ボルボ大躍進の陰に整備部門”CS”向上の努力アリ|40年来のコミュニケーション戦略「VISTA」を徹底分析(1/4)

  • 筆者: 遠藤 イヅル
  • カメラマン:ボルボ・カー・ジャパン/遠藤 イヅル

クルマを買うのは性能や機能だけにあらず?

クルマを購入するには、さまざまな理由がある。性能、安全性や機能性の高さはもちろんのこと、デザインや乗り心地など個人の感性に依るところも大きい。しかも、プレミアムブランドとなると、購入額は決して安価ではない。

さらに言えばクルマは自販機でボタンを押して誰の顔を見ずに買うこともできないし、レジでバーコードを店員にスキャンしてもらって簡単に手に入れるものでもない。購入するには、個人店にせよディーラーにせよ「売る人」との接点が存在する。

でも購入前のセールスマンの対応が悪かったら、ひょっとしてとても気に入っていた購入対象車への熱が一気に冷めてしまうかもしれないし、買った後に修理に出したのにきちんと直っていなかったり、症状が再発したり、修理内容に納得のいく説明をもらえなかったら、「次はここに修理を出すのは(買うのは)やめよう。」と思うこともあるだろう。

つまり、どんなに良いクルマを用意しても、クルマの台数をしっかりと売っていくには、ユーザー(=顧客)をいかに満足させるかが重要になってくる。もはやそれは全く無視できないことなのだ。

>>目指せスウェーデン!CS向上を目指すボルボのサービス技能競技大会「VISTA」画像ギャラリー

40年以上の歴史を誇るサービス技能“世界”大会

ボルボ・カー・ジャパンが「CS(Customer Satisfaction)=顧客満足度」の向上を目指して開催する「CS-VESC(Customer Satisfaction-Volvo Excellent Salespersons)」と呼ばれるセールスパーソン&ショールームアテンダント向けセールスコンテストを以前ご紹介したことがある。

■参考:「顧客満足度No.1」を目指すボルボ、2年ぶりにセールスコンテスト「CS-VESC」を開催

ボルボ・カー・ジャパンはCS−VECSの開催などCSに関する取り組みを積極的に行ったことにより、2015年の「日本自動車セールス満足度調査」で5位だった順位を、翌2016年の調査では2位にアップすることに成功している。また、2017年新車登録台数で前年比8.3%増を達成している。現在ボルボ・カー・ジャパンがとても好調なのは、続々と投入されるニューモデルが魅力的なモデルなのはもちろんのこと、このような地道なCS向上活動が奏功していると言える。

ところでCS−VECSは「販売」のコンテストだが、前述のようにクルマには「買った後=アフターセールス」もある。顧客のクルマが修理や車検などでディーラーに持ち込まれるのだ。それはアフターセールス部門が対応する。そこでアフターセールスにもボルボは「VISTA」というコンテストを2年に一度用意して、同部門のスキル向上を図っている。VISTAとは「Volvo International Service Training Award」の略だ。世界70か国のボルボ・ディーラーのアフターセールススタッフ16,000人が参加する世界規模のサービス技能競技大会で、1976年の初開催以来40年以上もの歴史を持ち、日本でも1980年からスタートして今回で20回目を迎える。各国ごとに大会が開催され、最終的には優勝したチームがボルボの本拠地スウェーデン・イエテボリで「VISTA2018 ワールドチャンピオンシップ」の出場権を得ることができる。参加したどのボルボ・ディーラーも世界一の称号を手に入れるチャンスを有するのだ。

近年はスキル向上からCS(顧客満足度)の向上へ

VISTAは以前は修理や整備スキルの向上を目指した大会だったが、CSが重要になってきた近年では単に修理や整備をするだけではなく、その内容をいかに的確に伝えられるかどうかの力を育成する方向にシフトしているという。確かに修理に出した際、そのトラブルが再発するかどうかをしっかり教えてもらえるかどうかは気になるところ。顧客にきちんと「これからも安心してボルボに乗ってください」と伝えなければならない。

そのためVISTAでは一つのディーラーからサービスマネージャー、サービスアドバイザー、テクニシャン(ボルボでは一般的にメカニックと呼ばれる整備担当スタッフを「テクニシャン」と呼ぶ)が2〜3名でチームを組んで参加する。整備スキルのアップのみならテクニシャンだけの参加でいいのだ。サービスマネージャーやアドバイザーもチームに入っていることが重要なのである。

VISTA2018には2017年7月に248チーム643名がエントリー、9月からは専用ウェブサイト+スマホのVISTAアプリを用いた予選を各店舗で実施。そして2018年2月には準々決勝として問診接客ロールプレイとテクニシャン実技が行われ、今回の準決勝(決勝前日)&決勝の同時開催を迎えることになった。決勝に進出できたのはわずか10チーム24名だ。前回までの決勝会場はボルボの豊橋トレーニングセンターだったが、VISTA2018からはアクセスの良さや参加しない店舗も観戦しやすくトップパフォーマーのスキルの共有化を図れるためという理由から、都内(有明エリアのTFT有明)での開催となった。また、車両のデジタル装備の増加に伴うコネクテッド機能に対応すべく、VISTA専用アプリを用いたスマホによるタスクも新たに設定されたこともトピックだ。

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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