マツダ ロードスター 歴代モデル(NA・NB・NC型)試乗レポート/嶋田智之(3/5)
- 筆者: 嶋田 智之
- カメラマン:茂呂幸正・MAZDA
2代目マツダ ロードスターは、初代のネガを徹底排除[NB型:1997~2005]
スポーツカーは昔から商売にはならないものと相場が決まっていたが、初代ロードスターは発売初年度に国内で1万台近く、その翌年には世界で10万台近くを売った大ヒット作となる。それが世界中の自動車メーカーを刺激して、フィアット バルケッタ、2代目アルファロメオ スパイダー、BMW Z3、ポルシェ ボクスター、メルセデス・ベンツ SLK、ルノー スポール スピダーなどのフォロワーが次々と生み出され、僅か数年のうちにライトウエイト系オープン2シーター・スポーツカーのカテゴリーはすっかり賑やかになった。
そんな中でNA型の弱い部分が少しずつ見えてきたり生まれてきたりしたわけだが、1998年に登場したNB型こと2代目ロードスターは、まさしくそのNA型の弱い部分を全て潰して送り出したようなクルマだった。
ただし、車体の強化は車重の増加にもつながるわけで、NB型は最も軽いモデルですら1010kgと、最も軽いNA型と較べると70kgほど重くなってしまった計算。それを補う意味でも、後発のライバル達に遅れをとらないでいるためにも、メインである1.8リッターエンジンにも強化の手は入れられ、前期型で145ps、後期型で160psとかなりパワフルになった。それでもバランスが崩れてないのはさすがだな、と思う。
走らせてみればNB型は、速さの面で一枚上手。加速にもゆとりはあるし、コーナリングにも包容力みたいなものを感じる。さすがに今回は街中での試乗だから改めて試したりはしなかったけど、リアタイヤがグリップを失うようなときにもその動きは掴みやすく、ドライバーとしては対処しやすかった記憶がある。というか、そんな場面でも怖さはなくてとても楽しかったのだ。
今になって改めて感じた、スタイリングの魅力
ちなみに改良されたのは単に走りに関する部分だけじゃなく、例えば傷ついたり曇ったりしやすいリアウインドーがビニールからガラスに変更されるなど、細かなところも含めれば相当な箇所に手が入っている。型式が変わるくらいのモデルチェンジだから当然といえば当然なのだけど、2代目ロードスターは初代のベクトルのさらに先にある、抜群に完成度を高めたモデルのような存在だ。真ん中にズトーン! と通ってる芯には、これっぽっちのブレもない。
それにもうひとつ。
NBがデビューしたときには秘かに「スタイリングがなぁ……」と思っていた僕だけど、時間の流れが印象を変えることというのは時々あるもので、NAより面に抑揚があってノーズが長く見えるNBのクラシカルな佇まいが、今では実はかなり魅力的に感じられるようになっているのだった。
[そして・・・現行型 3代目 マツダ ロードスター 試乗レポートは次ページへ続く]
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