【比較】レヴォーグ・アテンザワゴン・ゴルフヴァリアントを徹底比較 ~走りが楽しく内外装も上質な都会派ワゴン3車~(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
適度なサイズのボディと上質感が魅力の日本向けワゴン
スバル レヴォーグは従来のレガシィツーリングワゴンに代わるクルマとして発売された。次期レガシィは海外指向を強めて、現行型よりもボディを拡大させるという。そこで次期型レガシィの国内販売は、SUV風のアウトバックとセダンのB4のみになり、ワゴンはレヴォーグに変更した。
レヴォーグのプラットフォームは次期WRXと基本的に共通。ボディ剛性を向上させ、走行安定性を高めている。
関連記事:【解説】スバル「新型WRX S4」「新型WRX STI」新型車解説/マリオ高野
国内市場を視野に入れて開発されたから、ボディサイズは適度だ。2014年6月末に生産を終えたレガシィツーリングワゴンに比べると、全長は100mm短い4690mm。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も100mm短い2650mmになる。全幅は1780mmで等しいが、ひとまわり小さくなった。
外観は先代型の4代目レガシィツーリングワゴンを連想させ、引き締まったスポーティーな雰囲気だ。従来型のレガシィユーザーが代替えする時も馴染みやすいだろう。
エンジンは水平対向4気筒で、すべてターボを装着する。排気量は1.6リッターと2リッター。駆動方式はすべて4WD(スバルはAWDと呼ぶ)になる。1.6リッターには電子制御式の多板クラッチで前後輪に駆動力を配分するアクティブトルクスプリット式4WD、2リッターにはセンターデフを用いたVTD式を組み合わせた。
売れ筋は価格の割安な1.6リッターで、今回の試乗車も1.6GT-Sアイサイト(305万6400円)を選んだ。
スカイアクティブテクノロジーを満載して外観もスポーティーに仕上げた
アテンザはマツダの世界戦略車。プラットフォームからエンジンまで「スカイアクティブ」と呼ばれる技術シリーズで統一されている。
特に注目されるのがクリーンディーゼルターボ。直列4気筒の2.2リッターだが、最大トルクは42.8kg-m(2000回転)だから、ノーマルタイプのガソリンエンジンでいえば4リッターに相当する。
一方、JC08モード燃費は20km/L(6速AT)で、1.5リッター並みの低燃費を実現した。しかもディーゼルが使う軽油の価格は、レギュラーガソリンに比べて1リッター当たり約20円安い。高い動力性能を発揮しながら、燃料代は2.5リッタークラスのハイブリッドと同程度になる。
ガソリンエンジンも、直列4気筒の2リッターと2.5リッターを設定した。ただし2リッターは安価な20S、2.5リッターは上級の25S・Lパッケージ専用としており、装備の違いを補正すると価格はほぼ同じ。2.5リッターは500ccの排気量が実質無料で増えるから買い得だが、上級のLパッケージのみとあって、ユーザーのニーズによっては装備が過剰になる。
そこで推奨できるグレードはクリーンディーゼルターボ。今回取り上げるアテンザワゴンの試乗車は、このエンジンを積んだXD・Lパッケージ(358万2000円)だ。
ボディサイズは、全長が4800mm、全幅は1840mmに達する。全幅がワイドなので、フェンダーを張り出させるなど外観にボリューム感を持たせた。
実用的なワゴンボディによって荷室が広く、動力性能と燃費も満足できる
フォルクスワーゲン ゴルフは、日本のユーザーにとって最も身近な輸入車だろう。26年間にわたり、連続して輸入車の販売首位を保っている。優れた直進安定性、長距離ドライブでも疲れにくいシートなど、ドイツ車のメリットを備えながら、価格は適度で維持費もあまり高くない。
ゴルフの基本ボディは5ドアハッチバックだが、ゴルフヴァリアントはワゴン。ホイールベースの数値を変えずに全長を310mm伸ばし、荷室の奥行を拡大させた。リアゲートの角度を立てることで積載容量にも余裕があり、実用指向のワゴンに仕上げている。
全幅は5ドアハッチバックのゴルフと同じ1800mm。ゴルフは3代目まで5ナンバー車だったから、かなりワイドになった印象を受けるが、外観が直線基調だから視界はさほど悪くない。特に輸入車のワゴンではコンパクトな部類に属する。
プラットフォームは現行型で刷新された。多用途性があり、同じベースを使いながら、ホイールベースやトレッド(左右のホイールの間隔)、全長や全幅の異なる複数の車種を開発できる。そのためにコスト低減が図られ、安全装備の充実も考えると、従来型のゴルフヴァリアントよりも割安になった。
エンジンは直列4気筒で全車がターボを装着。排気量は1.2リッターと1.4リッターがある。
試乗車には、1.4リッターを搭載する上級グレードのハイライン(339万9000円)を選んだ。動力性能はノーマルエンジンに当てはめれば2.5リッター並み。JC08モード燃費は19.5km/Lで、プレミアムガソリン仕様ではあるが、燃料代は1.5~1.8リッターモデルと同等になる。
デザイン・スペックの総評
手頃なワゴンを探すと、選択肢が意外に少ないということに気づく。国産車だと、レヴォーグとアテンザワゴン、トヨタ カローラフィールダーくらいしか選択できない状況だ。レガシィツーリングワゴンは2014年6月末に生産を終えており、他の車種は設計が古い。
一方、輸入車のワゴンは豊富だが、価格が高めだ。メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン、BMW3 シリーズツーリングなどは400万円以上で、実用的なワゴンを妥当な価格で買おうとすれば、今回取り上げた3車が有力な候補になる。
ボディサイズを見ると、アテンザワゴンは少し大柄。サイドウインドーの下端を後ろに向けて持ち上げたため、斜め後方と真後ろの視界も良くない。その代わりマツダ車らしいスポーティーな雰囲気は濃厚だ。
レヴォーグは国内市場を視野に入れて開発され、1.6リッターのターボは価格が安い。レガシィツーリングワゴンからの代替えもしやすく、今注目の車種になった。
ゴルフヴァリアントは今では定番の選択肢。リアゲートを直立させた外観は、いかにもワゴンという印象。ワゴンの車種数は少ないが、それぞれの個性はハッキリしている。
この記事にコメントする