スバル 新型レヴォーグはレガシィの血筋を守れるのか?|スバル 歴代レガシィ一気乗り

  • 筆者: 橋本 洋平
  • カメラマン:茂呂 幸正/SUBARU

スバルの考えるグランドツーリングカーの魅力を再確認

スバル 新型レヴォーグのプロトタイプが東京モーターショー2019で発表されるとアナウンスされた。「より遠くまで、より快適に、より安全に」というGT=グランドツーリングを提唱してきたスバル。それは1989年に登場したスバル 初代レガシィから脈々と受け継がれるものだが、その歴史と世界観を今一度振り返り、スバルのGTの魅力を再確認するという試乗会に参加した。

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歴代レガシィを全国から探し、全てをフルレストア

歴代レガシィをスバル広報部が中古車で購入し、それらを完全にレストアして行われた今回の試乗会は、開催するまでにかなりの苦労があったようだ。状態が良いと思って購入したものでも、いざレストアをしてみたら再起不能だったものもあるらしく、別の個体を探して再びレストアし直すという事態にも直面したそうだ。たしかに初代レガシィを中古車サイトで検索してみたが、ヒットした数はゼロ。初代レガシィを探して復元することはかなり難しい作業だっただろう。それを実現してくれたスバルに感謝だ。

初代レガシィは軽量ボディと不等長サウンドが魅力

晴れて我々の前に登場した初代レガシィのBF型のGT type S2だ。後期型のGTをベースにBBSホイールや専用サスペンションなどを奢ったものである。久々に対面したBF型は、いま見ればかなり小ぶりに感じる。5ナンバーサイズに収まる車格だったから当然だ。衝突安全性などが厳しくなり始めたくらいだった時代ということもあってか、ガラスの面積が大きく、実際にドライバーズシートに収まってみても、肩から上が周囲にさらされている感覚があり見晴らしはかなり良好だ。

エンジンを始動させてみれば、懐かしのボクサーサウンドが周囲を包んでくれる。ドロドロ音というかドコドコ音というか、いずれにしても不等長エキゾーストマニホールドが搭載されていた頃のEJ20ターボエンジンの音はいま考えてみるとかなり独特だ。余談ではあるが、このEJ20も今年いっぱいで生産を終了するというアナウンスが今回あった。WRXのファイナルエディションが締めくくる。

初代レガシィのサスとブレーキがお見事!

そんなBF型を走らせれば、軽快さはかなり高い。EJ20は低速トルクが細く、スタンディングスタートはイマドキではないのだが、ブーストがかかり始めれば車重1400kgに満たないボディを軽々と加速させて行く。今回は中央道の山間部などを走ったが、高速クルーズにおける力不足は感じず、伸び感のある加速を常に楽しめるものだった。コーナーリングはナロートレッドということもあって、ドッシリとした安定感などは薄い。また、現代に比べれば剛性感などは無いに等しい。

だが、前後バランスに優れたサスセッティングもあって、ワインディングではブレーキングでうまく旋回してみせてくれるから面白い。一方でスロットルを開ければ、そこにスバル十八番のAWDが上手く機能して安定感を生み出すのだ。いま考えてみればすべてが絶妙なバランス。気を遣わずして、速さも旋回性も安定感も逃していない作りは、グランドツーリングカーのコンセプト通りといっていい。

世界でヒットした4代目レガシィはちょうどいいサイズ

後に4代目のBP型にも試乗したが、その世界観は変わらずに継承されている感覚があった。手ごろなサイズ感で扱いやすく、常に安心感を得ながら高速クルーズを可能にしている点はレガシィならではといっていい。

/>等長等爆エキゾーストマニホールドを搭載したことで、ややボクサーサウンドは影を潜めたし、電子制御スロットルの採用でダイレクト感は失われたところもあるが、より洗練され効率を高めたことは明らかに感じられるものだった。その後の5代目は今回乗れなかったが、北米市場を意識したために“手ごろなサイズ感”が失われ、日本では扱いにくいと感じたことを思い出す。それを引き戻そうというのが、いま考えればレヴォーグだったわけだ。

レヴォーグは歴代レガシィの魅力を凝縮した現代のGTカーだ

現行のレヴォーグも試乗したが、改めて触れてみるとレガシィが提唱してきグランドツーリングの世界を色濃く継承しているのは、やはりこのクルマであることが伺える。都内の入り組んだ路地でも扱いやすく、けれども高速クルーズ時には見事な安定感を生み出す。もちろんエンジンは根本から異なるから、ボクサーサウンドも影を潜めているが、それは上質さにも繋がっている。

また、アイサイト・ツーリングアシストによって、高速クルーズ時の疲労軽減がかなり進んでいることもレヴォーグのメリットといっていい。「より遠くまで、より快適に、より安全に」というキャッチフレーズをブレることなく30年続けてきた集大成がここにある。

新型レヴォーグにも歴代モデルの味を踏襲してほしい

果たして東京モーターショーで発表されるレヴォーグはどんな世界観を見せてくれるのか? 詳細は全く知ることなくこの原稿を書いているが、求めることは多くの歴代レガシィのように、日本のことを考えたサイズ感で、いまの世界観を突き進んで欲しいと願うばかり。だが、近年の日本車にしては珍しく、日本でワールドプレミアが行われるのだから、安心して良いだろう。東京モーターショーの目玉となる新型レヴォーグは要注目の存在だ。

【筆者:橋本 洋平/撮影:茂呂 幸正】

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橋本 洋平
筆者橋本 洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は⾃動⾞雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独⽴。 ⾛りのクルマからエコカー、そしてチューニングカーやタイヤまでを幅広くインプレッションしている。 レースは速さを争うものからエコラン大会まで好成績を収める。また、ドライビングレッスンのインストラクターなども⾏っている。 AJAJ・⽇本⾃動⾞ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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