「オトナ買い」現象!?トヨタ AE86トレノ/レビンの人気が復活した理由|現役ハチロク乗りの”ハチロク”語り ACT2

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イニD以降のハチロクは「愛されキャラ」!?

21歳のときからハチロクを4台乗り継ぎ、現在も86年式スプリンター・トレノ(独自のフルチューン済み)を普段のアシに使うモータージャーナリスト、山田弘樹が贈る「AE86熱愛講座」。第2回目は現在に続くハチロク人気の理由についてお話します。

>>トヨタ AE86トレノが神格化されるワケとは?|現役ハチロク乗りの”ハチロク”語り ACT1

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ハチロクのおかげで様々な触れ合いも

「いいの乗ってるねぇ! これ、トヨタのヤツでしょ!?」

20年近く世話になってる筑波のガレージに愛機を持って行く途中、そのコンビニでタクシーのおっちゃん(推定50代後半)から声をかけられた。

おっちゃんはウチの赤パン(赤いパンダトレノだから)が“ハチロク”であることは知らないけれど、それが昔沢山走っていた人気のスポーツカーだったことはわかってるみたい。どうやら懐かしくてたまらなくなり、声をかけてくれたようだった。

「長いこと乗ってるの?」

「うーん、これは5年だけど同じのずっと乗り続けてるかな」

「そりゃいいね。大切にね!!」

なんて話をして別れたのだけれど、ハチロクに乗ってるとこんなことがたまにある。

ちなみにボクの車庫の前の通りは小中学生たちの通学路になっているようで、近くのクリーニング屋さんからも「ハチロクのお家の方ですね!」って言われた。小中学生にとってうちのハチロクは大人気らしく、どうやらガレージがランドマーク化されているというのだ。

でも赤パンって、いわゆる「白黒パンダ」じゃないんだけどな…。

というわけで今回は、イニD人気から進化したハチロク人気について、ちょっとお話しようと思います。

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どうしてハチロクが人気なの?

つまりこれ、世の中的にハチロクが、カラーや見た目に関わらず認知されているってことだと思う。ボクは今年で47歳(……!! 自分で言ってて嫌になってきた汗)だから、たぶん現役でハチロクに乗ってたヤツらが“お父さん”になって、息子たちにその魅力を教えたんだと思いますな。

でもってその息子たちも、イニDの影響でハチロクを知っていたから、パンダ・トレノに限らずレビンでも2ドアでも色違いでも、ハチロクがハチロクとして理解されるようになったんだと分析するわけです。きっと「父ちゃんも昔ハチロク乗ってたぜ」とか言って、「父ちゃんすげー!」となって、「これが軽くてさ、FRでさ、すごい楽しいんだよなぁ!」なんて自慢しながら、熱く語ったんじゃないかなぁ。

今のハチロク人気の要素は3つ

さてそんなハチロクが、ここ数年でなぜ人気を再び取り戻したのか?

そこには少なくとも、3つの要素が絡み合っているとボクは分析している。

もともとはイニD人気があって、若い子たちがハチロクに乗りたがったことがひとつ。彼らにとってハチロクは主人公の藤原拓海が乗る「パンダ・トレノ」が絶対で、カップホルダーとイタル・ボランテのステアリングがマストで……と色々な面白い話があるのだけれど、それはまた別の機会に。

そしてもうひとつは前述した父ちゃんたちが、もう一度ハチロクに乗り出す「リターンハチロク現象」が起きたから。

そしてもうひとつはボクのような、なんとなくハチロクを手放さずに持っていたオッサンどもが(ワンコユーザーとでも呼びましょうか。これは前回参照のこと)、ボロくなったハチロクを直して、もう一度きれいに乗ろうとし始めたから。

この3つが、今のハチロク人気のベースになっていると思うのです。

というのもちょうどボクも5~6年ほど前、長年連れ添ったレビンを手放したんだ。

でもそれはハチロクから降りるのではなくて、むしろもう一度ハチロクに乗ろうと思ったからなんだよね。

ちょうどそのとき今乗っている86年式トレノの“ボディ”が知り合いから出てきて(クルマじゃなくてボディね)、「捨てるに捨てられず困ってる」という。だからこれを引き取って、レビンのパーツを移植したんだ。

理由は簡単。当時乗っていたレビンのボディが錆びで痛み始めてきていて、それを板金するかどうかと、ボクはアタマを悩ませていた。

トレノに乗るのも久しぶりだし、移植する方がちょっとだけ安上がり。長年連れ添ったレビンと別れるのはとっても悲しかったけれど、 迷わずお金が掛からない方を選んだんだよね。ハチロク乗りは貧乏が基本!

ただ面白いのは長年連れ添ったハチロクのニオイや感覚がしみついていたから、赤パン号に乗り換えても数年は“しっくり”こなかった。それが5年ほど経ったころになって、愛着が湧くようになってきたんだ。これって不思議だよね。

ハチロクの魅力、それは“なにより運転が楽しい”

ではなぜオッサンたちが、今さらハチロクにリターンしたのか。なぜボクをはじめとしたハチロク乗りたちが、これをリフレッシュしようとしたのか?

ここが今回の本題。ずばりその答えは、ハチロクが今でも最高に楽しいからなんだ。

ハチロクの魅力は沢山あって、ひとことではとても語り尽くせない。

それでもまず言えるのは、なにより運転が楽しいから! これが大前提なんだ。

そしてふたつ目は、その構造がとっても簡単だから。当時ハチロク乗りはみんな貧乏だったから、できることは自分でやるヤツが多かった(それが多くのトラブル生んだんだけど…汗)。先輩からもらったサスキット、左右で別のダンパーが入ってるようなヤツを「まだ使えるね!」なんて言いながら、自分たちでとっかえることなんて珍しくもなんともなかったんだよね。

「ハチロクオトナ買い」現象

そんなハチロクを“今”振り返ると、すごく面白いんだ。

軽い車体、8500rpmまで回る自然吸気のエンジン。これを5速MTで操って走らせると、すごく懐かしくて、とんでもなく気持ちいい。

そして何よりハチロクは、こんな小さなナリをしていもFRだから、リアの滑りをコントロールしながらうまく走らせたときの快感たら…。

いま小さくて楽しいスポーツカーを挙げるとしたら、マツダ ロードスターとスズキ スイフトスポーツくらいなものでしょ? しかもハチロクには4AGの気持ちよさと、リジッドアクスルの独特な運転感覚があるから、またこの2台とは違う興奮が味わえるんだ。

昔若者だった頃にはできなかったチューニングが、経済的に余裕が生まれてできちゃう愉しさ。効かなかったクーラーがきちんと効くようになっただけなのに、なーんとも言えなく嬉しくなっちゃう感覚。そんなクラシックカー的な愉しみ方ができることも、、「ハチロクオトナ買い」現象を生んでしまったと思うんだよね。

でも当然そうなると、新たな問題が生まれるワケで。

次号では信じられないくらいに高騰した、「ハチロク中古車相場」について、ちょっと話をしてみたいと思います。

[レポート:山田 弘樹]

>>Net Time:現役ハチロク乗りの”ハチロク”語り ACT3

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山田 弘樹
筆者山田 弘樹

自動車雑誌編集者としてキャリアをスタート。輸入車雑誌 副編集長、アルファ・ロメオ専門誌編集長等を経て、フリーランスのモータージャーナリストに。レース参戦なども積極的に行い、走りに対する評価に定評がある。AJAJ会員。カーオブザイヤー選考委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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