【2024年】マツダ 新型MX-30ロータリーEVのおすすめは中間モデルの478万5000円! PHEVとロータリーエンジンを組み合わせるメリットとは?

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:マツダ/小林 岳夫/MOTA編集部

先進環境技術の搭載を目的としたマツダ 新型MX-30に新たなパワーユニットが登場

最近の日本ではSUVの人気が高く、マツダは特に力を入れています。国内で販売されるOEM車を除く10車種のうち、6車種がSUVです。この中で魅力の分かりにくい車種が新型MX-30でしょう。

新型MX-30は内装にコルクを使うなどリラックスできる雰囲気を演出していますが、観音開きのドアを含めて、SUVのなかでは実用性よりも趣味性の高い車と言えます。

販売も低調で、2023年1〜7月の1か月平均登録台数は100台でした。マツダ車の中で人気のある新型CX-5の2236台に比べるとわずか4%です。

新型MX-30の販売が低調な背景には、パワーユニットの事情もあります。

マツダでは実用回転域の駆動力が高く、燃費の優れたクリーンディーゼルターボの販売が好調です。

しかし新型MX-30はディーゼルを搭載していません。その代わりにマイルドハイブリッドと、EV(エンジンを搭載しない電気自動車)が選べます。新型MX-30はモーターで駆動する仕様を充実させました。新型MX-30は台数を多く売ることよりも、先進環境技術の搭載に価値を見い出すクルマという立ち位置です。

そんな新型MX-30に、新たな先進環境技術が搭載されました。それがロータリーエンジンで発電を行うプラグインハイブリッドです。

新型MX-30に「ロータリーEV」が追加|ロータリーエンジンで発電を行うPHEVモデル

2023年9月14日に新型「MX-30ロータリーEV」が加わりました。

「EV」の名称は付きますが、電気自動車ではなく、ロータリーエンジンで発電を行い、充電スタンドなど外部からもバッテリーを充電できるプラグインハイブリッド(PHEV)です。ロータリーエンジンの動力は駆動には加わらず、発電のみの用途です。

ロータリーエンジンとは?

新型MX-30ロータリーEVで最も注目されるのは、マツダ独自の技術として知名度が高いロータリーエンジンの搭載でしょう。

多くの車で採用されているレシプロエンジンでは、ピストンがシリンダーの中を往復しながら吸い込んだ燃料を圧縮して燃焼させますが、ロータリーエンジンでは異なります。

ロータリーエンジンはシリンダーに相当するハウジングの内部を、ピストンの役目を果たす三角形のローターが回転してガソリンを燃焼させます。

ロータリーエンジンのメリットは、動力性能の割に軽量でコンパクトであること、そして回転感覚が滑らかなことです。

ロータリーエンジンは使い勝手の高いエンジンであることから、以前はロールスロイスなども含めて世界中のメーカーがロータリーエンジンの開発に着手しましたが、困難な課題が多く、大量に生産できたのはマツダのみでした。

最初にロータリーエンジンを搭載したマツダ車は、1967年に発売されたコスモスポーツで、その後に搭載車が増えました。特にマツダ RX-7は、軽量でコンパクト、吹き上がりの良いロータリーエンジンの特徴を生かしたスポーツカーでした。

ロータリーエンジンは燃費が良くないという欠点もあり、マツダ RX-8を最後に、2013年に生産が終わりました。2018年には、ロータリーエンジンの開発グループも解散しました。しかしマツダの開発者は諦められず、水面下でロータリーエンジンの開発が続けられました。そして今回、新型MX-30にロータリーEVが加わったのです。

新型MX-30ロータリーEVのエンジンやプラットフォーム、ボディサイズ

新型MX-30ロータリーEV

全長

4395mm

全幅

1795mm

全高

1595mm

ホイールベース

2655mm

最低地上高

130mm

車両重量

1780kg

最小回転半径

5.3m

エンジン

830cc 水冷1ローター

最高出力()内はロータリーエンジン

170馬力(72馬力)

最大トルク()内はロータリーエンジン

26.5kg-m(11.4kg-m)

