ロールス・ロイス レイス ブラック・バッジ試乗レポート|販売台数を伸ばした「若者向け」超高級クーペはすごかった(2/2)

  • 筆者: 内田 俊一
  • カメラマン:内田 俊一/内田 千鶴子
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ボディサイズを感じさせない魔法の案内人

街中を流していると、そのサイズを全く感じないのには驚くばかりだ。水先案内人のフライングレディに頼れば、少し狭い一方通行などにも自信をもって入り込める。

余談だが、ロールス・ロイスの威圧感からか周囲のクルマが近寄ってこないので、非常に走りやすいことに改めて気づかされた。

さて、街中を走っていて最も気になったのはドアミラーがドライバーの直前まで迫ってきているので、死角が発生してしまうこと。特に右折時に横断歩道の歩行者の確認が遅れることがあるので、十分に注意が必要だ。同時にクーペボディのため、左後方も若干見づらくなっている。

高速道路では優雅なクルージングをあなたに

高速道路をこのクルマで走ることは、何にも増して魅力的なことだ。エンジンノイズに邪魔されることなく、オーディオを楽しみながら快適に移動することができる。そして、ちょっと追い越しをしたくなれば、アクセルをわずかに踏み込めば豪快な加速とともに、前車をあっという間に置き去りにしてしまう。とはいえ佇まいだけでも目立つクルマなので、法の番人に目を付けられないようにすぐに走行車線にもどって、静かにクルージングを続けよう。

それにしてもこのクルマに乗っていると、なぜかそういった少し乱暴な運転を慎むようになってしまう。ほぼ制限速度でACCを利用して、悠々とクルージングを楽しむ。パワーをひけらかすことなく、優雅なクルージングを楽しむクルマといえよう。

ただし残念なことに、そのACCは若干ぎくしゃくした印象だった。追い越し車線を走行中、たまに走行車線のクルマを捕捉してブレーキングすることもあったので、どうやらBMWのひと世代前のシステムを使用しているようだ。

また、渋滞時には12気筒ツインターボを御しきれておらず、停止時からの発進時、ターボが利き始めるあたりから一気に加速しようとするのをACCがコントロールしようとしてぎくしゃくした動きをしがちであった。せっかく0km/hまで使える機能なので、もう少しチューニングを望みたい。

さすがのロールス・ロイスでも、この大きさに耐えうるボディ剛性は与え切れておらず、高速の段差やうねりを超えるとステアリングがぶるぶる震えることがあった。特にフロア周りの剛性が足りないようだ。

さて、これだけの大排気量ツインターボの燃費は、渋滞を含む一般道で5~6km/L、高速で8~9km/L程度であった。アイドルストップなどの機構を持たないエンジンの割には一般道での数値はそこそこといえるが、それほど回転を上げず、粛々と走っている高速での燃費はもう少し伸びてほしい。

ロールス・ロイスとはいっても、当然機械なので気になるところは散見される。しかし、全体の質感は素晴らしく、スイッチ類をはじめ革などの手触りも十分吟味されたものだ。また、ライト類のスイッチはメーターパネル右側に配され、その形状はシルバーシャドウやそれ以前のロールス・ロイスから受け継がれてきたもので、伝統をもきちんと継承していることをアピールする。今なお手書きで描かれる“コーチライン”のように、これからも伝統と革新が連なってゆくのだろう。

[Text:内田俊一]

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内田 俊一
筆者内田 俊一

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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