まるで“ミニデリカD:5”なeK Xのデザインはどうやって生まれた!? 三菱デザイナーインタビュー(1/2)

シンプル&大胆な新型eKワゴン/eKクロスのデザイン、その秘密に迫る

クルマ販売の激戦区である軽ハイトワゴン市場に、三菱自動車が2019年3月末に投入した新型「eKワゴン」と「eK X(クロス)」は、高い質感、向上した動力性能、充実した装備と安全性を誇り、軽自動車のベンチマークと呼べるほどの仕上がりを見せる。そして、注目すべきポイントとしてそのデザインが挙げられるだろう。特に、“ミニデリカD:5”とも呼べる大胆な顔つきの eKクロスのフロントマスクは大きな話題となった。また、 eKワゴンのデザインもシンプルさと新しさが融合。質が高いクルマであることを強調する。

そこで今回は、注目の軽ハイトワゴン、eKワゴンとeKクロスのデザインの秘密に迫ってみようと思う。

>>eKワゴンとeKクロスのデザインを画像でチェック

まるでリッターカー! 軽規格の中で見せる豊かな表情

まずは、ベースとなる eKワゴンのスタイリングを見てみよう。 eKワゴンは先代モデルの印象を引き継いだ切れ長のヘッドライトを備えており、多くの人がこのクルマが eKワゴンだと認識できるだろう。ヘッドライトは高い位置にあるため、必然的にバンパーが縦に間延びしてしまう。しかし適度なサイズの開口部を上手に設けたことで、冗長な印象を与えていない。

ボディサイドには、エッジを立て陰影をはっきりさせたキャラクターラインが走り、窓下の大きな面に豊かな表情を与えることに成功している。軽自動車は車体の寸法に上限があり、その中で最大限の室内容積を実現しなければならないため、ハイトワゴンでは窓から下が平板な面処理になりがちだ。

しかし新型 eKワゴンでは、この限られた条件の中でも、窓の下がふっくらと盛り上がり、さらにリアフェンダーも張り出しているように見せており、 eKワゴンを軽自動車に見せないほどの雰囲気を生み出している。また、フロントマスクのイメージが丸いため、クルマ全体も角が取れて丸い印象があるが、よく見てみるとガラス面も立ったかなり四角いクルマなのがわかる。箱ハコしたクルマに見せないのは、高いレベルでデザイン処理された証拠だろう。

見慣れるとまったく違和感なし!? eKクロスの“癖になるデザイン”

一方、三菱SUV共通のファミリーフェイス「ダイナミックシールド」を取り入れた eKクロスは、大人しめな eKワゴンに対して一瞬「ギョッ」とするような大胆なデザインを持つ。縦長のLEDヘッドライトによって、まさに“ミニデリカD:5”という表情を得ている。従来存在した「カスタム系」ではエアロパーツを付加したスポーティバージョンという性格だったものが、 eKクロスでは三菱のイメージぴったりの「SUV風」となったこともあり、タフでワイルドなデザインが採用されている。ブランディング的には好ましいデザインだと思う。

デリカD:5、 eKクロスのフロントマスクには賛否両論があるが、贔屓目なしで言えるのが「実物は写真より良い」ということ。これは、実車を見た多くの人が言っているので、概ね間違い無い感想だろう。SUV風だが最低地上高は eKワゴンと同じなのも面白い。ホイールアーチに貼ったオーバーフェンダー風フィルムと樹脂色のサイドシルで車高が高いように見せているのだ。これもまたデザインの妙である。

最小限の変更で大きな変化を得た技ありデザインの妙

このように顔がまったく異なる eKワゴンと eKクロスだが、顔以外のボディは一緒だ。さらに、ご存知の通り eKシリーズは「日産 デイズ」シリーズとの共同開発車のため、フロント周りの意匠やホイールなど細部を除けば、基本的なボディシェルを共用している。つまり eKワゴン、 eKクロス、デイズ、デイズハイウェイスターは兄弟車の関係になるが、4台ともちゃんと違う車に見える。さらに、 eKクロスとデイズハイウェイスターは全く違う車と言えるほどの個性が与えられている。

だが驚くことに、これだけの差異を持ちながらも、この4車はボンネットのみならずフロントフェンダーも共用しているという。筆者も全く見抜けなかった。ヘッドライトとバンパーのみで大きく印象を変えているのだ。最小限の変更ながら変化は最大限。昔から日本車にはバッジエンジニアリングの兄弟車はたくさんあるが、ここまで印象を変えているのにボンネットとフェンダーを共用している例は少ないのではないだろうか。

また、よく見てみると eKワゴンとデイズはヘッドライトとバンパーが同じである。Vモーショングリルを装着するだけでデイズが日産車に見えるだけでなく、どことなく全体的に eKワゴンよりシャープな印象を与えているのは興味深い。

>>三菱独自のテイストはカラーリングにも[次ページへ続く]

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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