ボルボ大躍進の陰に整備部門”CS”向上の努力アリ|40年来のコミュニケーション戦略「VISTA」を徹底分析(3/4)

  • 筆者: 遠藤 イヅル
  • カメラマン:ボルボ・カー・ジャパン/遠藤 イヅル
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細かな顧客設定も(はたから観る分には!?)楽しい整備説明&来店ロールプレイ競技

60分のテクニシャン実技競技の時間はアッと言う前に終わり、会場を埋めた来場者から大きな拍手が上がった。続いて会場を移して整備説明&来店ロールプレイの競技がスタートした。こちらの競技ではサービスアドバイザーやサービスマネージャー、テクニシャンなど各チーム2名で顧客に対応する内容が評価される。

競技時間は1チーム15分。ディーラーを模したステージに2組が来店する。

CS−VECSの記事を読んでいただけたらわかると思うのだが、ボルボのコンテストは「設定が細かい」。客の年齢、家族構成、持っている車種のほか、子供の名前なども裏設定で決められている。VISTAもまた然りだ。

顧客Aは2018年式XC60 T8 Inscriptionに乗っている藤川忠義さん、修理後の車両受け取りに妻と来店したという設定だ。

顧客Bは北川剛志さんで、2017年式のV60クロスカントリーD4 SEに乗るIT関連会社の経営者だ。年齢40代、家族は妻のみ、クルマの用途は平日の通勤と週末の釣りと設定されている。

なお顧客はすべてプロの俳優さんが演じる。役になりきっているだけでなく、ロープレで出現する様々な状況に即応し競技者の評価ポイントを上手に引き出す才能に長けている。ちなみに俳優さんは全員CS−VECSの時と同じ方々なので、見ているこちら側も妙に安心する(笑)。

最初のチームの競技がスタートした。

するとすぐに顧客Bの北川さんが一人で来店してくる。購入から1年経ったので12か月点検入庫の連絡をディーラーからもらい、電話で予約の上来店したというストーリーで、決勝前日に行われた準決勝での電話ロープレ顧客でもある。準決勝と決勝の内容も連動しているのだ。

顧客Bは来店してこんなことを話し出す。この内容はもちろん事前に決められているものだ。

・1年間乗ったが、特に不具合なし。調子良い

・ サービスプログラムに含まれている作業内容を教えて欲しい

・ 純正のドライブレコーダーに興味がある

・ 次回の点検時期、整備内容をあらかじめ教えて欲しい

サービススタッフなどの競技者Bが顧客Bの要望に適切な対応できるかをまず試される。12か月点検+ナビのアップグレードのために3時間ほど顧客Bを待たせることになってしまう状況に対しては、代車の提供や自宅までの送迎の提案ができるか、純正ドラレコに関しては「一般に流通している製品より価格が高いですよね」と聞いてくる顧客Bに対し、どのように純正ドラレコの利点を説明できるかなどが評価ポイントなのではないだろうか。

「自分が顧客なら」という立場で観戦したので「こういう説明ならいいな」と思うチームの説明もあった。特にドラレコについては商品の特長と装着するメリットについて簡潔に箇条書きに話したチームからなら「この金額でも買っていいかなあ」という気持ちになった。

ちなみに特長としてはドライブレコーダー装着時のクラッシュテストを実施しボルボの安全基準を満たしていること、電波妨害などの確認が行われていること、専用アプリによるスマホでの操作が容易なこと、ボルボ車にマッチする専用デザイン・・・などが模範解答である。

整備が終わったら、その内容をいかに顧客に説明できるか

顧客Bがそろそろ帰るかな…というタイミングで、顧客Aの藤川さんが奥様とやってきた。こちらは競技者Aが対応する。

引き取りに来た車の不具合は、なんとテクニシャン実技で設定されていた「シフトレバーを動かしてもクルマが不動」というあの設問だったのだ。VISTA面白い! 整備説明&来店ロールプレイと連動しているなんて。

夫婦を店内に案内し、競技者Aが説明を開始する。まずはトラブルの内容を顧客に不安や不満を与えずに説明できるかがポイントになる。どんなクルマでも100%トラブルが発生しないことはない。だが、新車で高額車を購入したとなれば、クルマが不動になるのは良い気持ちではないだろう。設定では購入してまだ半年なのだからなおさらだ。顧客Aは「機械だから故障は仕方ない」と理解はしているものの、買って間もない故障だから原因をしっかり説明して欲しいと考えている。

その気持ち、よくわかる!

テクニシャン実技のパートで記した通りトラブルの原因はシフトを制御するアクチュエーターモーターのコネクターが外れていたことだった。このロープレではなぜ外れたかの原因は示されていなかったが、顧客Aには「なぜクルマが動かなくなったのか」を簡潔に説明するスキルが求められた。機械的な連動ではなく電気配線でギアが入ることをメカに詳しくない顧客にわかりやすく説明しなければならない。

また、「今後また同じことが起きますか?」という顧客Aの質問に対して、競技者は想定される原因も含め適切に返答ができるかも重要だった。顧客からすれば抜けちゃうようなコネクターだったら交換して欲しい、と思うものだ。でもディーラーの“挿し直しただけ”という対応は全く間違っていないので、「コネクターを挿し直しただけで大丈夫なの?」といぶかる顧客Aに安心感を与えられるか、が問われる。

100%抜けないとは言い切れないが、今回しっかり挿し直したので大丈夫です、安心してお乗りください、と言う説明をしたチームに筆者は納得した。一方で「今後もなくはない」と話したチームもあった。

顧客側の故障の捉え方もあるので難しい説明となるが、安心感を与える説明がアフターセールス部門のスタッフからきちんとできるかどうかは、確かにCSの向上に繋がる要素だと感じた。

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

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