最後の6気筒MRポルシェ、選ぶべきはどっちだ! ポルシェ ボクスター/ケイマンGTS 試乗レポート(2/3)
- 筆者: 大谷 達也
- カメラマン:島村栄二・ポルシェジャパン
”素”ケイマンとケイマンS、その違いはどこにある!?
たとえば“素”ケイマンの1クラス上にあたる「ケイマンS」は、エンジン排気量が700cc大きくなって50psもパワーアップ。ハードになった足回りのおかげでより俊敏な走りができるけれど、コーナリング中の姿勢変化が小さくなった分、サスペンションがしなやかにストロークする“素”ケイマンよりも「いま、クルマの性能の何割くらいで走っているのか?」という感覚が掴みにくくなったように思う。
実は、私にとってここはかなり大切なポイントで、アクセル、ブレーキ、ステアリングの操作が姿勢変化としてはっきり表れるクルマは自分のドライビングをチェックするには最適で、そういうクルマに乗り続けていると自然と運転が上手になると信じている。
つまり、“素”ケイマンはドライビング・テクニックを磨くうえでも効果絶大なのだ。くわえて市街地での乗り心地がいい点が私には大きな魅力となっている。
上には上がある! 「ケイマンGTS」には文句のつけどころがない
ところが、“素”ケイマンの2クラス上にあたるケイマンGTSは、普段の乗り心地も“素”ケイマン並みに快適だし、ハンドリングはケイマンSよりもさらにシャープ。おまけにケイマンS用をベースにチューニングしてプラス15psの最高出力340psを獲得した3.4リッター水平対向6気筒エンジンは高回転域の吹き上がりが一層鋭さを増していて、背筋がゾクゾクするような快感をドライバーにもたらしてくれる。
つまり文句の付けどころがないのだけれど、その分、お値段は“素”ケイマンより300万円近くも高い915万円となる。
というわけで、ベーシックな“素”ケイマンで納得するか、乗り心地を多少犠牲にしてでも走りのいいケイマンSを選ぶか、乗り心地も走りもどっちもいいけれど値段も“素晴らしい”ケイマンGTSを奮発するか、実に悩ましい問題に直面することになる。
[ではクーペとオープン、どっちがいい!?・・・次ページへ続く]
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