ロールス・ロイス レイス ブラック・バッジ試乗レポート|販売台数を伸ばした「若者向け」超高級クーペはすごかった(1/2)

  • 筆者: 内田 俊一
  • カメラマン:内田 俊一/内田 千鶴子

「若き成功者の証」レイス ブラック・バッジに試乗

ロールス・ロイスのクーペ、レイスに高性能バージョンのブラック・バッジシリーズが登場した。ロールス・ロイスといえば、ショーファーカー、運転手付きで乗るクルマというイメージが強いが、このレイスはドライバーズカーであり、その中でも高性能モデルとはいったいどういうクルマなのか、街や高速など700kmほど試乗してみた。

>>Wraith Black Badgeを画像で見て「若き成功者」の気分を味わう!

実はドライバーズカーとしてのニーズが高いロールス・ロイス

日本でロールス・ロイスがどのくらい売れているかご存じだろうか。日本自動車輸入組合のデータによると、2017年は225台であった。この数字を“225台も”ととるか“225台しか”ととるかは難しいが、2012年の登録台数が90台だったことを考えると、“225台も”売れているといえるだろう。ではこの間で何が起こったのか。

2013年の末に2ドアクーペのレイスがデビュー。2014年はフルイヤーでの販売となり、台数を大きく伸ばした。そして勢いそのままに2015年にはゴーストの“シリーズ2”が発表。さらに続いて2016年は、2ドアコンバーチブルのドーンを導入。日本でのコンバーチブル市場はそれほど大きくはないがドーンに関してはとても人気で、実は2017年、ロールス・ロイスの中で最も販売台数が多かったモデルである。

さらにゴーストとレイス、ドーンにブラック・バッジシリーズが追加された。このシリーズも非常に人気で、一時はブラック・バッジシリーズが半数を超える勢いだったという。

これまでのイメージでは「ロールス・ロイス=運転手付き」だったが、レイスやドーンが売れ、さらにドライバーズカーに振ったブラック・バッジシリーズの人気が高いことを見ると、どうやら実態は違っているようだ。

また、先日デビューしたファントムも、確かにショーファーカーとして利用されてはいるものの、週末は奥様と別荘へお出かけするなど、プライベートではオーナー自身がハンドルを握っている例が多くあるという。

つまり、昨今のロールス・ロイスの伸びはドライバーズカーとしての性格付けが大きく成功していることになるのだ。

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猛るパワーをその手に、“ブラック・バッジ”シリーズとは

そのドライバーズカーの中でもヒット作となるレイスの高性能バージョン、ブラック・バッジを走しらせる前に、おさらいを少々。

若き成功者をターゲットに作られたブラック・バッジシリーズは、よりダークで、押しが強く、自信に溢れ、ひたすら上昇志向な美意識に語りかけるように開発された。全体としてダーク調で仕上げつつ、ロールス・ロイスとしては新しい色調の組み合わせを用いている。

その一例がインテリアだ。今回試乗したレイス ブラック・バッジの場合はダーク系に赤が組み合わされ(もちろん自由に変更はできるのだが)、インパクトと共に、絶妙な調和を見せている。

また、ノーズ先端のフライングレディ(正式名称:Spirit of Ecstasy)をはじめ、元々クローム仕上げだった部分の多くかダーククローム仕上げとなり、RRバッジは配色が反転されてブラックを背景にている。

搭載されるエンジンは6.5リッターV型12気筒ツインターボで、最高出力632PS/5,600 rpm、最大トルクは870Nm/1,700~4,500 rpmと、最高出力はレイスと同じながら、最大トルクは70Nmアップしている。

スポーティだがあくまで紳士、それが“ロールス・ロイス”

まるで金庫の扉のように重く、分厚い後ろヒンジのドアをゆっくりと開けると、上質な赤のレザーシートが目に飛び込んでくる。そのシートは比較的固めで、しっかりホールドしてくれる。そのドアを閉めるのは、特にレイスのようにドアが長いと、ドアトリムに手が届かない場合がある。

しかし心配ご無用。Aピラー付け根にあるボタンを押し続ければ勝手に閉まってくれる。助手席側も同様にAピラー位置にボタンがある。さらに運転席側には助手席側のドアを閉めるボタンもついており、ご婦人を乗せた後、自動でドアを閉められるのだ。

しかし、結構な勢いで閉まるので指などを挟まないようにご注意を。

ナビ画面の右側にあるスターターボタンを押すと、一瞬に身震いの後、V型12気筒エンジンは目覚めた“ようだ”。エンジンノイズは本当にかすかなもので、まるで“レディ”の囁きがごとく。アイドリング時には振動すら感じられない。

ステアリングコラム右側から伸びるレバーを、手前に引きながら下におろしDレンジを選択。ゆっくりとアクセルを踏み込むと、エンジン音が高まった後、ボディの重さを感じながらスタートした。さらに少しアクセルを踏み込むと、溢れんばかりのトルクが湧いて来て豪快な加速を開始するので、決して鈍重ではない。

ロールス・ロイスは乗り心地に“魔法の絨毯”という言葉を標榜するが、ブラック・バッジは通常のレイスより少し硬さを感じるものの、決して不快ではなくスポーティなイメージだ。それにしても、かすかにロードノイズが聞こえるぐらいで、ハイブリッドのように非常に静かなのはとても印象的だった。

ステアリングは比較的手ごたえがあり、路面からのフィードバックも適切で、むやみに軽くなくしっかりとした印象だ。ロックトゥロックは3回転で、それほどクイックではない。ブラック・バッジは、ハイパワーでドライバーズカーに振っていることを考えると、もう少し速いギヤ比でもよいだろう。一つ気になった点は、60km/h以上でステアリングが突然重くなるのでそこには違和感を覚えた。

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内田 俊一
筆者内田 俊一

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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