[試乗記]新型プリウスは、VW ゴルフやメルセデス・ベンツ Cクラスと並ぶ「世界の定番名車」になった(3/5)
- 筆者: 河口 まなぶ
- カメラマン:和田清志
先代モデルよりもシステム出力は下がったが、むしろ走りは活発になった
今回のプリウスは、搭載エンジンが1.8リッターで最高出力98ps、最大トルク14.5kgmであり、モーターは最高出力72ps、最大トルク16.6kgmを発生する。そしてシステム最高出力は122psとなっている。
先代はエンジンが99psでモーターが82ps、システム出力は136psだったわけで数値的には低下したことになる。ただ実際に走らせると、パワーダウンした感じを受けないのは、伸び感のある気持ち良い加速感を作り上げたからだろう。
特に今回はパワーモードを選ぶと、ノーマルモードと違いが大きくアクセル操作に対するレスポンスが向上し、元気の良い走りに変化する。
それだけに首都高に入ってパワーモードでアクセルを踏み込むと、実に伸びやかな感覚の加速が得られるので、数値が下がった不満は感じない。
ただ、アクセルの開け具合と実際の加速感に乖離のある、いわゆる“ゴムバンドフィール”は未だ感じる。この辺りの感覚を埋めてリニアな感じにするのは難しそうだ。もっともオーナーとして乗ってしまえば気になるものではなくなると思うが。
「TNGA」採用で走りの安定感は確実に高まった
首都高のカーブを駆け抜けている際にも、クルマはシッカリ感を伴って曲がっていく。この辺りは以前よりも確実に安心感のある、安定した走りを提供するようになったといえる。
新型は事前にも走りが良くなったことをアピールしていたが、確かにこの点はよくなっていると感じるし、これならばワインディングロード等でも以前よりしっかりとした感覚で走れることは間違いない。
とはいえ走りのそのものに、クルマ好きが期待したり興奮するような“楽しさ”が生まれているわけではない。こういう風に記すとガッカリする方もいるかもしれない。
ただ、それでも「走りはとても良い!」といえる。それは例えれば、VW ゴルフのような、ベーシックなクルマだけど乗り心地よく扱いやすく思った通りに動く、そんなクルマになっていることは間違いない。
こうして走りに関しては、やはり新たなクルマ作りのアーキテクチャである「TNGA」を採用したということが効果を発揮しているなと感じられたし、僕の評価はかなり高いものとなったといえる。
[最新テクノロジー満載のプリウスに載っていない意外なアレ・・・次ページへ続く]
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