レクサス 新型LSがついに登場!フルモデルチェンジした最上級サルーンを徹底解説

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:和田 清志/レクサスインターナショナル

レクサス LSがフルモデルチェンジ。最上級サルーンの進化を徹底解説!

レクサスはトヨタが展開する高級車ブランドで、メルセデス・ベンツ/BMW/アウディの競争相手だ。この最上級車種となるLSが、2017年10月19日にフルモデルチェンジを受けた。

先代型の発売は2006年だから11年ぶりの一新で、ボディだけでなくプラットフォームやエンジンも刷新された。エンジンは先代型のV型8気筒とこれをベースにしたハイブリッドが廃止され、V型6気筒3.5リッターのツインターボと、同じくV型6気筒3.5リッターのハイブリッドを用意する。

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新型LSのデザインは今風のクーペスタイルに

まずは外観だが、先代型と同じ4ドアセダンながらも「クーペシルエット」としている。フロント/リアウィンドウを寝かせて、外観を滑らかに仕上げた。

フロントマスクは従来と同様、今のレクサスを象徴する鋭角的なスピンドル(糸巻状の)グリルだが、内側はメッシュ(網目)のデザインとなった。従来の左右方向にスリットが入った形状に比べて存在感が強い。

ボディサイズが拡大、先代の“ロング”よりも大きい

ボディタイプは、先代型では標準ボディと追加されたロングの2種類を用意したが、新型は1種類に統一された。ボディサイズは全長が5235mm、全幅は1900mm、全高は1450mm(4WDは1460mm)となる。

全長はかなり長く、先代型の標準ボディを145mm、ロングと比べても25mm上まわる。全幅も25mmワイド化され、全高は15mm低くなった。ボディの大きさは先代型のロングを発展させたことになる。

ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は3125mmで、先代型の標準ボディよりも155mm、ロングと比べても35mm長い。

最小回転半径は後輪駆動の2WDが5.6m、4WDは6.0mとされ、この数値は先代型のロングと同等ながら、混雑した市街地などでの取りまわし性は良くない。

先代型とボディサイズを比べて気付くのは、全長よりもホイールベースが10mm多く拡大していることだ。ホイールからボディが前後に張り出したオーバーハングは、前側は15mm伸ばしたが、後ろ側は25mm切り詰めた。これによりホイールがボディの四隅に踏ん張る感覚を強めている。外観の見栄えは従来よりも引き締まった印象を受ける。

ただし後ろ側のオーバーハングを減らすと、トランクスペースの奥行を確保しにくい。トランク容量を新旧で比べると、先代型のノーマルエンジン車は510Lだったが、新型は480Lに減少した。

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新型LSの内装は最上級サルーンにふさわしい装備が満載

内装ではインパネが注目される。先代型以上に左右方向の広がり感を強め、インパネの両端がフロントドアの内張りへ滑らかに繋がる形状にした。

メーターパネルの上部には大型ヘッドアップディスプレイ、インパネの中央にもメーターパネルと高さをそろえたディスプレイが装着される。走行モードの切り替えスイッチは、メーターパネルの高い位置の左右に配置した。

メーター本体はTFT液晶を採用して、ドライブモードのノーマル/エコ/スポーツS/スポーツS+切り替えで、それぞれ表示パターンが変わる。スポーツモードであればエンジン回転計がアナログ風に表示され、この内側にデジタルの速度表示などが備わる。

ATレバーはエレクトロシフトマチックになり、小気味良い操作が可能だ。この手前にはカーナビなどの操作が行えるタッチパッドを配置した。

バージョンLなどの前席には、28Way調節式フロントパワーシートを装着する。サイドサポート、世界初のヒップサポート、肩まわりのショルダーサポートなどを電動により調節できて、座面の前端部分を動かすことで奥行寸法も変えられる。

世界初のパワーイージーアクセスシステムも採用した。降車する時は、シートが自動的に後方へスライドして、さらにシートの後部をリフトアップさせる。座面のサイドサポートは外側に倒れ、腰の移動量を抑えて滑らかに降車できるようにした。

後席の電動調節機能も用意され、エグゼクティブには22Way調節式リアパワーシートを装着した。背もたれを後方にリクライニングさせ、膝から下側を支えるオットマンも持ち上がる。局部的に体を暖めたりマッサージを行う温感リラクゼーション機能も採用した。

