「ドライブイン 鉄剣タロー」は80年代の空気を動態保存するオートレストランの聖地【昭和のクルマで昭和を探す旅 VOL1】

昭和なドライバーに必須だった、ドライブイン&オートレストラン

有料道路のパーキングエリア・サービスエリア(PA/SA)内にもコンビニエンスストアがある今では考えられないことですが、かつて日本国内の高速道路網が整備途上だった頃、ドライバーが立ち寄って食事や休憩をする場所は、ドライブインとオートレストランがメインでした。

食堂や土産店などの有人店を備える施設が「ドライブイン」、基本的には無人で、自販機で飲食物を購入することができる施設が「オートレストラン」として区別され、オートレストランにはゲームコーナーを併設する店舗も多く見られます。

しかし、高速道路が次々と開業して国道から物流のトラックが消え、コンビニエンスストアの登場と進展により店舗数は激減してしまったのです。

>>昭和へワープだ! 懐かしいバーガー自販機と7thスカイラインを画像でチェック[フォトギャラリー]

いざ、昭和末期のクルマでオートレストランを訪問

ですが、むしろその希少性や、オートレストランの特徴であるハンバーガーやうどん、トーストなどを自動調理する「懐かし自販機」が残っていることがフォーカスされ、目的地として出かける人も増えています。筆者は昭和の風情をこよなく愛しているため、ドライブインやオートレストランには興味津々。これまでも何店舗か行ったことがありました。

しかも昭和好きが高じて、最近になって昭和60(1985)年製の7代目日産 スカイライン セダン1800G、そう、6気筒2リッターのGTではなく4気筒1.8リッター、しかもすがすがしいまでの廉価版!に乗るようになりました。

そう、お膳立ては整ったのです。消えゆく昭和の景色を求め、ここぞとばかりにドライブインやオートレストランの訪問をしてみることにしました。

今や貴重な存在の「懐かし自販機」が置かれているオートレストランですが、関東地方でも思いの外多く(と言っても、20店舗もない)残っているのでした。そこで、これまた昭和ラブなMOTA編集部のT編集長を助手席に乗せ、まずは「聖地」と呼ばれる「鉄剣タロー」を目指すことにしました。

バイパスを行く道中は30年前にタイムスリップ!?

MOTA編集部がある赤坂から埼玉県行田市へは、首都高速で大宮まで出て国道17号バイパスを北上するルートを選びました。昔の雰囲気が濃いバイパスを、エアコンを切って窓を全開にして走り、筆者が集めた80年代ソングを車内に流せば、気分はあっという間に30年前にタイムスリップ。筆者48歳、T編集長50歳のコンビですが、まるで大学生の頃のような懐かしい気分です。ああ、青春って何歳になっても味わえるのね!

かつてのオトーサンの憧れだったスカイライン。サニーやブルーバードを買う予算でなんとか手に入れられた「ファミリーカーとしてのスカイライン」という7thスカイライン1800Gに漂う「お父さんの車を借りてきた」感(笑)からは、「オヤジ、なんで高級版のパサージュ買わなかったんだろうなあ」なんて、そんな会話が聞こえてくるようでした。なにしろ1800Gって、装備が著しくついていない(パワステすらない)低いグレードなのです。

出発したのが夕方だったため多少の渋滞にはまり、鉄剣タローに着いたのは18時。でも夏至近くの空はまだまだ明るく、夕日が丁度良い具合に昭和63年(1988年)開業の店舗と昭和なスカイラインを照らしてくれました。

店舗正面を飾るオリジナリティ溢れる店名文字もなんとも味わい深い雰囲気。視界に入る景色は、きっと約30年前のあの日とほぼ同じはずです。暮れ行く武蔵野の空の下、僕たちは時間が止まった景色を堪能することができました。

懐かし自販機のトーストサンドとハンバーガーの美味しさに舌鼓

店内には、自動調理自販機の代表格である「麺類」「ハンバーガー」「トーストサンド」がそれぞれ1台ずつ揃い踏み。それだけでなく、すっかり姿を見なくなった「カップラーメンの自販機」や、修理して稼働するようになったという「アイスの自販機」も並んでいます。

店内照明はネオン管のような色合いのため、日が落ちると店内は怪しい雰囲気に包まれていきます。その中で、T編集長はトーストサンドを、筆者はチーズバーガーを食べることにしました。

トーストサンドは220円。お金を入れてスイッチを押し、待つこと約1分。アルミホイルに包まれて出てきますが、これがやたら熱いのも懐かしいのです。

一方のチーズバーガーも220円なのだけど、こちらの自販機はもっとすごい。カウントダウンが「ニキシー管」という懐かしい表示方法なのです。

こちらも1分ほど待つと、いかにも80年代テイストなイラストが描かれた小さな箱が出てきました。箱を開けると、中にはハンバーガーが詰まっています。こちらもアツアツです。

待ちきれずに二人で食べてみると、うん、ウマイ! どちらも、味付けはしっかりしていますし、味自体も抜群です。ハンバーガーは群馬県伊勢崎市の「マルイケ食品」製。そう、誰かがこの自販機にハンバーガーを入れに来ているのですね。

古く壊れると直すのも困難な自販機、そして工場や店舗での調理、仕入れなど数々の手間。自販機だけど、商売的にはとてもレトロな仕組みなのです。懐かし自販機の維持がどれだけ大変なのかが想像できました。

昭和末期なスカイラインで昭和なドライブインとオートレストランに行くこの企画。実行してみたら、思った以上に楽しかったです。次はどんな昭和レトロに出会えるでしょうか。今から楽しみです。

◎今回伺ったお店は・・・

■店名:鉄剣タロー

■住所:埼玉県行田市下忍315-1

■営業時間:24時間営業

[筆者:遠藤 イヅル/撮影:MOTA編集部]

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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