スズキ スペーシアがSUV風に!「スペーシア ギア」登場

スペーシアにSUV風エクステリアを纏った新モデルが登場

今は軽自動車の売れ行きが好調で、新車として売られるクルマの約37%を占める。そして最近の国内車種別販売ランキングを見ると、1位がホンダ N-BOX、2位がスズキ スペーシアだ。トヨタ アクアや日産 ノートといった小型/普通車の人気車種は、N-BOXやスペーシアの下位に位置する。

この国内販売2位となるスペーシアに、新しいバリエーションの「スペーシア ギア」が加わった。開発コンセプトは「広い室内空間とアクティブスタイルを融合したSUVな軽ハイトワゴン」というもの。スペーシアは、標準ボディとエアロパーツを装着した上級シリーズのカスタムを用意するが、さらにギアも加えたわけだ。

背の高い軽自動車の多くは、標準ボディとエアロ仕様を用意するが、SUV風のものまで設定するのは珍しい。ダイハツ キャストが上質なスタイル、ターボエンジン車のスポーツ、SUV風のアクティバを用意するくらいだ。

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ジムニーを連想させる丸目ライトとSUV風の加飾が特長

スペーシア ギアで最も注目されるのは外観だろう。ヘッドランプはスズキのジムニーやハスラーと同様の丸型2灯式で、前後のバンパーはプロテクターのように力強く見える。下側のバンパー両側にはLEDフォグランプを組み込んだ。フロントマスクの表情はジムニーに似ている。

ボディサイドにもプロテクター風のガーニッシュ(装飾)が備わり、ホイールは14インチ(155/65R14)のアルミ製で、ブラックに仕上げた。そのためにスチールホイールのようにも見える。

天井にはルーフレールを装着して、ラックやキャリアをセットしやすいように配慮した。

内装もアウトドアユーザーに配慮した工夫が多数!

内装もSUV感覚で仕上げた。シート生地には撥水加工が施され、荷室のボードは樹脂製だ。後席の背面にも、汚れ防止の仕上げを施した。ハスラーと同様、自転車のような汚れたグッズを積んだ後の清掃もしやすい。

スペーシアカスタムと同じく、前席の背面にパーソナルテーブルを装着したが、配置は異なる。スペーシアカスタムのパーソナルテーブルは運転席と助手席の背面に装着されるが、スペーシア ギアは右側(運転席の背面)のみだ。左側(助手席の背面)には、スペーシアの標準ボディと同様のシートバックポケットが備わる。スペーシア ギアのポケットはメッシュタイプとした。

内装の形状は基本的に既存のスペーシアと同じだが、助手席の前側に装着されたアッパーボックスのカバーは、表面が波打つようなスーツケース風からX字状に変更されている。メーターの形状も、アウトドアウォッチ風とした。メーターや空調吹き出し口のリング、シートのステッチ(縫い目)はオレンジ色だ。

このほかSUVの機能を高めるために、純正アクセサリーとして、車両に取り付けるルーフキャリア、サイドタープ(日除けとして使える簡易型のサイドオーニングテント)なども用意している。

クルマを文字通りギア、つまり道具として装備や純正アクセサリーを充実させる発想は、前述のハスラーに近い。ハスラーは先代スズキ ワゴンRの発展版として開発され(居住空間の広さやシート配列は基本的に同じ)、同様のことがスペーシアとスペーシア ギアにも当てはまる。

スペーシア ギアの グレード構成&オススメのグレードは?

スペーシア ギアのグレード構成は2種類とシンプルで、ハイブリッドXZとハイブリッドXZターボを用意した。駆動方式はそれぞれに前輪駆動の2WDと4WDがある。

エンジン性能はノーマルタイプの最高出力が52馬力(6500回転)、最大トルクは6.1kg-m(4000回転)。ターボは64馬力(6000回転)、10.0kg-m(3000回転)だ。この数値も既存のスペーシアと等しい。

2WDのJC08モード燃費は、ノーマルエンジンが28.2km/L、ターボが25.6km/Lになる。この数値も既存のスペーシアの主力グレードと同じだ。

最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は150mmと等しく、スズキによると、14インチのタイヤサイズ、サスペンションのセッティングなども既存のスペーシアを踏襲したという。

ただし既存のスペーシアでターボエンジンを搭載するのは、カスタムXSターボのみで、タイヤは15インチ(165/55R15)を履く。そうなると14インチタイヤとターボの組み合わせは、スペーシア ギア ハイブリッドXZターボのみになる。既存のスペーシアとは、足まわりのセッティングとタイヤサイズの組み合わせが異なる。

装備は充実しており、ルーフレール、14インチアルミホイール、LEDヘッドランプ、LEDフォグランプ、両側スライドドアの電動機能などは両グレードに標準装着した。単眼カメラと赤外線レーザーを使って、歩行者を含めて緊急自動ブレーキを作動させるデュアルセンサーブレーキサポートも同様に標準装着している。

