4座スペシャリティクーペ最新事情 徹底比較(4/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:島村栄二
日本生まれらしいきめ細やかな心配り
スカイラインというと、日本ではただならぬブランド力を持つ車種のひとつである。
購入を検討するのは、それなりに目の肥えた層で、「スカイライン」というネーミングを、大なり小なり好意的に捉えている人だろう。そうした人たちにも、このクルマは十分に期待に応えてくれる素養を持っていると思う。
今回の中で唯一の日本車で、価格帯はそれなりに高いものの、内容の充実ぶりを考えると、買い得感すらあると思える。このとおりスタイリッシュで、高級感もあり、走りもよく、装備も充実しており、日本生まれらしいきめ細かな心配りは、インテリアの各種操作系やカーナビの機能を見ても明らかだ。
ドライブフィールには、エンジンの回転フィールにもう少しシルキーな印象も欲しいところだが、乗り手に優越感を感じさせるに十分な動力性能を持っている。ATが7速化されたことで、その印象はより上質なものとなった。
フットワークにもクセがなく、いい意味でいたって無難で、快適にリラックスして乗れる。それ自体がこのクルマの持ち味である。実に大人のクーペである。
MTへのコンプレックス
本来、3シリーズクーペは本国ではもっと多くのエンジンバリエーションがあるが、日本には、335iと320iという、上と下が導入されている。そして価格差は、実に240万円と大きい。「もしも325iあたりのクーペがあれば欲しい」という声もよく耳にするが、そこはインポーターの戦略なので、いたしかたないところ。そして、トップエンドの335iはかなりの高価格。なかなか手が出にくいのは否めない。今回の中でもダントツで高価だが、それでも「乗ればわかる」クルマではある。痛快なドライビングプレジャーは、やや安定志向のM3をもしのぐものがあるほど。さらに、7速スポーツATを得たことで、MTにコンプレックスを抱くことなく、いたってイージードライブで、このハイパフォーマンスを楽しめるようになった点を歓迎すべきだろう。
欲しいと思っている人は少なくないはず
マスタングは、厳しいアメリカの現状、とりわけスポーティモデルを取り巻く環境の中において、販売的には比較的健闘しているようだ。そして、本国ではいたって身近な存在でありながら、日本に来るといきなりプレミアムなスペシャリティカーの1台となるのがマスタング。それはそれで悪くないと思うが、もう少し価格が安いとか、燃費を含む維持費が低いとか、販売網が充実していれば、実は欲しいと思っている人も少なくないのではと思う。往年のスタイリングを現代的に再現し、北米で成功を収めているマスンタングのスタイリングは、日本でも好意的に捉えられている。
これまでも数多くの限定車が送り出され、どれも魅力的だったが、今回の45周年記念車は、グラストップを持つ点が、他モデルとの大きな違い。内容的にはお買い得でもある。すでに2010年登場といわれる次期モデルの情報もあるが、この限定45台を手に入れたい人は、急いだほうがいい。
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