居住空間は広く、前後席のヒップポイント間隔は1080mmだから、後席の足元空間に余裕がある。最近は軽自動車も足元空間が広がり、ホンダN-BOXはこの数値が1175mmだからLSは驚くほどの広さではないが、セダンとしては4名が乗車してゆったりと快適に長距離を移動できる。

新型LSのプラットフォームとパワートレイン

エンジンラインナップは2種類

エンジンは前述のように全車がV型6気筒の3.5リッターを採用して、ツインターボとハイブリッドを用意した。

LS500が搭載するツインターボは、新型LSから採用を開始した新開発エンジンだ。シリンダーの内径が85.5mm、行程が100mmとなるロングストローク型で、シリンダー内の直接噴射とポート噴射を併用する。ツインターボには電動ウェイストゲートバルブを備える。

プラットフォームはLC500と共通

プラットフォームはスポーティクーペのLC500と共通で、世代の新しいタイプだ。全車がエアサスペンションを装着して、走行状態に応じて足まわりの設定を変更できる。また乗降モードも備わり、乗降時には車高を約4秒間で最大30mm持ち上げ、乗員の腰の移動量を少なく抑えた。

最高出力は422馬力(6000回転)、最大トルクは61.2kg・m(1600~4800回転)だから、先代LS460のV型8気筒4.6リッターに比べると、30馬力/10.2kg・mの上乗せとなった。

スポーティモデルのLC500が搭載するV型8気筒5リッターに比べると、LSの3.5リッターツインターボは最高出力が55馬力下まわるが、最大トルクは6.1kg・m上まわる。実用回転域の駆動力を高めた。

ツインターボのトランスミッションは、LC500と同じ10速ATだ。7速目のギヤ比が1.000になる設定で、8~10速はオーバードライブレシオとした。最終減速比まで含めてギヤ比はLC500と等しい。

ツインターボのJC08モード燃費は2WDが10.2km/Lだ。先代LS460は8.4km/L、LC500は7.8km/Lだから、以前のV型8気筒に比べると効率を高めた。比率に換算すると、先代LS460に比べて燃費数値は21%向上している。

LS500hが搭載するハイブリッドは、LC500hが搭載するのと同じタイプで、V型6気筒3.5リッターにマルチステージハイブリッドを組み合わせる。基本的には電気式の無段変速だが、エンジンとモーターの出力軸に変速機能を加えて10段の変速制御を可能にした。メリハリのある運転感覚を味わえる。

エンジンとモーターの駆動力を合計したシステム最高出力は359馬力で、加速性能も優れている。LC500と同じ数値で、GS450hが搭載するV6・3.5リッターハイブリッドの348馬力を上まわる。

新型LSは安全装備が大幅改善

レクサス・セーフティシステム・+Aとは

装備では安全性が注目される。レクサスセーフティシステムプラスは全車に標準装着され、バージョンLやFスポーツには、機能をさらに充実させたレクサスセーフティシステムプラスAを備える。

プラスAには、歩行者注意喚起とアクティブ操舵回避支援機能を備えたプリクラッシュセーフティシステムが装着される。緊急自動ブレーキの機能を向上させ、さらに衝突の危険が高い状態になると、操舵の制御も行って歩行者との衝突を回避する。

運転支援機能も進化した。プラスAには進化したレーントレーシングアシストを採用する。操舵の支援はカメラによる白線の認識に基づいて行うが、白線が見えにくい時などは先行車に追従することで操舵の支援を続けられる。スバルのアイサイトツーリングアシストに似た機能といえるだろう。

レーンチェンジアシストも注目の機能だ。ドライバーが方向指示器を作動させると、車両が周囲の状況を確認した上で、適切な操舵と加減速を行って車線変更を支援する。車間距離を自動制御して追従走行を行うレーダークルーズコントロールも進化した。

このほかプラスAにはドライバー異常時停車支援システムも備わる。操舵を支援するレーントレーシングアシストが作動している時にドライバーの無操作が続いた場合、音や表示によってドライバーに注意をうながす。それでも反応しない時は、ハザードランプとホーンを作動させて車外に異常が発生したことを伝え、車線内に自動停止する。

この時にはドアロックの解除、通信機能を使ったヘルプネットを自動接続させ、ドライバーの救命をめざす。運転支援機能が作動中の無操作に基づく自動停止は、メルセデス・ベンツなども採用する一歩進んだ運転支援機能となる。

