トヨタ アクア 試乗レポート(後編)/河口まなぶ(2/2)
- 筆者: 河口 まなぶ
- カメラマン:島村栄二
ちょっとメカニカルな部分を見ると、初代プリウスで使われたアトキンソンサイクルの1.5Lをベースに、このアクアはクールドEGRや電動ウォーターポンプを採用するなどして、約70%を新設計して作られた1NX-fXEエンジンは74psと11.3kgmを発生する。
組み合わせるモーターは61ps/17.2kgmで、CVTを組み合わせる。
バッテリーはプリウスの168セルに対して120セルとして小型軽量化。
他にも空力性能を徹底してcd値0.28を実現したほか、低転がりタイヤを採用するなどして、10・15モード燃費で実に40km/Lを達成した。さらにJC08モードでも35.4km/Lを実現している。
EV走行の静かさと滑らかと力強さは、クラスを超える乗り味走り味を間違いなく生んでいる。静粛性の高さもライバルに差を付ける部分だ。
また、バッテリーをリアに積むことによる前後重量バランスの良さやエンジン+モーターの力強さなどで、走りはひと言、新たな「豊か」さを感じるものになっている。
EBD付きABS、ブレーキアシスト、横滑り防止装置VSC、リアの3点ヘッドレスト&シートベルトを全車標準装備とした事は高く評価したい。他にサイドエアバッグ関係まで標準とすれば、完璧まであと一歩だ。
ヴィッツよりも明らかに質感の高い乗り味、走り味は説得力がある。というかコンパクトカーでもこのくらいの静粛性と快適性が保たれた上で、上質な感覚を垣間見せてほしいと思う。
実際にヴィッツと比べるとリアのサスペンションの動きもゆとりがあるし、ステアリングから受ける感触にも深みがある。
16インチタイヤ装着車は路面にピタリと張り付く気持ち良さがあるが、一方で段差等でややブルブルし、ハンドルが重く感じたりする場合がある。
比べると15インチタイヤ装着車の方が軽やかな感じがあって好ましい。ただその分音や普段乗りのざらっとした感触が気になるが・・・個人的には現状では15インチがマッチしていると思えた。
というわけでアクアは、結構魅力的なコンパクトカーだなぁと思えたし、良い意味でこれまでのトヨタとは何かが違う・・・と感じた時点で、かなりいい感じの仕上がりだったといえる。
このようなクルマ作りができるトヨタなら、コンパクトカーも悪くない、どんどん熟れてさらに良くなるだろうから期待「大」だ。
いま日本のコンパクトカーを買おうと思ったら絶対試すべき1台だし、トヨタのイメージが変わる1台。それにしてもアクアに乗ると、トヨタはホント変わったな、と改めて思えたのだった。
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