“スバリスト(スバルヲタ)”視点から見る「スバル BRZ tSコンセプト」 新型車解説/マリオ高野(1/3)
- 筆者: マリオ 高野
大阪オートメッセに突如現れた「BRZ tS」の後継コンセプトモデル!
大阪オートメッセのスバルブースに、今年1月の東京オートサロンでは展示されなかった新しいSTIコンプリートカーのコンセプトモデル「BRZ tSコンセプト」が展示されました。
BRZ tSは2013年の夏に発売され、GTドライバーの佐々木孝太選手やモータージャーナリストの河口まなぶさんも所有し、かなり高く評価されましたが、今年中にその後継モデルが発売されるのではと推測されます。(あくまでマリオ高野の個人的予想)
さっそく、「BRZ tSコンセプト」の詳細について触れていきましょう。
「フレキシブルVバー」採用により、乗り味の改善に大きな効果が!
まず、スバリスト的にもっとも激しく注目したのは、新しく開発された「フレキシブルVバー」!
BRZは一般的なスバル車(AWD/FF)と違い、FRなのでエンジンルームの一番奥にあたるバルクヘッド部分(エンジンルームと居住空間を仕切る壁)と、フロントのストラットタワー部分の間が比較的広く空いておりますが、フロントの剛性面ではココが最大のネックとなっておりました。
一般的なスバル車(AWD/FF)の場合はこの間が狭いので、剛性補強は左右のストラットタワー部分を締結するだけで十分なのですが、FRのBRZではバルクヘッド部分とタワーバー間を補剛すると乗り味の改善に大きな効果が得られるとのこと。
この問題は、BRZの開発段階から操縦安定性のテスト時に、当時はまだ富士重工業に居られた渋谷氏(現STI車両実験部部長)らのテストドライバーは把握していたものの、補剛パーツをライン装着で装着することはなかなか難しかったので、違うアプローチで対策していたそうですが、フレキシブルVバーという新パーツが誕生したことを受け〝手組み〟で作られるSTIコンプリートカーでようやく解消することができたというわけです。
バーの中間部分をピロボール化することで、バーの軸方向には剛性確保、そして上下方向には突っ張ることなく力を逃がして路面からの入力をいなし、内輪の接地を上げるという理論はこれまでのフレキシブルタワーバーと同じです。
新「BRZ tS」では、ビルシュタインダンパーを採用!
次に注目したいのは、ビルシュタインダンパーの採用です。前回のtSでは価格を抑えるためもありショーワ製のダンパーでしたが、よりコストのかかった倒立式のビルシュタイン製にすることで、剛性が上がるとともに、微小舵領域での動き出しの滑らかさに大きな違いがでるという話です。
ここでもこだわったのは“微小舵”でのレスポンスと質感。コーナーでのロールの出し方をより素直に、よりゆっくりとロールさせることでコントロール性と安心感、そしてクルマの上質感が増すということです。
ダンパーの動き出しが速いとストンとロールしてしまうので微小舵の応答が良くない上、クルマの上質感も損なわれてしまいます。ロールの速度をしっかりとコントロールすることで滑らかな動きを実現し、大人っぽいスポーツカーに仕立てられるのです。
新しいBRZ tSではフレキシブルVバーと専用チューンのビルシュタインダンパー採用により、シャープな応答性と大人っぽい滑らかな上質感を両立させているとのことです。
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