ホンダ 新型N-WGN新型車解説|軽史上最強の安全性で王者ワゴンRの牙城は崩す!?

新型N-WGNの先進安全装備は高級車以上?

今の日本で最も多く売れているクルマは、軽自動車のホンダ N-BOXだ。N-BOXだけで、国内で販売されるホンダ車の30%以上を占める。

そして同じNシリーズに属するホンダ N-WGN(Nワゴン)も、2019年7月18日にフルモデルチェンジを受けた。エンジンやプラットフォームは、2017年に一新された現行N-BOXと共通で、安全装備では衝突被害軽減ブレーキが横断する自転車を検知するなどさらに進化している。

https://autoc-one.jp/honda/n-wgn/newmodel-5004750/photo/

オラオラ系に待った! カクかわ系に大変身

まず新型N-WGNのボディサイズだが、全高はN-BOXに比べて100mm少々低い1675mmだ(標準ボディ)。自転車のような大きな荷物は積みにくいが、車内は十分に広い。

ボディスタイルは、先代型はサイドウインドウの下端を後ろに向けて持ち上げて躍動感を演出したが、新型ではボンネットを含めて水平基調だ。スッキリとシンプルで、斜め後方の視界は先代型よりも少し向上した。ボディの四隅も分かりやすい。

そしてフェンダーやドアのパネルは緩やかな曲面で構成され、1475mmという軽自動車の限られた全幅の中で、ボリューム感を演出している。

ボディバリエーションは、従来と同じく標準ボディと、上級仕様のカスタムを用意した。カスタムには9灯式フルLEDヘッドランプ、専用デザインのバンパー、カラードサイドシルガーニッシュ、シャークフィンアンテナなどが装着される(シャークフィンアンテナのためにカスタムの全高は1700mmを超えた)。カスタムはどの車種でも装飾が増えるが、N-WGNは比較的シンプルな雰囲気に仕上げている。

使いやすさ重視のインテリア

新型N-WGNの内装では、インパネの基本デザインはN-BOXと同じく水平基調だ。ATレバーはステアリングホイールの左下に装着されて手が届きやすい。

メーターパネルは、N-BOXではインパネの最上部に備わるが、新型N-WGNはステアリングホイールの奥側に設置してオーソドックスな雰囲気だ。N-BOXのメーターは、高く奥まった位置にあるから視認性は良いが(ステアリングホイールの奥側に収納ボックスも備わる)、小柄なドライバーが運転すると圧迫感が生じやすい。

運転姿勢の調節機能は充実している。ステアリングホイールには、上下のチルト調節に加えて、前後のテレスコピックも加えた(調節幅は両方とも30mm)。運転席は上下に50mm調節できるため、運転姿勢を合わせやすい。

インパネは機能的なデザインだが、先代型に装着されていた引き出し式のスライドセンタートレーは廃止された。引き出すと小さなテーブルになり、軽食を取る時など便利に使えたが、新型には継承されていないが、充電用のUSBジャックなどは装着されている。

乗降性向上! 人気の横長トレイも健在

後席はN-BOXほど広くないが、頭上と足元の空間はタップリと確保されている。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ3つ分だ。Lサイズセダンでも2つ半程度だから十分に広い。座り心地も改善され、新型は先代型よりも柔軟になった。

また後席側の床は先代型に比べて15mmほど高まり、サイドシル(乗降時に跨ぐ敷居の部分)と床の段差をほぼなくした。乗降時に足がサイドシルに引っ掛かるのを防いでいるのである。

 

 

後席の下側には、先代型と同じく横長のトレイが備わり、傘や靴を収納できる。この装備は燃料タンクを前席の下に搭載する独自のレイアウトにより採用が可能になった。先代型で人気を高め、新型にも受け継がれている。

新型N-WGNは後席&ラゲッジの使いやすさを大改善

後席の下にトレイを装着すると、後席の背もたれを倒した時に座面が連動して下がる機能は採用できない。先代型では、N-BOXやスズキ ワゴンRと違って、広げた荷室の床に段差ができた。

この欠点を解消することも含めて、新型N-WGNでは専用の荷室ボードを装着した。上段にセットすると、倒した後席の背面と繋がり、平らな広い荷室になる。この下側にも高さの低い荷物が収まる。

また新型N-WGNでは、先代型に装着されていた荷室のアンダーボックスを廃止して、荷室の床を下げた。路面からリヤゲート開口下端部までの高さは、先代型は650mmくらいだったが、新型は490mmになる。N-BOXの470mmと同等で、重い荷物を高い位置まで持ち上げる必要がない。

開発者は「先代型のアンダーボックスは、N-WGNを所有しているお客様の間でも認知度が低く、存在を知らないこともあった。そこで新型N-WGNではアンダーボックスは廃止して、荷室の床を低く抑え、専用ボードで2段の棚のように使えるようにした」と説明している。

N-BOXよりも燃費は2km/Lアップ

新型N-WGNのエンジンはN-BOXと同じタイプに刷新された。ノーマルエンジンは最高出力が58ps/7300rpm、最大トルクは6.6kg-m/4800rpmとされ、実用回転域の駆動力が高い。JC08モード燃費は2WDが29km/Lだから、N-BOXの27km/Lよりも少し優れている。

