あまり目立たなかった“隠れた名(迷)車” 5選

今だからこそ注目!? 「あの頃目立たなかったけど、実は隠れた名車」

1980年代から2000年代にかけて、いろいろな車種の提案を出し尽くした感がある日本のクルマ。その結果、「ミニバン」「ハッチバック」「SUV」「ユーティリティに優れた軽自動車」に行き着いてしまい、今や国産メーカーのラインナップは“売れるクルマ”のみに集約しつつあります。

でも、車種が集約された今だからこそ、「当時でもメイン車種ではなかったけれど、今発売されていたら、なかなかいいポジションに立てたかも?」と思えるようなクルマがありました。そこで、そんな「今だからこそ注目? あまり目立たなかったけれど、実は隠れた名車」を5車種集めてみました。中には名車というより「迷車」も含まれているかも?

>>懐かしのプログレやシルビアS15を画像で見る

「小さな高級車」のコンセプトが斬新だった、トヨタ プログレ

以前の日本ではクルマの大きさに比例して車格が上がるヒエラルキーがあり、トヨタでは、クラウンやセルシオが最上級車として認知されていました。でも「BMW 3シリーズ」や、「メルセデス・ベンツ Cクラス」のように、コロナクラスのサイズの高級車も発売されていました。

1998年に発売を開始した「トヨタ プログレ」は、まさに「小さな高級車」を目指した意欲作で、高い居住性、最先端装備、セルシオ並みの入念な仕上げを誇り、エンジンもボディサイズに比して大き目な2.5リッターと3リッターの直6エンジンを搭載。新しい高級車像を作り上げたものの「小さな高級車」はまだ日本には早すぎたのか、販売は低迷しました。

一方で、日本の狭い道で威力を発揮する適度なボディサイズと上質で高級感あふれる内装の組み合わせは、プログレを買ったユーザーには好評。「乗り換えるにはクラウンでは大きすぎる」などの理由で、未だにプログレに乗っているユーザーも多いほどです。

国産ホットハッチの雄、日産 初代マーチ・ターボ

先日、とあるサーキットイベントを見学した時のこと。参加車にリーズナブルで速いホットハッチ、「スズキ スイフトスポーツ」が多かったのが印象的でした。

そこで思い出したのが、日産の初代マーチにあった「ターボ」です。1981年登場の初代マーチは、「小型車のカガミ」のような傑作リッターカー。ターボは1985年のマイナーチェンジで追加されたホットハッチで、MA10ET型1リッターエンジンはターボにより85psを発生。700kg台という驚異的に軽い車重も相まって、小粋な走りを披露してくれました。「軽さは正義」!

また、初代マーチにはスーパーチャージャー+ターボの「スーパーターボ」もありました。懐かしいですね。

このクラスのホットハッチとして、現在のマーチにも「NISMO」がありますが、ワークスが仕上げたプレミアムカーの雰囲気があります。もっとお手軽なイメージで速いバージョンのマーチがあってもいいのでは?

時代がようやく追いついた!? 「マツダ (アンフィニ)MS−8」

1980年代末から90年代、マツダは日産やトヨタのように販売網を多チャンネル化しました。その際に生まれた「アンフィニ店」で販売していたのが「MS−8」です。

クロノスベースの4ドアハードトップで、1980年代にトヨタが「カリーナED」で先鞭をつけた「スタイル重視で居住性を考えない4ドアハードトップ」でした。スタイリッシュな外観やインパネシフトなどの画期的な内装が注目を浴びたMS−8でしたが、マツダの多チャンネル化は失敗、クロノス兄弟も販売は振るわなかったこともあり、1998年に販売を終了しています。

しかし、その後世界的に「スタイリッシュな4ドア」が流行するというまさかの展開に。「メルセデス・ベンツ CLA/CLS」、「VW(フォルクスワーゲン) アルテオン」など、数多くの“4ドアクーペ”を生み出しました。時代がようやく追いついた感があります。海外にお株が奪われた「スタイリッシュな4ドア」。今こそ日本に“元祖の力”を見せて欲しい所ですよね。

エントリースポーツカーとしての魅力がいっぱい 日産 シルビア(S15型)

「日産 シルビア」、「ホンダ プレリュード」が完全に過去帳入りして、2ドアスペシャリティカーは滅。現在では、その流れは本格スポーツカーとして、「トヨタ 86/スバル BRZ」にかろうじて引き継がれています。

ところが中古車市場を見ても分かる通り、この2車種、思いの外流通量が多いのです。2リッター以下のスポーツカー市場ってまだまだいけるのでは?

そこでいつも話題になるのが、FRスポーツカーとしての“シルビア復活”。最終型となったS15型の生産が終わって、早17年。86/BRZと同程度のサイズでシャープな造形をまとって登場したら、案外隠れたヒット作になるのでは、と思うのです。もし復活してくれるのなら、パワーを抑えて気軽に乗れる“スペシャリティ版”も用意してくれると嬉しいかも。

スポーツカーは販売の絶対数は少ないし、個別の車種を作るのが大変なのは百も承知。スポーツカーは「無いから買わない」のではなく、「あっても売れない車種」なのかもしれません。だけど「ラインナップにあって然るべき」車種だとも思うのです。

タフ&ワイルドな“ヨンク”、ダイハツ ロッキー/ラガー

2017年東京モーターショーにダイハツが参考出品したコンパクトSUVコンセプトカー「DNトレック」の市販が近づいているという噂があります。

クロスカントリー4WDの雰囲気を持ちつつ、モノコックボディによって乗用車感覚で乗れることから、世界中で人気があるSUVのジャンルを切り開いたのが、1994年の「トヨタ 初代RAV4」でした(当時はSUVではなく、ライトクロカンと呼んでいました)。そして、その頃発売していたコンパクト4WDの中に、ダイハツの「ロッキー/ラガー」がありました。ロッキーはラダーフレームを持つ本格的なクロカンでしたが、コンセプトとしては街乗り使用を重視した“都会派。ラガーはさらにオフローダーに振った性格が与えられていました。

ロッキー/ラガーともに、現在の洗練されたSUVとは程遠い骨太なイメージですが、逆にこの「タフギア」的なSUV、国産コンパクトSUVではクロカンの「スズキ ジムニー/ジムニーシエラ」が孤軍奮闘するのみ。少し前に海外生産車を輸入するカタチで販売された「トヨタ ハイラックス」が好評で、さらにジムニーの人気ぶりを見ると、コンパクトでタフ&ワイルドなイメージがあるクロカンの需要が無いとは思えません。

ロッキー/ラガーはその後「ダイハツ テリオス/トヨタ キャミ」を経て「ダイハツ ビーゴ/トヨタ ラッシュ」になりました。「DNトレック」はまさにその後を担うモデルになります。どんな姿や性格で登場するのか、今から楽しみですね。

[筆者:遠藤 イヅル]

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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