後退しながら車庫から出庫する時の安全機能も備わり、歩行者を検知すると緊急自動ブレーキを作動させたりする。11年ぶりにフルモデルチェンジするレクサスの最上級車種とあって、数々の新機能をそろえた。

新型LSのグレード構成

新型LSのグレード構成はターボのLS500、ハイブリッドのLS500hともに標準仕様/Iパッケージ/Fスポーツ/バージョンL/エグゼクティブの5種類をそろえる。

ツインターボを搭載するLS500の価格は、ハイブリッドのLS500hに比べて140万円安い。クーペのLCでも、V型8気筒の5リッターはLS500hと同型のハイブリッドに比べて安いが、差額は50万円だ。つまりLSのV型6気筒3.5リッターターボの価格は、LCのV型8気筒5リッターに比べて90万円安い。3.5リッターは量産エンジンだから、ツインターボを装着してもV型8気筒に比べればコストが下がり割安感を強めた。

ミディアムクラスセダンのGSの場合、3.5リッターのノンターボの価格は、3.5リッターハイブリッドに比べて100万円しか安くない。しかしLS500は、ツインターボを加えながら3.5リッターハイブリッドよりも140万円安い。LS500hのハイブリッドは、GS450hよりも性能が先進的だから一概には比較できないが、LSではツインターボのLS500が割安である。LS500の売れ筋とすべく、戦略的な価格を打ち出した。

おススメグレードはガソリンモデルの“I Package”

従って推奨されるパワーユニットはツインターボのLS500だ。グレードは実用的にはベーシックなLS500(980万円)で十分だが、新型LSではレクサスセーフティシステムプラスAに価値がある。そこでこの機能を装着して価格を比較的安く抑えたLS500Iパッケージ(1042万円)をベストグレードとしたい。

もっとも、スポーティ指向のモデルが欲しいならLS500Fスポーツ(1200万円)も検討すると良いだろう。

先代の標準ボディと価格を比べると100万円以上も高いが、安全装備は標準装着品を含めて大幅に充実した。ボディサイズも先代型でいえばロング以上に大きいから、およそ買い得なクルマとはいえないが、レクサス車としては妥当な価格だろう。

LSは安全装備や運転支援の機能を含めて、レクサスの最上級車種に相応しい渾身の開発を施した。海外ではレクサスがトヨタとは別のブランドとして認識されるが、日本のユーザーにとってのLSは、トヨタの最上級車種でもある。

それならば、全国のどこでも公平に購入できるようにして欲しい。レクサスの店舗は都市部には豊富にあるが、1県に1店舗の地域も多く残り、ユーザーに不便を強いている。メーカーから配布されたLSの資料には「おもてなし」の文字がいくつか見られるが、店舗が遠くて満足に試乗すらできない状態では、「おもてなし」には程遠い。

少なくともプレミアムブランドである以上、トヨタ車よりも気持ち良く購入できる販売体制を整えないと、かつてのトヨタセルシオ(レクサスが日本で開業する前にトヨタ店とトヨペット店が扱っていた1~3代目LSの日本仕様)を超える存在にはなり得ない。

レクサス LSの主要スペック

レクサス 新型LSの主要スペック
車種名LS500hLS500

グレード

EXECUTIVE

EXECUTIVE

パワートレイン

ハイブリッド

ガソリン

駆動方式

2WD

2WD

価格(税込)

16,400,000円

15,000,000円

JC08モード燃費

15.6km/L

10.2km/L

全長

5,235mm

5,235mm

全幅(車幅)

1,900mm

1,900mm

全高(車高)

1,450mm

1,450mm

ホイールベース

3,125mm

3,125mm

乗車定員

5人

5人

車両重量(車重)

2,320kg

2,260kg

エンジン

V型6気筒

V型6気筒インタークーラー付きターボ

排気量

3,456cc

3,444cc

エンジン最高出力

220kW(299PS)/6,600rpm

310kW(422PS)/6,000rpm

エンジン最大トルク

356N・m(36.3kgf・m)/5,100rpm

600N・m(61.2kgf・m)/1,600~4,800rpm

モーター最高出力

132kW(180PS)

ーー

モーター最大トルク

300N・m(30.6kgf・m)

ーー

燃料

無鉛プレミアムガソリン

無鉛プレミアムガソリン

レクサス/LS
レクサス LSカタログを見る
新車価格:
1,094万円1,799万円
中古価格:
55万円1,518.4万円

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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