フロントサスペンション

マクファーソンストラット

リアサスペンション

トーションビーム

新型MX-30のロータリーエンジン

最後のマツダ製ロータリーエンジンを搭載したマツダ RX-8の13B型ロータリーエンジンでは、排気量が654ccのローターを2つ組み合わされました。しかし、新型MX-30のロータリーは830ccの1ローターのみです。

新型MX-30はいわば単気筒エンジンなので、車では一般的な3気筒や4気筒に比べて振動が発生しやすく、開発者は「振動を抑えるのに気を使いました」と述べています。その代わりパワーユニットが小さくなりました。

新型MX-30ロータリーEVのシステムでは、ロータリーエンジンが発電を行い、その電気を使ってモーターを駆動します。新型MX-30ロータリーEVのロータリーエンジンが直接駆動することはないです。駆動用リチウムイオン電池も備わっているため、充電した電気でも走ります。

新型MX-30ロータリーEVの発電を受け持つロータリーエンジンの最高出力は72馬力、最大トルクは11.4kg-mです。駆動用モーターの最高出力は170馬力、最大トルクは26.5kg-mで、エンジンを搭載しない新型MX-30 EVの145馬力/27.5kg-mに近いです。

リチウムイオン電池の総電力量は17.8kWhなので、同じマツダのSUVで大型サイズの新型CX-60 PHEVと同じです。

新型MX-30ロータリーEVは、1回の充電でエンジンを作動させずに107kmを走行できます(WLTCモード)。新型CX-60 PHEVの74kmに比べて、走行できる距離は長いです。

新型CX-60 PHEVは4WDですが、新型MX-30ロータリーEVは前輪駆動の2WDで、車両重量も軽いために走行距離を伸ばすことができました。

新型MX-30ロータリーEVの燃費と電費|ロータリーエンジンのメリットは発電機や駆動モーターがエンジンルームに収まるコンパクトさ

新型MX-30ロータリーEV

WLTCモード

15.4km/L

市街地モード

11.1km/L

郊外モード

18.5km/L

高速道路モード

16.4km/L

新型MX-30ロータリーEV

充電電力使用時走行距離

107km

EV走行換算距離

107km

交流電力量消費率(WLTCモード)

176Wh/km

交流電力量消費率(市街地モード)

165Wh/km

交流電力量消費率(郊外モード)

168Wh/km

交流電力量消費率(高速道路モード)

190Wh/km

一充電消費電力量

17.13kWh/回

新型MX-30ロータリーEVで注意したい点は、ロータリーエンジンが発電した電気でモーターを駆動しながら走る時のハイブリッド燃費です。WLTCモード燃費は新型MX-30ロータリーEVで15.4km/Lなので、新型MX-30 マイルドハイブリッドの15.6km/Lとほぼ同じです。

新型MX-30ロータリーEVと同じPHEVモデルである、トヨタ 新型プリウスPHEV Zグレードは26km/L、4WDを搭載する三菱 新型アウトランダーPHEV Gグレードは16.2km/Lなので、これらと比べても新型MX-30ロータリーEVは燃費の面では見劣りします。

新型MX-30ロータリーEVの発電用ロータリーエンジンの動力性能は、72馬力、11.4kg-mなので、車両重量が1780kgのボディには不十分に思えます。

この点について開発者に尋ねると、以下のように返答されました。

「新型MX-30ロータリーEVの駆動用電池を完全に使い切ると、モーターの性能は、発電力に左右されます。パワー不足が生じる場合もあるため、あらかじめエンジンを作動させて発電を行い、充電量を残してパワー不足が生じないように配慮しています」。

ロータリーエンジンに興味のあるユーザーは、新型MX-30ロータリーEVの音や運転感覚にも「ロータリーエンジンらしさ」を求めるでしょう。この点も開発者に尋ねましたが「特にロータリーらしい演出はしていません」と返答されました。

新型MX-30ロータリーEVのロータリーエンジンは発電に使われ、駆動は担当しないため、運転感覚はモーター駆動の電気自動車に近いでしょう。走りの面におけるロータリーらしさは、希薄になりそうです。

