【比較】三菱 eKスペース vs ダイハツ タント どっちが買い!?徹底比較(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
三菱 eKスペース vs ダイハツ タント エクステリア・インテリア対決
まずはボディサイズだが、軽自動車の場合、全長と全幅は全車が同じ数値になる。規格枠いっぱいの全長3395mm、全幅1475mmだ。
全高もこの2車種はほぼ同じ。eKスペースは1775mm、タントは1750mmだから25mmしか違わない。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は、eKスペースが2430mm、タントは25mm長い2455mm。いずれも同等の数値になる。
外観も良く似ている。車内の広さがセールスポイントだから、ドアやピラー(柱)の角度を立てて、フロントウインドーは前寄りに位置する。ボンネットは短く、商用車のワンボックス形状に近い。
その上で比べると、eKスペースは後から登場した車種とあって、ドアパネル付近の形状は少し凝っている。タントは水平基調でシンプルなデザイン。この点で優劣はない。
内装はどうだろう。インパネを見ると、eKスペースが主力グレードにタッチパネル式のオートエアコンを採用して、質感を高めた。タントは従来型のスイッチだが、手探りの操作がしやすい。eKスペースも操作パネルを上側に向けたが、タッチパネルだと視線を下げることになる。
メーターはeKスペースはハンドルの奥側に装着され、タントはインパネ中央の高い奥まった位置に備える。タントは視線と目の焦点移動が少ないが、インパネの上端が高く、小柄なドライバーは前方が少し見にくい場合がある。スイッチの操作性とメーターの視認性は一長一短だろう。
フロントシートは、両車ともにサイズを十分に確保して、座り心地が良い。座面は適度に柔軟で、体が少し沈んだ部分でしっかりと支える。
注意したいのは運転席の着座位置を上下に調節するシートリフターだ。タントはシート全体が上下するが、eKスペースは座面のみになる。eKスペースでは下げた状態では背もたれと座面の間に隙間が生じて、少し違和感が伴う。
リアシートはeKスペースが快適だ。座面をフロントシートよりも30mm長く伸ばし、膝の裏側までしっかりとサポートする。座り心地は、フロントシートに比べると柔軟性に欠けるが、ボリューム不足はない。
タントのリアシートは、先代型に比べれば座り心地を向上させたが、座面の柔軟性はいま一歩。座面の角度も水平に近く、腰の収まりがあまり良くない。
三菱 eKスペース vs ダイハツ タント 室内空間・装備対決
足元空間はタントが広い。身長170cmの大人4名が乗車した状態で、リアシートに座る同乗者の膝先空間は、eKスペースが握りコブシ3つ少々、タントは4つ分に達するからだ。もっとも、Lサイズセダンでも握りコブシ2つ半くらいだから、eKスペースも3つ少々を得ていれば十分に広い。なのでリアシートの居住性は、座り心地の優れたeKスペースが勝る。
リアシートのアレンジは、両車ともほぼ同じ。前後にスライドさせたり、床面へ落とし込むように小さく畳める。それぞれ左右独立式だから、乗員の数や荷物の量に応じた調節もしやすい。
路面から荷室床面までの高さは、両車ともに約600mm。開口幅もeKスペースが1090mm、タントが1080mmだから大差はない。ただし荷室開口部の上下寸法は、eKスペースが1080mmでタントは1045mm。背が高い分だけeKスペースに余裕が生じた。それでも両車ともリアシートを畳めば、自転車などを積める。
荷室の使い勝手で注意したいのは、リアシートを畳んだ時の運転姿勢だ。eKスペースはリアシートを畳むとフロント側のスライド量が制限され、長身のドライバーは、ハンドルやペダルとの間隔を十分に確保できない。なのでeKスペースでは、リアシートを畳んだ状態で運転席に座って確かめる必要がある。
収納設備は両車とも豊富にそろえたが、タントはメーターをインパネの上部に装着したので、ハンドルの奥側にフタの付いたボックスが備わる。eKスペースは、助手席のアンダーボックスをリアシートの側からも開けるようにした。リア側にチャイルドシートを装着して、子供の靴などをアンダーボックスに入れる時には便利だ。それぞれに特徴がある。
空調設備はeKスペースが工夫を凝らした。主力グレードの天井にはリアサーキュレーター(リアシート用の吹き出し口)が備わり、風量を3段階で調節できる。エアコンのユニットはフロント側と共用だが、広い車内に新鮮な空気を偏りなく送ることが可能だ。両車ともリアシートのサイドウインドーにはサンシェードを装着した。
このほか、eKスペースは助手席の背面に折り畳み式のテーブルを備える。タントでは助手席を前に倒した時に、背面全体がテーブルとして機能する。
乗降性はタントの圧勝。左側のスライドドアにピラー(柱)を埋め込み、前後ともに開くと開口幅が1490mmに達する。助手席の上部には乗降グリップも備わり、お年寄りがリアシートに乗り込む時も便利だ。
フロントドアを閉めた時のリア側の開口幅は、eKスペースが580mm、タントは左側が605mmで右側は590mm。リア側の開口幅もタントが広い。
装備は安全面で差が付く。タントでは赤外線レーザーを使った衝突回避の支援機能を、横滑り防止装置とセットで選べるからだ。作動する範囲は時速4~30kmの範囲。ミリ波レーダーやカメラ方式に比べると、作動する速度域が低く限定的だが、市街地走行で衝突の回避を支援するメリットは大きい。
eKスペースも最廉価のEグレードを除くと横滑り防止装置を備え、タントがオプション設定とするサイドエアバッグを標準装着した。さらにリアビューモニター付きのルームミラーも備わる。上級のマルチアラウンドモニターは、eKスペースカスタムにオプション設定され、標準ボディのeKスペースでは選べない。
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