日産 新型デイズ vs スズキ ワゴンR どっちが買い!? 徹底比較

日産、スズキを代表する軽自動車を徹底比較!

今は軽自動車の人気が高く、新車として売られるクルマの40%近くを軽自動車が占めている。特に販売が好調なのは、ホンダ N-BOXやスズキ スペーシアなどの全高が1700mmを超える車種だが、1600~1700mmに設定した軽自動車も総合的な魅力が強い。全高が150mmほど下がってボディも軽くなるから、動力性能や燃費で有利だ。価格も装備が同等のグレード同士で比べると、15万円ほど安くなる。

従って軽自動車を買う時は、まず全高が1600~1700mmの車種を検討したい。そこで車内の広さに不満を感じたり、スライドドアが欲しい時に、選択の範囲をさらに背の高いN-BOXやスペーシアに広げると合理的だ。

そして2019年3月に、全高が1600~1700mmの間に収まる日産 デイズ&三菱 eKシリーズがフルモデルチェンジした。ここでは新型になった日産 デイズと、このクラスの中心的な存在となるスズキ ワゴンRを比べる。

>>新型デイズ&ワゴンRの内外装を画像で比較[28枚]

日産 新型デイズ vs スズキ ワゴンR|ボディスタイル/サイズ/視界/取りまわし性比較

軽自動車だから、全長の3395mmと全幅の1475mmは共通だ。全高も2WDで見ると新型デイズが1640mm、ワゴンRは1650mmだからほぼ等しい。

ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は、新型デイズが2495mm、ワゴンRは2460mmとされ、新型デイズの方が少し長い。最小回転半径も異なり、14インチタイヤを装着した売れ筋グレード同士で比べると、新型デイズは4.5m、ワゴンRは4.4mだ。ホイールベースが短いために、ワゴンRの小回り性能がわずかに優れている。

後方視界もワゴンRが良い。デイズはサイドウィンドウの下端を後ろに向けて持ち上げたから、斜め後方が見にくくなった。取りまわし性は総じてワゴンRが良好だ。

勝者:ワゴンR

日産 新型デイズ vs スズキ ワゴンR|内装のデザイン/質感/操作性/視認性比較

内装はワゴンRも満足できるが、新型デイズはさらに上質だ。特にプレミアムコンビネーションインテリア(3万2400円)を装着すると、インパネに合成皮革が使われて手触りも柔らかく、模造ではない本物のステッチ(縫い目)が入る。

視認性や操作性は両車ともに良いが、ワゴンRはメーターを中央に配置したから、確認する時に視線が少し左側へ寄る。

勝者:新型デイズ

日産 新型デイズ vs スズキ ワゴンR|前後席の居住性比較

前席は両車ともにサイズを十分に確保して快適だ。特に新型デイズは背中から腰、大腿部に掛けて、体形に沿ってしっかりと支える。座り心地にボリューム感があり、着座姿勢も乱れにくい。

ただし新型デイズの場合、運転席の着座位置を調節する機能が、座面のみの上下になる。調節した位置によって座り心地が微妙に変わるので、ワゴンRのようにシート全体が上下するタイプにして欲しい。

後席は新型デイズの座り心地が悪い。座面の柔軟性が乏しく、着座姿勢が落ち着かない。座面の前側を斜めにカットしたから、座面の奥行寸法も短く感じる。床と座面の間隔が不足して、足を前方へ投げ出す座り方になる。ワゴンRの座り心地は軽自動車の平均水準だが、新型デイズよりは快適だ。

身長170cmの大人4名が乗車した時の足元空間は、両車ともに握りコブシ3つ少々で同等になる。前席は新型デイズが少し快適だが、後席はワゴンRの圧勝だ。

勝者:ワゴンR

日産 新型デイズ vs スズキ ワゴンR|荷室比較

両車ともに背の高い軽自動車とあって、広い荷室を備える。差が付くのはシートアレンジだ。ワゴンRは背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がり、フラットな荷室に変更できる。新型デイズにこの機能はなく、後席の背もたれを倒すと、広げた荷室の床に段差ができる。

後席には前後スライドの機能も備わり、ワゴンRは、先に述べた座面の昇降機能と併せて左右独立式だ。従って後席の左側にチャイルドシートを装着した時は、左側は前方にスライドさせて運転席に座る親との間隔を近づけ、右側は後方に寄せて大人が座るレイアウトも可能だ。

しかし新型デイズの後席に装着されたスライド機能は左右一体型で、ワゴンRのような使い方はできない。荷室の機能はワゴンRの圧勝だ。

勝者:ワゴンR

日産 新型デイズ vs スズキ ワゴンR|動力性能&エンジンフィーリング比較

両車とも売れ筋グレードには、マイルドハイブリッドを装着した。モーター機能付き発電機が搭載され、減速時を中心に発電を行い、リチウムイオン電池に充電する。アイドリングストップ後には、この電気を使ってモーター機能付き発電機がエンジンを再始動するから、セルモーターを回す方式に比べてノイズが小さく快適だ。