そうなると新型MX-30ロータリーEVのロータリーエンジンを発電に使うメリットは何でしょうか。

開発者に尋ねると「発電用エンジンに直列3気筒1.2Lなどを搭載した場合に比べて、ロータリーならスペースを20%節約できます。その結果、発電機や駆動用モーターとあわせてエンジンルームに収まりました。直列エンジンでは収まりません」とのことです。

新型MX-30ロータリーEVのグレード構成と装備の違い

新型MX-30ロータリーEVのグレード構成は、標準タイプ(423万5000円)と、インダストリアルクラシック/モダンコンフィデンス/ナチュラルモノトーン(すべて478万5000円)で、特別仕様車のエディションR(491万7000円)も選べます。全部で5種類です。

標準タイプとインダストリアルクラシック/モダンコンフィデンス/ナチュラルモノトーンの中間モデル3種類は装備が大きく異なります。

たとえば安全性を高めるアダプティブLEDヘッドライトやクルージング&トラフィックサポート、快適性や使い勝手を向上させる前席のシートヒーター、運転席の電動調節機能などが装着されません。

そのため、新型MX-30ロータリーEVでおすすめなグレードは、内装がブラウンのインダストリアルクラシック/ホワイトのモダンコンフィデンス/ブラックのナチュラルモノトーンです。

また特別仕様の新型MX-30ロータリーEV エディションRには、ロータリーのマークをあしらった専用のフロアマットやヘッドレスト、デザインキーが採用されます。これも好みに応じて検討しましょう。

新型MX-30ロータリーEVの価格

   

新型MX-30ロータリーEVのグレード価格

標準タイプ

423万5000円

インダストリアルクラシック

478万5000円

モダンコンフィデンス

478万5000円

ナチュラルモノトーン

478万5000円

エディションR

491万7000円

新型MX-30ロータリーEVの価格は423万5000円〜491万7000円です。

新型MX-30ロータリーEVの価格の参考となるように、MX-30の他モデルと比較していきましょう。

マイルドハイブリッドを搭載する新型MX-30 インダストリアルクラシック/モダンコンフィデンスの価格は276万1000円です。

そこにセーフティパッケージ+360度セーフティパッケージ+ボーズサウンドシステムをオプション装着すると、MX-30ロータリーEVのインダストリアルクラシック/モダンコンフィデンスと同等の装備が備わります。オプションを加えた合計価格は304万5880円です。

新型MX-30ロータリーEVの乗り出し価格は、マイルドハイブリッドに比べて約119万円高いです。インダストリアルクラシックなどの中間グレードは478万5000円なので、174万円高くなります。

新型MX-30ロータリーEVのお買い得度

ライバル車となるPHEVモデルを持つトヨタ 新型ハリアーで、PHEVとノーマルエンジンの価格を比較してみましょう。

トヨタ 新型ハリアーではプラグインハイブリッドZグレード(4WD)が620万円で、ほぼ装備が等しいノーマルエンジンのZレザーパッケージグレード(4WD)は453万8000円です。この2台の価格差は166万円になり、新型MX-30ロータリーEVの中間グレードと新型MX-30マイルドハイブリッドとの差額である174万円に近いです。そして経済産業省から55万円の補助金が交付されると、174万円の価格差は実質119万円に縮まります。

新型MX-30ロータリーEVの動力性能は、あまり高くありません。ハイブリッド走行時の燃費もあまり良くないですが、中間グレードに当たるインダストリアルクラシックなどが478万5000円なので、トヨタ ハリアープラグインハイブリッドZグレード(4WD)の620万円、三菱 アウトランダーGグレードの517万9900円に比べれば価格を安く抑えられました。

新型MX-30ロータリーEVの買い得感

それでも機能と価格のバランスでは新型MX-30ロータリーEVは買い得とはいえませんが、ロータリーエンジンの搭載に意味を見い出すユーザーには魅力的でしょう。

長年のマツダファンには、ロータリーエンジンの再来は喜びであり、新型MX-30ロータリーEV エディションRは手に入れたい存在だと思います。

【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:マツダ/小林 岳夫/MOTA編集部】

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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