結婚を機に購入したクルマと手放したクルマ

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家族そろってクラシックなバスで行くドライブを夢見て

一昨年の暮れ、42歳にして入籍した。一人の暮しが二人になったわけで、当然、いろんなことを変えていかなきゃならない状況でもある。クルマに関してもそうで、新調するべきかどうか悩みは尽きない。

きっと誰もが通る道なのだろう。そうした悩みを周囲に漏らすと、結婚を機にクルマへの向き合い方を変えた話が聞こえてくる。

とある友人は軽に買い替えた。またある友人はクーペからワゴンに乗り換え、現在はミニバンを所有している。東京近郊に住んでいると、仕方がないことなのだろう。クルマを持つとしたら一家に一台だから、結婚後のクルマはファミリーカーという位置付けになってしまう。

そんな中、好みを変えずにクルマを買い替えた人がいる。

イラストレーターのYさんは、アメリカ西海岸風のカスタムを施したビートルに乗っていた。そのYさんがクルマを乗り換えたのは、やはり結婚がきっかけだ。授かり婚ということもあり、3人以上がゆったり乗れて、荷物もたっぷり積載できるクルマに替えたかったそうだ。

というわけでまず籍を入れたYさんは、奥様と一緒に住む前にビートルを手放し、新しい愛車を招き入れた。その愛車というのが1972年製のVW タイプ2だった。ちなみにタイプ2とは、VWが1967年に発売したバンで、愛らしいキャラとVW バスの名前でもおなじみだ。趣味嗜好やファッションの好みが合う奥様も気に入るはずだし、驚かせたいとの思いから、Yさんは秘密裏にクルマの買い替えを進めていた。家族3人、クラシックなバスでドライブする光景を思い浮かべながら……。

サプライズは地雷を踏んだだけだった...

ところが、年季の入ったバスを披露された奥様は大激怒。罵詈雑言を浴びせかけ、「今すぐ返してきなさい」と言い放ったという。

その後、「うるさい」「暑い」「寒い」などなど散々の言われようだったそうだが、大事に乗り続けてきた個体だったこともあり、Yさんは十分に納得できる額で同車を売却。今では笑い話になっているそうだ。

ただ、この件は自分も肝に命じておかなければいけない気がする。もちろん今回のケースではたまたまタイプ2がやり玉に挙がってしまったが、例えばそれがスポーツカーだったり、アメ車だったりと、どんなクルマでもそうなる可能性がある。そしてどうやら、常に現実を見据えている女性は趣味嗜好の延長線上にクルマを置いていないようだし、相談もせずにコトを進めると、そこにとんでもない逆鱗があるかもしれないということだ。

どちらかというと、自分は喜んでもらえると勘違いしてサプライズを企てるタイプ。クルマを新調するか否かについても、きちんと議題に上げて進めようと思う。

[筆者:井口 豪]

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井口 豪
筆者井口 豪

1975年4月29日生まれ。血筋は九州だが、出身は埼玉県。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。多彩な趣味を持つウンチク好きの性分を生かし、自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で執筆活動を展開する。2022年には令和3年度行政書士試験に合格し、東京都行政書士会に登録。「行政書士いのくち法務事務所」で行政書士業務もこなすマルチ法務ライター。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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