日本にない日本車/マツダ アテンザディーゼル(3/3)
- 筆者: 桃田 健史
日本人が欲しいとマツダに言えば、マツダは「アテンザディーゼル」を日本で売ってくれる?その可能性は?
「難易度1」
※難易度(1~10までの10段階、10が難度の最高値。筆者の個人的判断)
難易度1とは、販売の可能性が極めて高いということ。これは今回試乗した現行車ではない。近年中に登場予定の「次期アテンザ」での「SKYACTIV D」についてだ。
マツダが9月後半、袖ヶ浦レースウエイ(千葉県袖ヶ浦市)で開催した、新型クロスオーバー「CX-5」プロトタイプ試乗会でも、同車欧州仕様(右ハンドル)ディーゼル車が用意されていた。
こうしたことからも、マツダが日本国内へディーゼル乗用車を導入することへの期待が高まる。
だが、日本市場へのディーゼル車導入には「大きな壁」がある。なぜなら、日本人の「ディーゼル車嫌い(のイメージ)」が相当根強いからだ。
これは、石原都政が1999年に開始した「ディーゼル車NO作戦」の影響だ。
東京都環境局のディーゼル車規制は現在でも継続されている。確かに、東京都の大胆な試みによって首都圏の大気は浄化された。大気中の有害物質の数値も下がり、東京上空のスモッグも10年前より確実に薄くなった。
こうした現実的な効果とは裏腹に、ディーゼル車に対するネガティブなイメージが、日本全国に広がってしまった。
筆者が、自動車関連の学会や各種新型車の発表会・試乗会で、日系自動車メーカーの開発者と「ディーゼル車の日本市場への復活の可能性」を話す度、皆一様に「石原都政の影響があまりにも大きい」と嘆く。ディーラーからも、会社の上層部からも「日本では、ディーゼル乗用車を売るのは相当難しい」と言われるのだ。
そうした社会実情に、マツダは真っ向から立ち向かっていくのか?
日産が「エクストレイル・ディーゼル」で開けた小さな穴をめがけて「SKYACTIV D」で突進するのか?
長友佑都選手が「デミオ SKYACTIV」のTVCMで言っているように、同車は「ハイブリッドでもEVでもない」のがマツダらしいエコカー。さらにマツダはトヨタ、ホンダなど日系ライバル社が本格的に手を出さないディーゼル車を「マツダらしいエコカーの活路」と考えているのか?
もしマツダが本気で日本国内ディーゼル市場の再開拓を始めれば、日本の世論は徐々に変わっていくはずだ。「ディーゼル車っていう手も、あるよね」と、「ディーゼル車NO」意識が徐々に変わっていくはずだ。
そして、そうしたマツダの挑戦が現実化すれば、「次期アテンザ SKYACTIV D」が日本で発売されることになるだろう。
マツダらしい「ファン・トゥ・ドライブ」が味わえる、「マツダ6/5-Turer ディーゼル欧州仕様」。その進化系となるであろう「アテンザ SKYACTIV D」の日本導入に大いに期待したい。
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