ワゴンRでは、ATレバーをDレンジに入れてブレーキペダルから足を離すと、エンジンを始動させずにクリーピングで発進することもある。

車両重量を装備が同等の売れ筋グレード同士で比べると、ノーマルエンジンを搭載する新型デイズ ハイウェイスター Xプロパイロットエディションは840kg、ワゴンR スティングレー ハイブリッドXは790kgだ。CVTの設定の違いもあり、加速感はワゴンRが活発に感じる。

しかし新型デイズは最大トルクを実用域の3600回転で発揮することもあり、エンジンの性格が扱いやすい。ノイズが小さいことも特徴で、上品な回り方をする。

新型デイズとワゴンRのエンジンは一長一短だが、一般的にいえば少し大人しい印象ながら、デイズの上質感が魅力になる。

ターボの性能は両車ともに同等だ。排気量が1リッターのノーマルエンジンに匹敵する。登坂路の多い地域に適したエンジンとなる。

勝者:新型デイズ

日産 新型デイズ vs スズキ ワゴンR|走行安定性比較

新型デイズの操舵感は、軽自動車としては自然な印象だ。軽自動車だから車両の動きを落ち着かせる設定だが、峠道を走っても曲がりにくい印象はない。ボディの傾き方が拡大しても、4輪の接地性は優れている。

ワゴンRの従来型は、街中を走るのに適した機敏な性格だったが、現行型は安定性を強めた。つまり新型デイズと同じ方向性だが、操舵に対する反応は少し鈍い。

勝者:新型デイズ

日産 新型デイズ vs スズキ ワゴンR|乗り心地比較

両車ともに少し硬いが、売れ筋の14インチタイヤ装着車同士で比べると、新型デイズが少し柔軟に感じる。

勝者:新型デイズ

日産 新型デイズ vs スズキ ワゴンR|安全装備&運転支援機能比較

両車ともに歩行者を検知できる緊急自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)を採用する。作動速度の上限は、車両に対しては新型デイズが時速80km、ワゴンRは時速100kmだ。歩行者に対しては両方ともに時速60kmだが、新型デイズは車両に対する上限速度を高速道路の制限速度まで高める余地がある。

新型デイズは緊急自動ブレーキの応用技術として、運転支援機能のプロパイロットも採用した。車間距離を自動制御できる全車速追従型のクルーズコントロールと、車線の中央を走るための操舵支援を行う。

後者の制御は、以前の日産 セレナでは直進時でもハンドルが左右に小刻みに動いたが、新型デイズでは進化して違和感が薄れた。従ってドライバーのハンドル/ペダル操作を効果的に軽減できる。ワゴンRにこのような運転支援機能はない。

サイド&カーテンエアバッグは、新型デイズは全車に標準装着した。ワゴンRは、最上級グレードのスティングレーTには標準装着するが、それ以外のグレードはオプションでも選べない。

また新型デイズはSOSコールも用意した。緊急時にはオペレーターを呼び出して、救援を受けられる。エアバッグが作動する事故が生じたのに乗員が応答しない時は、消防や警察への自動的な通報も行える。安全装備&運転支援機能は新型デイズの圧勝だ。

勝者:新型デイズ

日産 新型デイズ vs スズキ ワゴンR|燃費性能比較

JC08モード燃費は、2WDのノーマルエンジン搭載車で見ると、新型デイズが29.8km/L、ワゴンRは33.4km/Lとなる。またターボは新型デイズが25.2km/L、ワゴンRは28.4km/Lだ。ワゴンRはボディが軽く有利になった。

勝者:ワゴンR

日産 新型デイズ vs スズキ ワゴンR|グレード構成と価格の割安度比較

新型デイズで売れ筋となるグレード ハイウェイスター Xプロパイロットエディションは156万7080円だ。ワゴンR スティングレーハイブリッドXは148万8240円だが、全方位モニター用カメラパッケージを装着してデイズと装備の条件を合わせると、155万円880円でほぼ同額になる。

それでも新型デイズには、電動パーキングブレーキやプロパイロットが備わり、機能と価格のバランスを見るとワゴンRよりも買い得だ。

勝者:新型デイズ

日産 新型デイズ vs スズキ ワゴンR|総合評価/どっちが買い!?

新型デイズはインパネなどの造りから、ノーマルエンジンの回転感覚まで、さまざまな部分を上質に造り込んだ。さらに運転支援機能、SOSコール、サイド&カーテンエアバッグなども採用して、安全性と快適性を小型車の平均水準と同等か、それ以上に高めている。

その代わりに後席の座り心地とシートアレンジを含めた荷室の機能は、ワゴンRに大きく見劣りする。後席と荷室には改良が必要だ。ワゴンRはこれらの実用性を高め、特に大きな不満を感じない。

それでも運転支援機能などの先進装備は、ユーザーにとって魅力的だ。新型デイズは快適性を高めたから、長距離の移動にも使いやすく、運転支援機能もメリットを発揮する。新型デイズには「これが欲しい」と思わせる魅力が備わる。

勝者:新型デイズ

[筆者:渡辺 陽一郎]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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