ボルボ大躍進の陰に整備部門”CS”向上の努力アリ|40年来のコミュニケーション戦略「VISTA」を徹底分析(2/4)
- 筆者: 遠藤 イヅル
- カメラマン:ボルボ・カー・ジャパン/遠藤 イヅル
新しい技術にも対応するスキルが必要なテクニシャン実技
VISTAのサービス技能競技大会は「テクニシャン実技」と「整備説明&来店ロールプレイ」という2つの構成に分かれており、開会式の後まずテクニシャン実技競技からスタートした。
競技会場内にズラリと並んだXC60 T8に各チームのテクニシャンがつき、与えられた課題をこなしていく。
今回、テクニシャンに出された課題は次の通りだった。これらの課題は、もちろんテクニシャンには一部内容以外は競技直前まで知らされていない。
【設問1】PHEVモデルであるXC60 T8のシフトノブをDやRにしてもクルマが動かない
(最新ボルボ車への知識、故障診断スキル、ボルボ専用診断機「VIDA」の機能理解度がどのくらいあるか)
【設問2】音楽を聴いている時、運転席ドア付近から耳障りな音がする
(当該案件の改善技術情報が発行されているので、この情報をVIDAで探し出し、技術情報に基づいた作業内容を解答できるか。なおVISTAでは実際の音止め修理作業は不要)
【設問3】SENSUSタッチスクリーンのアイコン「ワイパーのサービス位置設定用」が画面から無くなった
(準決勝時の一時問診で聞いた内容を、実車を用いて元の設定に戻せるか)
【設問4】カーナビの目的地設定を音声で行ったが、うまくいかないことがある
(施設名表示を音声入力するときに的確にナビをコントロールできるか)
これらの設問に対してテクニシャンは原因を調べて整備を行っていくのだが、整備完了に合わせて幾つかのプロセスが決められており、車両ごとにつく審査員はテクニシャンがそれぞれのプロセスを経たかどうかをチェックしていく。
たとえば設問1の車両不動の原因は「トランスミッション上部に接続されている、シフトレバー操作に連動して作動するシフト用アクチュエーターモーターのコネクターが外れているので、それを挿し直す」が“答え”だ。
ボルボではXC90のPHEVモデルからロッドなどの機械部品を用いずにシフト制御を行う「シフト・バイ・ワイヤ」が導入されており、XC60のPHEV、そしてXC40ではガソリンエンジンモデルにも採用されている。これまでの自動車整備ではあまり見られなかった項目だが、これからは一般化していく機構の一つだろう。
“当てずっぽう”ではなくプロセスを追う
設問1の答えは確かに「コネクターを挿し直す」のだが、VISTAではカンや偶然でその答えを導き出しても評価はされない。大事なのは「故障診断のプロセス」なのだ。そのプロセスはまず症状を確認し、VIDAをクルマに接続して故障診断コード(DTC)を読み取り、顧客から依頼された内容を「お客様症状コード(CSC)」と呼ぶ3ケタのコードに置き換えてVIDAに入力する。するとVIDAに診断手順が表示されるので、それに沿って故障診断を行っていくことになる。
つまりテクニシャンがCSCのコードをいかに適切に選択できるかが正しい故障診断を行う上で大切と言える。
当てずっぽうで偶然に直すのではなく、機構や構造を理解し、プロセスを経た方が確実でフィードバックもされるし、結果的には早くて的確な故障診断が可能になるのだという。
テクニシャンに与えられた時間は、わずか60分。その間にプロセスに沿って故障診断を行い、整備を行っていく。プロセスをクリアしたかどうかは、リアルタイムで会場の大型スクリーンに掲示される。工具のマークが灯れば、そのプロセスをクリアしたことになる。だがこの競技ではスピードが速ければ良いというわけではない。
実際には、設問1のプロセスは時間が経過しても各チームなかなかクリアされなかった。それだけこの課題が難しいことを示す。症状、故障診断コード、VIDA故障追跡、VIDAに表示される配線図、パラメータ、電気測定などの情報を理解して故障の原因を推測かつ理論的に診断しないとならないからだ。
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。