グレードごとの価格と装備の違い

価格は2WDのハイブリッドXZが161万4600円、ハイブリッドXZターボが169万5600円だ。ターボは8万1000円高いが、車間距離制御の機能を持たないクルーズコントロール、パドルシフトなども標準装着する。これらを差し引くと、ターボの価格換算額は実質約4万円だから割安だ。

ターボの最大トルクはノーマルエンジンの164%に達するが、JC08モード燃費の数値は91%だから、わずか9%しか悪化しない。ターボは効率が高く、車両重量が880kg(ハイブリッドXZ/2WD)と重い不利も解消されるので、実質価格が約4万円なら買い得だ。従って推奨グレードは、ハイブリッドXZターボになる。

またスペーシアカスタムのハイブリッドXSは169万200円だから、これに比べてスペーシア ギアのハイブリッドXZは7万5600円安い。スペーシア ギアではアルミホイールのサイズが14インチと小さくなり、外観をSUV風にアレンジする代わりにエアロパーツは省かれるが、3~4万円に相当するルーフレールを加えている。装備と価格の違いを踏まえると、スペーシア ギアはスペーシアカスタムよりも割安だ。

唯一気になる点とは

スペーシア ギアで改善を要するのはエアバッグになる。サイドエアバッグは両グレードに標準装着されるが、カーテンエアバッグは設定がない。スペーシアカスタムハイブリッドXSターボには、標準装着されているから、スペーシア ギアを含めてスペーシアの全車に標準装着すべきだ。それが無理なら、せめてオプションで選べるようにして欲しい。

スペーシア ギア誕生、背景にはライバル独走状態への焦りか

以上のようにスペーシア ギアは、実用性と楽しさを併せ持つ買い得な軽自動車だ。価格はノーマルエンジンでも160万円を超えるから、1.2~1.5リッターエンジンを積んだコンパクトカーと同等かそれ以上だが、出費に見合う満足感を得られる。外装色も豊富で、ガンメタリック2トーンルーフを5色、モノトーンを3色用意した。ファッション性という意味でも楽しめる。

スズキがスペーシア ギアを設定した背景には、N-BOXの超絶的な売れ行きにストップを掛ける目的もあるだろう。先に述べたように国内販売の1位と2位を争う間柄だが、販売実績はまったく違う。2018年1~11月の1ヶ月平均で見ると、N-BOX(少数のスラッシュを含む)は2万478台、2位のスペーシアは1万2723台だ。1ヶ月だけで8000台近い大差が付いている。

そしてスペーシア ギアが好調に売れると、軽自動車販売1位のダイハツと、2位のスズキとの差も縮まる。2018年1~11月の累計は、ダイハツが56万6744台、スズキは54万4891台、ホンダは34万2925台であった。2018年の暦年はダイハツの1位が確定的だが、2018年度(2018年4月~2019年3月)、さらにその先は分からない。

今のスズキは小型車にも力を注ぐが、ダイハツは難しい。トールやブーンも相応に拡販しているが、ダイハツの小型車には、必ずトヨタの姉妹車が用意されるから売れ行きを伸ばしにくい。以前のシャレードのようなダイハツ独自の車種を設けないと、小型車を活発に売るのは難しい。

そうなるとダイハツは、今後も親会社のトヨタと役割分担を行い、軽自動車で頑張るしかない。今ではホンダも新たな脅威になりつつあるから、新たなプラットフォームを使う次期タントで商品力を大幅に高めるはずだ。

2019年は消費増税が行われ、自動車税を引き下げるが、それでも求めやすい価格と高機能を両立させた軽自動車の優位は損なわれない。その中心にいるのが、ギアを加えたスペーシアと、これを迎え撃つN-BOXだ。ダイハツも商品力で対抗して、軽自動車はますます力を付けていく。2019年、小型/普通車の立場は、果たしてどうなるのか!?

[著者:渡辺 陽一郎 / 撮影:和田 清志]

>>スペーシア ギアのカラーバリエーションをチェック!

スズキ スペーシア ギアの主要スペック
グレードHYBRID XZターボHYBRID XZ
駆動方式FF4WDFF4WD

メーカー希望小売価格(消費税込)

1,695,600円

1,813,320円

1,614,600円

1,732,320円

JC08モード燃費

25.6km/L

24.0km/L

28.2km/L

26.4km/L

WLTCモード燃費

-

WLTC市街地モード燃費

-

WLTC郊外モード燃費

-

WLTC高速モード燃費

-

全長

3395mm

全幅

1475mm

全高

1800mm

ホイールベース

2460mm

乗車定員

4人

車両重量(車重)

890kg

940kg

880kg

930kg

エンジン種類

水冷4サイクル直列3気筒インタークーラーターボ

水冷4サイクル直列3気筒

排気量

0.658L

エンジン最高出力

47kW(64PS)/6000rpm

38kW(52PS)/6500rpm

エンジン最大トルク

98N・m(10.0kgf・m)/3000rpm

60N・m(6.1kgf・m)/4000rpm

モーター最高出力

2.3kW(3.1PS)/1000rpm

モーター最大トルク

50N・m(5.1kgf・m)/100rpm

トランスミッション

CVT

燃料

無鉛レギュラーガソリン

タイヤサイズ

(前後)155/65R14 75S

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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