マツダ 新型デミオディーゼル (6速MT)燃費レポート/永田恵一(4/5)
- 筆者: 永田 恵一
マツダ 新型デミオディーゼル (6速MT)燃費レポート/市街地編
高速道路編、郊外路編に比べると市街地編でお伝えしたいことは多いです。
まず、シフトアップのタイミングに関しては郊外路ほど6速を使えることは少ないですが、それでも4速止まりとなるATに比べれば上位のギアを使える場面は劇的に多く、ギアチェンジを楽しみながら市街地でも燃費を稼げます。
クラッチフィールが軽めなのに加えてクラッチも実に繋ぎやすい上に、坂道発進の際には絶妙のタイミングでブレーキをリリースしてくれるヒル・ローンチ・アシスト(坂道発進のサポート)まで付いているので、「乗りにくい・難しい」というMTのネガはデミオMTには当てはまらず、MTにブランクがある人でもちょっと練習すれば克服できると思われます。
ですが、市街地の渋滞中に「ちょっと考えもの」と感じるのがMTのアイドリングストップです。
マツダのMTのアイドリングストップは、停止後にブレーキを踏み足すことでアイドルストップを開始するATとは異なり、停止前にクラッチを切るもしくはニュートラルにするとメーター読み2km/hくらいでエンジンが止まり、燃費向上に寄与するというタイプです(車が停止、ゆっくり動いている状態ならクラッチを奥まで踏むとエンジンが再始動します)。
しかし、実際に自分の車として乗っていると、渋滞中によくある“止まりそうになってまた動き出す”という場面では一度止めたエンジンを即再始動することになり「頻繁な再始動で、余計に燃料を使っていないだろうか?」という疑問を感じます。
そして、それ以上に懸念されるのが“止まりそうで止まらない”場面でアイドリングストップすると、前述したようにクラッチを奥まで踏んでエンジンを再始動するわけですが、エンジン再始動が早いといってもこういった場面ではもどかしく感じ、エンジン再始動が上手くいかずにまごつくというケースもあります。
渋滞中にこういった場面に出くわすと、「発進すると思った後続車に、いつか追突されるんじゃないか」という不安を覚えます。こういったことを考えるとMTのアイドリングストップもATのようなタイプに変更されることを望みます。
さて市街地の燃費ですが、今回のテストでは「19.5km/L」というATにも劣る数値でした。
これには明確な理由がありす。それは、「DPFの再生」です。ディーゼル車には黒煙の原因となるパティキュレートを集めるDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)が付いており、DPFが一杯になると人間で言えば便秘のような状態になってしまうので、高温となったDPFに燃料を噴射し燃やすことでクリアな状態にしなければなりません。ここで燃料を使うことになるので、燃費は急降下する訳です。
DPFの再生は私の場合大体400~500km、給油1度につき1回というのが平均的な頻度なのですが、テスト前はDPFの蓄積という面では有利な(少ない)比較的高速道路の利用が多く、前回から約700km走行後のDPF再生でした。
といった経緯もあり、テスト中のDPFの再生は懸念事項ではあったのですが、それが見事に当たってしまいました。
ちなみに、DPFの再生までは市街地でもピークで「26.0km/L」、渋滞で「23.0km/L」まで落ち、DPFの再生で「18.5km/L」まで急降下し、その後道路の流れが良くなったこともあり「19.5km/L」でゴールというのが燃費の推移です。
“たられば”はありませんが、DPFの再生がなければ市街地でも23.0km/Lはキープできたのではないかと思います。
【市街地における実燃費】
マツダ デミオ XDツーリング (6速MT)/19.5km/L
マツダ デミオ XDツーリング Lパッケージ(6速AT)/19.7km/L
トヨタ アクアS(初期モデル)/25.0km/L
ホンダ フィットハイブリッド Fパッケージ/26.0km/L
マツダ 先代デミオ13S Lパッケージ(6速AT)/16.0km/L
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