングやノーマルのGT-R NISMOとは特性の異なるエンジン制御モジュールととランスミッション制御モジュールが与えられ、フロントは機械式の1.5ウェイLSD、リアは同じく機械式の2ウェイLSDを介して路面にパワーとトルクが伝えられる。

当然ながら足周りにも手が入っていて、ダンパーはオーリンズ製の車高と減衰力が調整できる4ウェイ式が、スプリングにはそれにマッチするバネレートが与えられ、スタビライザーはロール剛性可変式。もちろんブレーキパッドも、摩擦材が異なる強化品だ。

そして、それらは全て専用品として開発されている。バラでのオプション設定がなされないのは、いうまでもなくトータルバランスを重んじているからである。どれかひとつ欠けてもニュルのタイムは削れない、というわけだ。

車両本体+パッケージで総額2800万円は高いのか?安いのか?

パッケージ価格は900万円(消費税抜)。これを高いと感じるか安いと感じるかは価値観による。ベースのGT-R NISMOが“素”の状態で1870万2000円(こちらは消費税込)で、それにプラスすることの900万円なのだから、絶対的な金額からすれば相当に高価だ。2800万円近い代価を払えば、別のチョイスだって幾つもある。

けれど試乗を終えた後、GT-RのGT3マシンは6000万円(消費税抜)でしかも公道走行不可だよなぁ…もっと値の張る他のどのスーパーカーを持ってきてもこういうところでここまで速くは走れないよなぁ…怖さが先に立っちゃって……なんてことを考えていたら、にわかにこのGT-R NISMO“ニスモNアタックパッケージAキット”装着車がリーズナブルなものに感じられてきたのだ。買えるとか買えないとか、そういうことは別として。

総合力で他車を引き離す!次元の違う速さと安心感が共存する驚き

さすがにここまで来るとノーマルのGT-R NISMOと較べて、どこがどれくらい速くなってるかをひとつひとつ体感できるゆとりなど持てないけど、このクルマ、あらゆる曲率のコーナー、アップ&ダウン、スムーズな路面と荒れた路面という相当に起伏に富んだこうしたコースでは、おそらく世界で一番速い。

600psに652Nmとは思えないくらいの、次のコーナーに加速度的に吸い込まれていくスピードの伸び。つんのめるかのような、けれど決して足元を乱さないストッピングパワー。あっけないぐらいによく曲がり、ピタリと安定したまま弾け飛んでしまうような気配のないコーナリング。リアタイヤがグリップを失うか失わないかの瞬間技でフロントタイヤが引っ張ってくれるトラクション。

ターボエンジンとは思えない全域で鋭いレスポンスと全域で力強い加速を与えてくれるエンジン、秒殺系のシフトスピード、強力でコントローラブルなブレーキ、強大なダウンフォース、AWDシステムの特性……。そうしたあらゆる要素が総力をあげて、相乗効果を生みながら、恐ろしいほどの速さを形作っていく。

少し怖さを感じるところがあるとすれば、他では体験したことのない次元の速さに感覚がなかなかついていけないということだけで、クルマそのものは憎たらしいぐらいの安心感をドライバーに与えてくれる。ちょっと変な表現になってしまうけど、あり得ないほどリラックスしながらあり得ない速度域で攻めた走りを楽しめるのだ。

他にもっとパワーのあるクルマは数多あるけれど、ここまで総合力の高いクルマは他にない。これはまさしく唯一無二。ある意味、間違いなく無敵といえる存在だと思った…というより、感覚に刻み込まれたのだった。

[Text:嶋田智之/Photo:和田清志]

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嶋田 智之
筆者嶋田 智之

本人いわく「ヤミ鍋系」のエンスー自動車雑誌、『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を担当した後、フリーランスとして独立。2011年からクルマとヒトに照準を絞った「モノ書き兼エディター」として活動中。自動車イベントではトークのゲストとして声が掛かることも多い。世界各国のスポーツカーやヒストリックカー、新旧スーパーカー、世界に数台の歴史的な名車や1000PSオーバーのチューニングカーなどを筆頭に、ステアリングを握ったクルマの種類は業界でもトップクラス。過去の経歴から速いクルマばかりを好むと見られがちだが、その実はステアリングと4つのタイヤさえあるならどんなクルマでも楽しめてしまう自動車博愛主義者でもある。1964年生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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