ターボは64ps/6000rpm・10.6kg-m/2600rpmだから、運転感覚を左右する最大トルクはノーマルエンジンの1.6倍だ。排気量が1Lに増えたような感覚で運転できる。

そしてターボのJC08モード燃費は25.8km/Lだから(標準ボディ)、ノーマルエンジンと比べて11%しか悪化しない。ターボは動力性能の向上率が高い割に、燃費数値の悪化率は小さいから合理的だ。

新型N-WGNの衝突被害軽減ブレーキは自転車にも対応! ACCは停止まで機能

新型N-WGNの装備で注目されるのは安全と運転支援で、新型N-WGNは進化したホンダセンシングを採用した。軽自動車で初採用(ホンダ車でも初採用)とされる横断する自転車に対応した。夜間における歩行者の検知性能も高まり、緊急自動ブレーキの機能を幅広く向上させている。

車間距離を自動調節できるアダプティブクルーズコントロールは、渋滞追従機能付きの全車速対応になった。N-BOXでは時速25km未満になると制御を終了するが、新型N-WGNは停車まで追従を続ける。

そして停車した後、3秒以内に先行車が再発進すれば、自車も追従して発進する。停車時間が3秒以上に長引いた時は、新たに装着された電子制御式パーキングブレーキが自動的に作動して、停車を続けられる。その後に先行車が発進した時は、ボタンかアクセルペダルを操作すると追従を再開できる。

このほかペダルの踏み間違いなどによる前後方向の誤発進抑制機能、対向車や先行車を検知するとハイビームをロービームに切り替える機能なども備わり、安全性は高い。

コスパ最強グレードはノーマルはL! カスタムではLターボだ~!

新型N-WGNのグレード構成は、標準ボディ、カスタムともに各3種類を用意する。この内、ターボは両ボディに1グレードずつ設定した。

機能と価格のバランスから、新型N-WGNで最も買い得なのは標準ボディのLホンダセンシング(133万9200円)だ。価格が最も安いGホンダセンシングに、360度スーパーUV・IRカットパッケージ、ナビ装着用スペシャルパッケージ、充電用USBジャックなど10万円相当の装備を加えて、価格上昇を6万4800円に抑えた。

カスタムLホンダセンシングは、標準ボディの同グレードに比べて24万8400円高く、4〜5万円割高になる。

そしてカスタムを選ぶのであれば、ノーマルエンジンよりもカスタムLターボホンダセンシング(166万3200円)が割安だ。標準ボディのターボは、装備の違いを補正すると約8万円に価格換算されるが、カスタムのターボは実質4万円で装着される。

カスタムLターボホンダセンシングとLホンダセンシングの価格差は7万5600円で、なおかつターボには、パドルシフトやリヤスタビライザーが加わり、アルミホイールも14インチから15インチに拡大される。これらの装備の上乗せが3万6000円相当だから、ターボは実質4万円に収まるわけだ。

従って新型N-WGNを購入するなら標準ボディのLホンダセンシングと、カスタムLターボホンダセンシングを検討すると良い。

ライバルはワゴンRとデイズ!

新型N-WGNは軽自動車では最高峰の安全性能を備え、日常的な使い勝手も優れ、十分に選ぶ価値の高い軽自動車となった。今はN-BOXの人気が圧倒的に高いが、軽自動車が欲しいと思った時は、まずN-WGNとライバル車のスズキ ワゴンRや日産デイズなどを検討すると良いだろう。

そして車内が狭いと感じたり、スライドドアが欲しいと思ったら、N-BOX、ダイハツ タント、スズキ スペーシアなども検討してほしい。新型N-WGNの価格はN-BOXに比べて15万円ほど安く、燃費も優れているから、軽自動車にとって大切な経済性でも注目される。軽自動車の中心的な存在は、N-BOXやスペーシアではなく、新型N-WGNやワゴンRになる。

[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:和田 清志]

ホンダ 新型N-WGNのスペック(主要グレードのみ抜粋)
グレード L Honda SENSING カスタムL・ターボ Honda SENSING

駆動方式

2WD

2WD

トランスミッション

無断変速オートマチック

(トルクコンバーター付)

無断変速オートマチック

(トルクコンバーター付)

価格(消費税込)

1,339,2000円

1,587,600円

JC08モード燃費

29.0km/L

25.2km/L

WLTCモード燃費

23.2km/L

21.2km/L

市街地モード燃費

20.1km/L

17.8km/L

郊外モード燃費

25.1km/L

23.0km/L

高速モード燃費

23.6km/L

21.9km/L

全長

3395mm

3395mm

全幅(車幅)

1475mm

1475mm

全高(車高)

1675mm

1705mm

ホイールベース

2520mm

2520mm

乗車定員

4人

4人

車両重量(車重)

850kg

870kg

エンジン

DOHC水冷直列3気筒

DOHC水冷直列3気筒(インタークーラーターボ)

排気量

658cc

658cc

エンジン最高出力

43kW(58PS)/7300rpm

47kW(64PS)/6000rpm

エンジン最大トルク

65N・m(6.6kg・m)/4800rpm

104N・m(10.6kg・m)/2600rpm

燃料

無鉛レギュラーガソリン

無鉛レギュラーガソリン

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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