日産 フェアレディZロードスター 試乗レポート(2/3)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:ZIPNIX/オートックワン編集部
クーペと遜色ない一体感ある走り
閉めて走ると、その剛性の高さを物語る一面か、開閉部分のゴムのパッキンあたりから擦れる音がまったく聞こえない。そして、開けて走ると、風の巻き込みが非常に小さいことに驚かされる。
これを某欧州メーカーでは、フロントスクリーンの上端を長く伸ばすことで実現していたりするのだが、それをやるとオープンカーの醍醐味である開放感が犠牲になるという相反する要素がある。
ところがZロードスターの場合、高い開放感を得たままリアのウィンドウディフレクターを最適配置するなど、全体を工夫したことで風の巻き込みが少なくなっているのだ。オープンカーというと、ボディ剛性の低下や、それをカバーするための補強部材の追加と、トップの開閉機構による重量増などによる走りへの影響も気になる。
このクルマでは、Z33ロードスターからの進化よりも、Z34クーペとの違いがどんなものかと思うところだが、ドアやトランク開口部を効率よく補強し、Z34クーペに対し60kg増と、先代Z33ロードスターより50kg軽い車重を実現している。屋根の有無での差はかなり小さいほうだ。
ドライブしてみると、重量増の影響はほとんど感じられず、いわれればそうかなという印象。応答遅れのない一体感ある走りは、本当にクーペに比べて遜色ない。Z33に対し100mm短縮されたホイールベースも寄与しているように思われる。
また、オープンボディではよくある、フルブレーキングしたときに、スカットル(フロントタイヤ後方あたり)の部分でボディが折れて、フロントタイヤに荷重が乗りにくくなったり、アクセルオンでリアタイヤが浮き上がりトラクションがかかりにくくなったりという感じもない。
強いていうと、限界コーナリング時のVSCの介入は若干クーペよりも早い(=そのぶんタイヤのグリップが落ちた)ように感じられたが、その差は非常に小さい。常にブルブルと振動する、いわゆるスカットルシェイクも見受けられない。乗り心地は、発売当初のZ34クーペよりもよくなっている。
Z34クーペ自体、出たてですでにZ33よりもずいぶん改善されていたわけだが、さらに洗練された印象で、ゴツゴツ感が薄れ、しなやかに動く足になった。そういえば、これはロードスターでこうなったというよりも、10月中旬に乗ったクーペもこういう感じの乗り味に変わっていたので、メーカーから正式なアナウンスはないものの、何らかの手当てがあった可能性も考えられる。
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